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千年に一人の逸材
危機一髪!?
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だが強張った体はそのままで、受けるはずの衝撃がなかなか来ない。
恐る恐る目を開けると、でかい矢は俺の体の前でぴたりと止まっていた。
「え…?」
どういう事だ?
九條は俺を消す目的ではなく、嫌がらせをしたかっただけなのか?
疑問に思いながら振り向くと、九條も予想外といった風情でぽかんとしていた。
「何を考えているんですか、あなたは!」
芙蓉が鬼のような形相で九條に掴みかかっていた。
「狩りのリストにも載っていない紫温に向かって、あの矢を放つなんて何を考えているんです!」
だが当の九條はそれすらも耳に入っていないようで、ぽかんとしたままだ。
その目は未だ俺の胸の前で止まったままの、矢に向けられていた。
「…芙蓉が止めているのか?」
その問いに芙蓉がため息を吐き、低い声で不機嫌に返す。
「まさか。狩り用の矢は、俺の力では止められないよ」
「じゃあこれ…?」
芙蓉の言葉に、九條が信じられないといった表情で俺を見た。
いやいやいや。俺じゃないぞ。そんな力あるわけないジャン。
「…えっと、これ…。どうすりゃいいの?」
情けないが、目の前に止まっている矢にどうしたら良いのか分からない。俺は縋り付くように芙蓉を見て、どうにかして欲しいと訴える。
「そのまま持って下ろしなさい」
芙蓉では無い、別の誰かが俺の問いに答える。びっくりしてきょろきょろすると、また別の天使が現れていた。
恐る恐る目を開けると、でかい矢は俺の体の前でぴたりと止まっていた。
「え…?」
どういう事だ?
九條は俺を消す目的ではなく、嫌がらせをしたかっただけなのか?
疑問に思いながら振り向くと、九條も予想外といった風情でぽかんとしていた。
「何を考えているんですか、あなたは!」
芙蓉が鬼のような形相で九條に掴みかかっていた。
「狩りのリストにも載っていない紫温に向かって、あの矢を放つなんて何を考えているんです!」
だが当の九條はそれすらも耳に入っていないようで、ぽかんとしたままだ。
その目は未だ俺の胸の前で止まったままの、矢に向けられていた。
「…芙蓉が止めているのか?」
その問いに芙蓉がため息を吐き、低い声で不機嫌に返す。
「まさか。狩り用の矢は、俺の力では止められないよ」
「じゃあこれ…?」
芙蓉の言葉に、九條が信じられないといった表情で俺を見た。
いやいやいや。俺じゃないぞ。そんな力あるわけないジャン。
「…えっと、これ…。どうすりゃいいの?」
情けないが、目の前に止まっている矢にどうしたら良いのか分からない。俺は縋り付くように芙蓉を見て、どうにかして欲しいと訴える。
「そのまま持って下ろしなさい」
芙蓉では無い、別の誰かが俺の問いに答える。びっくりしてきょろきょろすると、また別の天使が現れていた。
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