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第二章

一目惚れなのかな?

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 私は大学で、書道研究部に入っている。活動は週三回。部員は総勢八名で、それほど多くはない代わりに、和気あいあいとした雰囲気が利点だ。

 今日は活動日なので、書道研究部にあてがわれているクラブ棟の二階へと向かった。

「こんにちはー」
「わぁ、来た来た。待ってたよー」
「よう、桐子」
「あら、もう墨すり終わってるの? 早いわね」
「今日はフランス語、休みだったんだよ。だから図書館で時間潰した後、早めにここに来てたんだ」
「そうなの?」

 私も机の上に、硯や文鎮などを準備し始める。

「あ、れ~? 桐子さん、なんか良いことあった?」
「え?」

 美乃梨みのりさんが、にこにこしながら近づいて来た。

 良いこと?

「なんだかさー、いつもよりなんとなーく、嬉しそうって言うか、機嫌が良さそうに見えるよ?」
「機嫌……。あっ」

「え、何々? やっぱ、何か合ったんだ!」「ああ、ええっと。良い事って言うか、父に頼まれてパーティのお手伝いに行って来たの。そこでね、感じの良い方と出会ったわ」

「うわっ、もしかして一目惚れ?」
「一目惚れ……」

 そうなのかしら?
 高遠さんのことを思い出すと、胸が熱くなってドキドキするけれど……。

 だって、初めてなんだもの。あんな素敵な方。大人な雰囲気で優しくて、凄く自然な感じの方だった。
 また、お会いできると良いのだけど。

「気を付けろよ、桐子」
「え?」
「一目ぼれなんて碌なこと無いぞ。顔が良くて性格も良い奴なんて、俺滅多に会ったこと無いもん」
「なになに、牧村~、もしかしてあんた焼いてんの?」
「バカ、ちげーよ! こいつ世間知らずっぽいから、心配なんだろ!」
「あの……、大丈夫よ。高遠さん、優しくて大人な良い方だったわよ?」

 みんなが好き勝手に言っているので、慌てて口を挟んだ。すると、どういう訳かみんな目を見開いて、私の方を見た。

「桐子さん、頑張って! 私は応援するわよ」

「そうよ! 桐子さんが男の人に興味示すのって、初めてじゃない。しかも、桐子さんのお父さんの会社に勤めている人なんでしょ? それならきっと大丈夫。変な人なんかじゃないと思うな」

 美乃梨さんも万里香さんも、何故だかとても楽しそうだ。

「で、上手くいったら、その高遠さんのお友達とか紹介してね」
「あ、私も!」
「お前ら、そっちかよ!」

 美乃梨さんの言葉に、牧村君たちが突っ混んで笑った。私も笑いながら、そう出来たらいいなってこっそり思った。
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