34 / 75
第一章
雅乃はお見通し?
しおりを挟む
美人な三輪さんと話してるだけでムカムカする。女子が秋永君に近づくのに、イライラする。これはもう、他の答えなんてありえないんじゃない?
「…………」
ニコニコと私を見つめる雅乃を前に、私は頭を抱えてため息を吐いた。
「……信じらんない」
「だよね」
「…………」
秋永君の印象は、確かに最初から他の男の人とは違っていた。こんな面倒くさい私に、躊躇するどころか普通に話しかけて来たりして。しかも、私に対して配慮する気配なんて欠片もなかった。なんて図々しい人なんだろうって、心底思ったもの。
だってさ、男の先生たちですら私に接する時は距離を取ってくれるんだよ? なのに秋永君だけは、図々しいくらいにあくまで普通に接したがっていんだもの。
しかもそれで、私の拳の被害にも合わなかったんだから、流石というか何というか……。まあ空手を習っていたって言っていたから、かわすくらいどうってことない事だったんだろうけど。
……なんだろ。でもそれに関しては、今でもやっぱりちょっとムッとする。
だけど結局はボディガードまでしてもらって、凄く凄く頼もしかったんだよね。いつの間にか秋永君といることも楽しくなっていたし、傍にいてくれることすら、安心できる存在になっていて……。
「……そう言うことかぁ」
「ん? なに?」
「……秋永君のこと……、私知らない間に好きになっちゃってたんだな……」
「そっか」
雅乃は驚くでもなく、静かに頷いた。きっと何にも言わなくても、私の行動を見ていて薄々勘付いていたのだろう。
「でもさー、それにしても、いつもと違う感じの余所余所しさはなんで?」
「……それは、余所余所しいというよりは、どうしていいのか分からないっていうのが正しいかも」
「なにそれ?」
いぶかしい表情で雅乃が私を見る。なんだかものすごく恥ずかしい気持ちになったけど、心配してくれているので正直に答えることにした。
「……実は今朝ね、秋永君に……、好きだって告白されたんだ」
「ええっ!? うわっ、マジ? 言ったんだー! うわー、決心ついたんだ―! さすがだー」
「……て、えっ? なに? 秋永君、雅乃に相談とかしてたの?」
「ううん? されてないよ」
「え? だって、今」
「だーってぇ。見てたら分かるよ。未花のこと、すっごい大好き、可愛いって感じで見てたもん」
「…………」
ケラケラ笑いながら話す雅乃の言葉に、絶句するとともに顔がカーッと熱くなった。
「で? よろしくお願いしますって、返事するわけね?」
「……、う、うん」
「そうか、そうか。頑張れ、頑張れ。ああ、良かったー。私も嬉しいよー。だって初めてだったもんね、未花が触れるくらい近くにいても大丈夫な男子って」
「うん……」
……実際は、触れても大丈夫だったんだけど。
でも、まだそこまで話してしまうのは恥ずかしいから、私は心の中でこっそり呟くだけに止めておいた。
「…………」
ニコニコと私を見つめる雅乃を前に、私は頭を抱えてため息を吐いた。
「……信じらんない」
「だよね」
「…………」
秋永君の印象は、確かに最初から他の男の人とは違っていた。こんな面倒くさい私に、躊躇するどころか普通に話しかけて来たりして。しかも、私に対して配慮する気配なんて欠片もなかった。なんて図々しい人なんだろうって、心底思ったもの。
だってさ、男の先生たちですら私に接する時は距離を取ってくれるんだよ? なのに秋永君だけは、図々しいくらいにあくまで普通に接したがっていんだもの。
しかもそれで、私の拳の被害にも合わなかったんだから、流石というか何というか……。まあ空手を習っていたって言っていたから、かわすくらいどうってことない事だったんだろうけど。
……なんだろ。でもそれに関しては、今でもやっぱりちょっとムッとする。
だけど結局はボディガードまでしてもらって、凄く凄く頼もしかったんだよね。いつの間にか秋永君といることも楽しくなっていたし、傍にいてくれることすら、安心できる存在になっていて……。
「……そう言うことかぁ」
「ん? なに?」
「……秋永君のこと……、私知らない間に好きになっちゃってたんだな……」
「そっか」
雅乃は驚くでもなく、静かに頷いた。きっと何にも言わなくても、私の行動を見ていて薄々勘付いていたのだろう。
「でもさー、それにしても、いつもと違う感じの余所余所しさはなんで?」
「……それは、余所余所しいというよりは、どうしていいのか分からないっていうのが正しいかも」
「なにそれ?」
いぶかしい表情で雅乃が私を見る。なんだかものすごく恥ずかしい気持ちになったけど、心配してくれているので正直に答えることにした。
「……実は今朝ね、秋永君に……、好きだって告白されたんだ」
「ええっ!? うわっ、マジ? 言ったんだー! うわー、決心ついたんだ―! さすがだー」
「……て、えっ? なに? 秋永君、雅乃に相談とかしてたの?」
「ううん? されてないよ」
「え? だって、今」
「だーってぇ。見てたら分かるよ。未花のこと、すっごい大好き、可愛いって感じで見てたもん」
「…………」
ケラケラ笑いながら話す雅乃の言葉に、絶句するとともに顔がカーッと熱くなった。
「で? よろしくお願いしますって、返事するわけね?」
「……、う、うん」
「そうか、そうか。頑張れ、頑張れ。ああ、良かったー。私も嬉しいよー。だって初めてだったもんね、未花が触れるくらい近くにいても大丈夫な男子って」
「うん……」
……実際は、触れても大丈夫だったんだけど。
でも、まだそこまで話してしまうのは恥ずかしいから、私は心の中でこっそり呟くだけに止めておいた。
0
お気に入りに追加
64
あなたにおすすめの小説
先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…
ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。
しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。
気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…
人違いラブレターに慣れていたので今回の手紙もスルーしたら、片思いしていた男の子に告白されました。この手紙が、間違いじゃないって本当ですか?
