不思議な縁に導かれました

らいち

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第二章

ふたりでお出かけ 5

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 ちょっぴり興奮しながら動画を撮り続けていると、高科さんの根負けした声が聞こえて来た。

「おい、そろそろこれ、解放させてもらえないかな」

 さっきまで燥いでいたメルちゃんも、今は高科さんの腕の中だ。起こさないようにと気を遣って抱っこし続けたせいで、疲れてしまったらしい。

「ちょっと待って下さい」

 せっかくだもの。写真も撮らせてもらおう。それでこっそり、ロック画面の壁紙にしちゃうんだ。

「高科さん、笑って下さい」
「ああ?」

 あからさまに嫌そうな声を出して私を威嚇する。だけど声のトーンは落としていて、メルちゃんを起さないようにと気遣っているのは明白だ。

「笑ってくれないと、メルちゃんから解放させてあげませんよ」

 笑いながら私がそう言うと、高科さんは怒った顔を作りながらもすぐに可笑しくなったのか、苦笑いをしながら段々とそれをはにかんだような笑顔へと変えていった。

 シャッターチャーンス!

 喜んで連写する私に一瞬戸惑う素振りを見せたものの、諦めてくれたのか高階さんは、そのままメルちゃんを抱っこし続けてくれた。

「そろそろ客が増えてきたな」

 高科さんの言う通り、今まで空いていた屋内の密度が少し上がっている。時刻を確認すると、既にお昼の一時を回っていた。

「ご飯食べに行きますか?」
「そうだな。腹減った」
「ふふっ」
「何だ?」

 思わずこぼれた私の笑いに、高科さんが気が付いた。出会った当初の高科さんなら、そんな事は言わないだろうなと思ったら何だか可笑しくなっちゃったんだ。

「何でもありません。私もお腹空いちゃった。早く食べに行きましょう」
「ああ」

 柔らかく笑い、高科さんが出口に足を進める。そんな高科さんを、通り過ぎる女性たちが振り返って行った。

 そんなあからさまな視線が私は何となく面白くなかったのだけど、当の高科さんは全くの無関心だ。髪を切った当初は人に見られて疲れたと言っていたのに、どうやらそれにも慣れてしまったらしい。周りに気を取られて遅くなった私を、「早く来いよ」と促して、高科さんはさっさと先を歩いて行く。

 隣接しているカフェは、画像で確認した通り可愛らしい造りになっていた。さっきの、『わんこハウス』同様、女性客をターゲットにしているからなのだろう。実際男性客はカップルで来ているか家族連れかのいずれかで、連れの好みに合わせているといった感じの人達ばかりだった。
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