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第二章
ふたりでお出かけ 6
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「…………」
「居心地悪いですか?」
「大丈夫だ。最初から覚悟はしていたし、どうやら俺と同じような奴らが何人かいる」
「覚悟って……」
真顔で話す高科さんの表情が可笑しくて、思わず笑いがこぼれた。
「君は……」
「え?」
「いや、悪くないなと思っただけだ。白山さんといると普段よりも、まあいいかと思えてしまえるから不思議だ」
「高科さん……」
綺麗な顔をふわりと和らげて、甘く優しく微笑む。
ああ、もうこの人は……。自分がどれだけ魅力的な容姿をしているのか、分かっているんだろうか?
ただでさえ高科さんの事を好きだと自覚してしまって、戸惑っているのに。
「ご注文は、お決まりですか?」
「えっ、あ……、はい」
急に声をかけられて慌ててしまった。不自然にバタバタする私を笑った高科さんは、代わりにメニューを広げてオーダーを取りに来た女性店員に見せる。
「このオムライスを二つ頼む」
注文をしながら顔を上げ、高科さんはほんの少し微笑んだ。彼女はその表情に一瞬息を呑んだ後、ハッと我に返る。
「は……、はいっ、畏まりました!」
ひときわ響く大声で返事をした後、その店員は大仰にお辞儀をして小走りに戻って行った。
「……なんだあれ?」
相変わらず鈍感な高科さんだけど、ここにいるほとんどの女性客は、もう既にさっきからチラチラと高科さんの方を窺っている。呆れるのは、恋人と来ているらしい女性までもが高科さんのことを気にする素振りを見せていることだ。
「……まあ、いいじゃないですか。元気で」
「……そうなのか? 大分過剰な気がするが」
「それは、私もそう思いますけど。……あ、そうそう、さっきのメルちゃんとの動画見ます?」
「え?」
急展開した話題に高科さんは一瞬きょとんとした。
……ああ、こんな表情だけでも心臓がまたドキドキし始めている。このイケメンめ。
こんな気持ちを高科さんに気取られるのは拙いので、そそくさとさっきの動画を開き、スマホを差し出した。
受け取りそれを見た高科さんは、そこに映る自分を見て苦笑している。
「……やっぱり情けない顔じゃないか」
「そんな事無いですよ。私この顔……、好きですよ」
「……え?」
うわっ。また、なにサラッと本音なんて言っちゃってるの、恥ずかしい!
「あっ、いやだって……、た、高科さんの困った顔なんてレアだし、綺麗な顔が可愛くなってて……、ええっと、その……」
思わず零してしまった自分の気持ちを繕おうとするあまり、余計にボロが出てしまっているような気がする。更に慌てる私を見て、とうとう高科さんは吹き出してしまった。
「本当に面白いなあ、白山さんは」
焦る私を楽しそうに見た後、高科さんもスマホを取り出して私の前に置いた。手に取って見ると、そこにはいつの間に撮ったのか、私がメルちゃんを抱っこしているところが写っていた。
「これ……?」
「良い顔してるだろう? せっかくだから、記念に撮ってやった。データ送るか?」
「あ……、お願いします!」
「オッケー。……じゃあ、白山さんこのアプリある?」
「あ、あります」
びっくりした。まさか高科さんが、私の写真を撮っていてくれてただなんて……。
無事に送信された、メルちゃんを抱っこしている画像はホーム画面に設定した。
「そうだ、よかったら、高科さんも私の撮った写真貰いませんか? 良ければ動画も」
「ええっ?」
どういうわけだか、高科さんは本当に嫌そうな顔をする。眉をしかめて私を見た。
「そんな顔をするほど嫌ですか?」
「自分の写真なんか持ってどうする?」
「どうって……、今日の記念とかになるじゃないですか」
ちょっぴり拗ねたような口調になった。だって、いくら私の行きたい所を優先してくれたと言っても、高科さんがちっともそれを楽しめて無いってのはやっぱり嫌だ。……虚しいじゃない。
「それは君の写真でいいと思ったんだけどな……」
「え?」
「自分の顔なんか見ても楽しくない。そんなものよりは、君が楽しそうに笑っている写真を見ていた方がずっといい」
「高科さん……」
呆けた表情になった私を見てぶっちゃけ過ぎたと思ったのか、高科さんは気まずそうに頭を掻いた。そうして結局、メルちゃんに舐められている動画だけを受け取ってくれた。
「居心地悪いですか?」
「大丈夫だ。最初から覚悟はしていたし、どうやら俺と同じような奴らが何人かいる」
「覚悟って……」
真顔で話す高科さんの表情が可笑しくて、思わず笑いがこぼれた。
「君は……」
「え?」
「いや、悪くないなと思っただけだ。白山さんといると普段よりも、まあいいかと思えてしまえるから不思議だ」
「高科さん……」
綺麗な顔をふわりと和らげて、甘く優しく微笑む。
ああ、もうこの人は……。自分がどれだけ魅力的な容姿をしているのか、分かっているんだろうか?