石河 翠
恋愛
クラス内に「ワタナベ」がふたりいるため、「可愛いほうのワタナベさん」宛のラブレターをしょっちゅう受け取ってしまう「そうじゃないほうのワタナベさん」こと主人公の「わたし」。
ある日「わたし」は下駄箱で、万年筆で丁寧に宛名を書いたラブレターを見つける。またかとがっかりした「わたし」は、その手紙をもうひとりの「ワタナベ」の下駄箱へ入れる。
ところが、その話を聞いた隣のクラスのサイトウくんは、「わたし」が驚くほど動揺してしまう。 実はその手紙は本当に彼女宛だったことが判明する。そしてその手紙を書いた「地味なほうのサイトウくん」にも大きな秘密があって……。
「真面目」以外にとりえがないと思っている「わたし」と、そんな彼女を見守るサイトウくんの少女マンガのような恋のおはなし。
小説家になろう及びエブリスタにも投稿しています。
扉絵は汐の音さまに描いていただきました。
隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される
永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】
「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。
しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――?
肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!
自己顕示欲の強い妹にプロデュースされる事になりました
白石マサル
恋愛
人は誰でも自己顕示欲を持っている。それが大きいか小さいかの違いはあるが。
中学時代からヲタクでぼっちだった主人公は高校一年の終業式の後、自分の所為で虐められている妹を見てしまう。
妹は気丈に振る舞っていたが、自分の所為で妹が虐められるのは嫌だと奮起する。
「どうすればリア充になれる?」
この言葉を切っ掛けに妹プロデュースの元、リア充になるべく特訓を開始する。
そんな中、妹の思惑を知った主人公だが、妹の為に学校一のリア充を目指すのだった。
好きな男子と付き合えるなら罰ゲームの嘘告白だって嬉しいです。なのにネタばらしどころか、遠恋なんて嫌だ、結婚してくれと泣かれて困惑しています。
石河 翠
恋愛
ずっと好きだったクラスメイトに告白された、高校2年生の山本めぐみ。罰ゲームによる嘘告白だったが、それを承知の上で、彼女は告白にOKを出した。好きなひとと付き合えるなら、嘘告白でも幸せだと考えたからだ。
すぐにフラれて笑いものにされると思っていたが、失恋するどころか大切にされる毎日。ところがある日、めぐみが海外に引っ越すと勘違いした相手が、別れたくない、どうか結婚してくれと突然泣きついてきて……。
なんだかんだ今の関係を最大限楽しんでいる、意外と図太いヒロインと、くそ真面目なせいで盛大に空振りしてしまっている残念イケメンなヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりhimawariinさまの作品をお借りしております。
【ヤンデレ鬼ごっこ実況中】
階段
恋愛
ヤンデレ彼氏の鬼ごっこしながら、
屋敷(監禁場所)から脱出しようとする話
_________________________________
【登場人物】
・アオイ
昨日初彼氏ができた。
初デートの後、そのまま監禁される。
面食い。
・ヒナタ
アオイの彼氏。
お金持ちでイケメン。
アオイを自身の屋敷に監禁する。
・カイト
泥棒。
ヒナタの屋敷に盗みに入るが脱出できなくなる。
アオイに協力する。
_________________________________
【あらすじ】
彼氏との初デートを楽しんだアオイ。
彼氏に家まで送ってもらっていると急に眠気に襲われる。
目覚めると知らないベッドに横たわっており、手足を縛られていた。
色々あってヒタナに監禁された事を知り、隙を見て拘束を解いて部屋の外へ出ることに成功する。
だがそこは人里離れた大きな屋敷の最上階だった。
ヒタナから逃げ切るためには、まずこの屋敷から脱出しなければならない。
果たしてアオイはヤンデレから逃げ切ることができるのか!?
_________________________________
7話くらいで終わらせます。
短いです。
途中でR15くらいになるかもしれませんがわからないです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる