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第一章
……嫉妬?
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「未花?」
「あ、何?」
「んーん? 何でもないけど。でもさあ、ちょっと今日、秋永君との距離感いつもと違くない?」
「はっ!? 別に! そんなこと無いし!」
「…………」
……あっ、しまった。ついムキになって……。
あわあわする私を横に、チラッと雅乃が後ろを窺った。そして何かを納得したのか、ちょっぴりニヤニヤしながら私を見た。
「まあ、いいや、いいや。可愛いじゃん」
「……何がよ?」
「別にー。……でも、喧嘩してるんなら仲直りしなよ?」
「してないわよ、そんなもの」
「……え? じゃあ……?」
「今朝、私の後つけていたストーカー、秋永君に退治してもらったし」
「え!? そうなの? 諦めてなかったんだ、そいつ」
「うん。前に私が見つけた辺りで待ち伏せされてて危なかったんだけど……、駆け付けた秋永君に助けてもらった」
「そう、なんだ……。それにしては距離感変じゃない? ……まさか未花、ストーカー捕まえてもらったからもう秋永君はいらないとか、そんなつれないこと言っちゃった?」
「まさか、そんなこと言ってないよ。……これからも送ってもらうって話もしたし」
「ふう~ん?」
ぼそぼそ話しているうちに音楽室に着いた。別に席が決まっているわけではないので、空いている席に適当に座る。秋永君たちは、少し離れた席で男子数人と固まって座っていた。どうやら話題は、さっきの三輪さんの話の続きのようだ。
「そういえばさっき三輪さんさ、秋永君って呼んでたよな? その犬を捕まえてあげた時に、自己紹介までしちゃったわけ?」
「いや……、普通にお礼言われながら、名前聞かれたから」
「けっ! いいよなー、見た目のいい奴は。俺だったらきっと、普通にお礼言われてそのままだぜ?」
「そんなこと無いだろ、何言ってんだよ!」
「あ、でも田尾ならそれも有りじゃない?」
「おいっ」
男子だけで騒いでいるところに、数人の女子が加わってワイワイと騒ぎ始めた。
……何なの、いったい。関係ない子たちまで加わって。秋永君って、なんだか密かに人気者の雰囲気だよね。
「未花? 未花っ!」
「……えっ、あ、なっなに?」
「何って……。さっきからずっと呼んでるのに」
「あ、ごめん」
「ねえねえ、もしかしてさ、未花ってば、さっきの三輪さんや秋永君と親しくしゃべってる女子に嫉妬とかしてる?」
「は……!? え? なに、突然!」
「だって、さっきから様子変じゃん。秋永君のとこジーッと見てるし、かと思ったら時々ムッとしてるしさ。それって、やっぱさあ……」
「ま……さか。嫉妬って……! そんなこと言ったら、まるで私が……!」
まるで、なに?
その先に出てくる自分の言葉を想像して、絶句した。だって、その言葉が本当に、今の私の気持ちを言い当てているものだって思っちゃったから。
「あ、何?」
「んーん? 何でもないけど。でもさあ、ちょっと今日、秋永君との距離感いつもと違くない?」
「はっ!? 別に! そんなこと無いし!」
「…………」
……あっ、しまった。ついムキになって……。
あわあわする私を横に、チラッと雅乃が後ろを窺った。そして何かを納得したのか、ちょっぴりニヤニヤしながら私を見た。
「まあ、いいや、いいや。可愛いじゃん」
「……何がよ?」
「別にー。……でも、喧嘩してるんなら仲直りしなよ?」
「してないわよ、そんなもの」
「……え? じゃあ……?」
「今朝、私の後つけていたストーカー、秋永君に退治してもらったし」
「え!? そうなの? 諦めてなかったんだ、そいつ」
「うん。前に私が見つけた辺りで待ち伏せされてて危なかったんだけど……、駆け付けた秋永君に助けてもらった」
「そう、なんだ……。それにしては距離感変じゃない? ……まさか未花、ストーカー捕まえてもらったからもう秋永君はいらないとか、そんなつれないこと言っちゃった?」
「まさか、そんなこと言ってないよ。……これからも送ってもらうって話もしたし」
「ふう~ん?」
ぼそぼそ話しているうちに音楽室に着いた。別に席が決まっているわけではないので、空いている席に適当に座る。秋永君たちは、少し離れた席で男子数人と固まって座っていた。どうやら話題は、さっきの三輪さんの話の続きのようだ。
「そういえばさっき三輪さんさ、秋永君って呼んでたよな? その犬を捕まえてあげた時に、自己紹介までしちゃったわけ?」
「いや……、普通にお礼言われながら、名前聞かれたから」
「けっ! いいよなー、見た目のいい奴は。俺だったらきっと、普通にお礼言われてそのままだぜ?」
「そんなこと無いだろ、何言ってんだよ!」
「あ、でも田尾ならそれも有りじゃない?」
「おいっ」
男子だけで騒いでいるところに、数人の女子が加わってワイワイと騒ぎ始めた。
……何なの、いったい。関係ない子たちまで加わって。秋永君って、なんだか密かに人気者の雰囲気だよね。
「未花? 未花っ!」
「……えっ、あ、なっなに?」
「何って……。さっきからずっと呼んでるのに」
「あ、ごめん」
「ねえねえ、もしかしてさ、未花ってば、さっきの三輪さんや秋永君と親しくしゃべってる女子に嫉妬とかしてる?」
「は……!? え? なに、突然!」
「だって、さっきから様子変じゃん。秋永君のとこジーッと見てるし、かと思ったら時々ムッとしてるしさ。それって、やっぱさあ……」
「ま……さか。嫉妬って……! そんなこと言ったら、まるで私が……!」
まるで、なに?
その先に出てくる自分の言葉を想像して、絶句した。だって、その言葉が本当に、今の私の気持ちを言い当てているものだって思っちゃったから。
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