ただでさえ高科さんの事を好きだと自覚してしまって、戸惑っているのに。
「ご注文は、お決まりですか?」
「えっ、あ……、はい」
急に声をかけられて慌ててしまった。不自然にバタバタする私を笑った高科さんは、代わりにメニューを広げてオーダーを取りに来た女性店員に見せる。
「このオムライスを二つ頼む」
注文をしながら顔を上げ、高科さんはほんの少し微笑んだ。彼女はその表情に一瞬息を呑んだ後、ハッと我に返る。
「は……、はいっ、畏まりました!」
ひときわ響く大声で返事をした後、その店員は大仰にお辞儀をして小走りに戻って行った。
「……なんだあれ?」
相変わらず鈍感な高科さんだけど、ここにいるほとんどの女性客は、もう既にさっきからチラチラと高科さんの方を窺っている。呆れるのは、恋人と来ているらしい女性までもが高科さんのことを気にする素振りを見せていることだ。
「……まあ、いいじゃないですか。元気で」
「……そうなのか? 大分過剰な気がするが」
「それは、私もそう思いますけど。……あ、そうそう、さっきのメルちゃんとの動画見ます?」
「え?」
急展開した話題に高科さんは一瞬きょとんとした。
……ああ、こんな表情だけでも心臓がまたドキドキし始めている。このイケメンめ。
こんな気持ちを高科さんに気取られるのは拙いので、そそくさとさっきの動画を開き、スマホを差し出した。
受け取りそれを見た高科さんは、そこに映る自分を見て苦笑している。
「……やっぱり情けない顔じゃないか」
「そんな事無いですよ。私この顔……、好きですよ」
「……え?」
うわっ。また、なにサラッと本音なんて言っちゃってるの、恥ずかしい!
「あっ、いやだって……、た、高科さんの困った顔なんてレアだし、綺麗な顔が可愛くなってて……、ええっと、その……」
思わず零してしまった自分の気持ちを繕おうとするあまり、余計にボロが出てしまっているような気がする。更に慌てる私を見て、とうとう高科さんは吹き出してしまった。
「本当に面白いなあ、白山さんは」
焦る私を楽しそうに見た後、高科さんもスマホを取り出して私の前に置いた。手に取って見ると、そこにはいつの間に撮ったのか、私がメルちゃんを抱っこしているところが写っていた。
「これ……?」
「良い顔してるだろう? せっかくだから、記念に撮ってやった。データ送るか?」
「あ……、お願いします!」
「オッケー。……じゃあ、白山さんこのアプリある?」
「あ、あります」
びっくりした。まさか高科さんが、私の写真を撮っていてくれてただなんて……。
無事に送信された、メルちゃんを抱っこしている画像はホーム画面に設定した。
「そうだ、よかったら、高科さんも私の撮った写真貰いませんか? 良ければ動画も」
「ええっ?」
どういうわけだか、高科さんは本当に嫌そうな顔をする。眉をしかめて私を見た。
「そんな顔をするほど嫌ですか?」
「自分の写真なんか持ってどうする?」
「どうって……、今日の記念とかになるじゃないですか」
ちょっぴり拗ねたような口調になった。だって、いくら私の行きたい所を優先してくれたと言っても、高科さんがちっともそれを楽しめて無いってのはやっぱり嫌だ。……虚しいじゃない。
「それは君の写真でいいと思ったんだけどな……」
「え?」
「自分の顔なんか見ても楽しくない。そんなものよりは、君が楽しそうに笑っている写真を見ていた方がずっといい」
「高科さん……」
呆けた表情になった私を見てぶっちゃけ過ぎたと思ったのか、高科さんは気まずそうに頭を掻いた。そうして結局、メルちゃんに舐められている動画だけを受け取ってくれた。
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