不思議な縁に導かれました

らいち

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第二章

変わってきた高科さん 2

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「……それはすごい成長ね」
「そうなんですよ! もう私嬉しくって」

 最近の職場での話題は、ほぼ高科さんの事で埋め尽くされている。それと言うのも私と同居してからの高科さんが、確実に元気になって来ているんじゃないかという皆の共通した意見があるからだ。

「以前の高科さんって、歩くのすら面倒臭そうだったわよね」

「……そうでしたね。ご飯食べることすら億劫がって、一人で歩けないほどになってましたもんね。……と、ちょっとお手洗いに行ってきます」

「いってらっしゃい」

 お昼休みが始まるまでは、まだ間があり余裕がある。今日は嬉しいことに普段よりも皆が調子良くて、いつもより早く準備を終えていた。だから今日は余計な我慢をせずに、調理場を後にすることが出来たのだ。

 お手洗いへと急いでいる私のはるか前方を、高科さんが横切って行くのが見えた。それは初めて出会った時とは違い、シャッキリと前方を見、大股で堂々と歩く姿だ。

 ホント、見違えちゃう。あれにもう一押し、髪の毛もサッパリさせたら背も高いんだし、随分格好良くなるだろうに。
 そんなことを思いながらちょっぴり気分良くトイレに入ると、研究所の職員と思われる女性社員が二人、高科さんの噂話をしていた。

「最近の高科さん、随分まともになったわよね」

 うん、うん。やっぱ皆も、そう思うんだね。
 自分の事ではないけれど、身近な人が褒められるのは気分がいい。ほんのちょっぴり得意げな気持ちになっていたのに、もう一人の人がプッと噴き出した。

「高科! アハハ。あれ、彼女が出来たのかもって噂あるよね。ウケる!」
「ええっ、それ初めて聞いた。あんなに研究以外興味無い人が?」
「そうだよねえ。やっぱ、家政婦説の方が有力かな」
「そうなんじゃない? いくら頭が良くて仕事熱心でも、あんな変人っぷりじゃあ彼女は無理でしょ」
「だよね。……ふっ、ふふっ……。可笑しい」

 …………。何なのこの人達。すごい感じが悪い。バカにしたように笑っている当の本人は、ショートボブの凄く可愛い感じの人だけど、性格が悪すぎる。

 二人の笑い声はもちろん個室の中まで聞こえて来て、私を心底うんざりさせた。
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