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第一章
ずっと一緒にいようね
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「未花ちゃん」
「は、……はい」
はい? はいって、なんだ? 秋永君があまりにも真面目な顔なんてしてるから、思わず敬語使っちゃったじゃない。
やっちゃったー、って気分でちょっと恥ずかしかったんだけど、秋永君は何だかそれどころじゃないって感じで、ジッと真顔で私を見続けている。
「あのさ」
「うん」
「手、握っても大丈夫かな?」
「……え? あっ」
ああ、そうか。私がぶん殴りたくならないかって、それを気にしてるのかな?
「大丈夫だと思う。……だって」
傍にいてくれると安心だと思った。だから、秋永君に繋がるものを掴んでいたいって思ったんだもの。
自分から秋永君に手を伸ばしてみた。ゆっくりと秋永君の手に触れると、秋永君が両手で私の手をギュッと握りしめた。そしてそっと私を引き寄せて、至近距離でじっと私を見つめる。
「ぎゅうって、していい?」
ちょっぴり緊張気味で真剣なその表情に、私の方までその緊張が移ってしまったかのように、また心臓がドキドキと言い始めた。
「うん。……いい、よ?」
こんな返事、恥ずかしくて直に顔なんて見れないよ。
俯き加減にボソリと返事を返しチラッと秋永君を窺うと、さっきよりもずっとずっと嬉しそうな表情になった彼が私を見ていた。
優しく包むように、秋永君が私の背中にふわりと腕を回す。そして宣言通り、ぎゅうっと私を抱きしめた。
……うそ、みたい。さっきよりもドキドキする……。ううん、ドキドキだけじゃない、足が地についていないみたいにふわふわして……、すごく幸せな気分だ。
胸いっぱいに広がるその気持ちが凄く心地よくて、もっと秋永君にくっ付いてみたいと思った。私はその気持ちに正直に、秋永君の背中にそっと腕を回してみる。少し密着度が上がって、秋永君の体温が増したような気がした。
「み……、未花ちゃん」
「ふふっ……。気持ちいい」
「……!?」
秋永君の高い体温が気持ちがいいだなんて、私って変なのかな? それに、男の人とこんなに密着することが出来るようになるだなんて思ってもみなかった。
「み、み、未花ちゃん……」
「うん?」
せっかく秋永君の腕の中が気持ちいいって気づいたのに、秋永君はもう私を腕の中から解放してしまった。
まあ、一応ここは学校だし、誰かに見られて揶揄われたりするのは嫌かもしれないけど。ちょっと残念。
「あ~、なんかもう……。振り回されそうだな、俺」
「え? 誰に?」
ため息交じりにぼやく秋永君に心配して尋ねたのに、なぜか秋永君は微妙な表情になった。
「……まあ、いいや。がんばろ、俺」
「秋永君……?」
「未花ちゃん!」
「え!? は、はいっ」
突然真顔で、しかも大きな声で呼ばれてびっくりした。
「俺、未花ちゃんのこと、ずっとずっと大切にするから! これからもよろしくな!」
「秋永君……」
ヤダ。何なのよ……。真顔で、そんなこと。……変なものが込みあがってくる。
「……っ、そ、それは私も……。よろしく、お願いします……っ」
変なものの正体は涙だった。熱いものがググっと持ち上がってきて、堪えきれずに私の瞳からボロボロと零れ落ちる。
目の前にある秋永君のシャツに手を伸ばして縋ったら、いい子いい子と頭を撫でられた。
なんだか子供みたい。
そう思ったら、なんだか可笑しくなって笑っちゃった。泣き笑いの私の顔を見て、秋永君も笑ってくれた。
背後に見える空は、すごく青く澄んでいた――。
「は、……はい」
はい? はいって、なんだ? 秋永君があまりにも真面目な顔なんてしてるから、思わず敬語使っちゃったじゃない。
やっちゃったー、って気分でちょっと恥ずかしかったんだけど、秋永君は何だかそれどころじゃないって感じで、ジッと真顔で私を見続けている。
「あのさ」
「うん」
「手、握っても大丈夫かな?」
「……え? あっ」
ああ、そうか。私がぶん殴りたくならないかって、それを気にしてるのかな?
「大丈夫だと思う。……だって」
傍にいてくれると安心だと思った。だから、秋永君に繋がるものを掴んでいたいって思ったんだもの。
自分から秋永君に手を伸ばしてみた。ゆっくりと秋永君の手に触れると、秋永君が両手で私の手をギュッと握りしめた。そしてそっと私を引き寄せて、至近距離でじっと私を見つめる。
「ぎゅうって、していい?」
ちょっぴり緊張気味で真剣なその表情に、私の方までその緊張が移ってしまったかのように、また心臓がドキドキと言い始めた。
「うん。……いい、よ?」
こんな返事、恥ずかしくて直に顔なんて見れないよ。
俯き加減にボソリと返事を返しチラッと秋永君を窺うと、さっきよりもずっとずっと嬉しそうな表情になった彼が私を見ていた。
優しく包むように、秋永君が私の背中にふわりと腕を回す。そして宣言通り、ぎゅうっと私を抱きしめた。
……うそ、みたい。さっきよりもドキドキする……。ううん、ドキドキだけじゃない、足が地についていないみたいにふわふわして……、すごく幸せな気分だ。
胸いっぱいに広がるその気持ちが凄く心地よくて、もっと秋永君にくっ付いてみたいと思った。私はその気持ちに正直に、秋永君の背中にそっと腕を回してみる。少し密着度が上がって、秋永君の体温が増したような気がした。
「み……、未花ちゃん」
「ふふっ……。気持ちいい」
「……!?」
秋永君の高い体温が気持ちがいいだなんて、私って変なのかな? それに、男の人とこんなに密着することが出来るようになるだなんて思ってもみなかった。
「み、み、未花ちゃん……」
「うん?」
せっかく秋永君の腕の中が気持ちいいって気づいたのに、秋永君はもう私を腕の中から解放してしまった。
まあ、一応ここは学校だし、誰かに見られて揶揄われたりするのは嫌かもしれないけど。ちょっと残念。
「あ~、なんかもう……。振り回されそうだな、俺」
「え? 誰に?」
ため息交じりにぼやく秋永君に心配して尋ねたのに、なぜか秋永君は微妙な表情になった。
「……まあ、いいや。がんばろ、俺」
「秋永君……?」
「未花ちゃん!」
「え!? は、はいっ」
突然真顔で、しかも大きな声で呼ばれてびっくりした。
「俺、未花ちゃんのこと、ずっとずっと大切にするから! これからもよろしくな!」
「秋永君……」
ヤダ。何なのよ……。真顔で、そんなこと。……変なものが込みあがってくる。
「……っ、そ、それは私も……。よろしく、お願いします……っ」
変なものの正体は涙だった。熱いものがググっと持ち上がってきて、堪えきれずに私の瞳からボロボロと零れ落ちる。
目の前にある秋永君のシャツに手を伸ばして縋ったら、いい子いい子と頭を撫でられた。
なんだか子供みたい。
そう思ったら、なんだか可笑しくなって笑っちゃった。泣き笑いの私の顔を見て、秋永君も笑ってくれた。
背後に見える空は、すごく青く澄んでいた――。
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