79 / 106
第五章
束の間の休息 2
しおりを挟む
「由紀ちゃん最近お疲れだね」
突然現れたまどかの声にびっくりして今度は僕が固まった。危ない危ない…。
「ありがと、大丈夫よ。気が抜けちゃっただけで疲れとかじゃないから」
僕は安心させるために起き上がって、ニッコリ笑った。
「そっか、良かった」
まどかも安心したようにニッコリ笑う。
「そうだ! もし良かったら、今日いつもより早く授業終わるからみんなでどっか遊びに行かない?」
せっかく稽古が休みだから、気分転換に遊びに行きたい。
「良いね、それ。まどかはどう?」
「うう~ん…。行きたい、行きたいけど今日はダメだ~」
「何か用事?」
「うん…。おばさんがね、姪っ子連れて遊びに来るのよ。相手してやってねって、念を押されてるのよね…」
「そっか、そりゃ残念」
それじゃあしょうがないね~と言うことで、僕は梓と二人でショップ巡りでもしようかと言うことになった。
「これってデートだね」
今、僕と梓は某アイスクリームショップで幸せを満喫中。稽古とテスト勉強に追われて半分死んでいた僕にとっては、梓と二人っきりの時間はまさに癒しの時間だ。
「うん」
梓も満更でも無さそうで、楽しそうに足をぶらぶらさせている。
「どっか行きたいとこある?」
「んー、特には…。あ、あの駅前にあるファストファッションのショップにでも行く? あそこならレディスもメンズも揃っているし、買わなくても冷やかしでもあんまり気にならないし」
「そうだね。そのくらいがちょうどいい時間だな。よし、行くか!」
梓は今特に欲しいものは無いというので、メンズのコーナーで僕はパンツを物色中。
「あ、これ欲しいかも」
どれどれと梓が覗き込んできた。僕の手にしているのは黒のスキニーパンツ。
「ああ、良いかもね。似合うんじゃない? 着てみたら?」
「うん、そうする。…あ」
僕はちょっと面白い事に気が付いてしまった。
「ここで男物一式買って、メイクを落としたら完璧なデートだよな」
梓は一瞬キョトンとしたが僕の言いたいことが分かったようで、ゆっくりと口角が上がる。
「近くにドラッグストアあったよ。拭くだけのメイク落とし買ってくる?」
「じゃあお願いする! その間にパンツとTシャツ買っておくよ」
「あたしらも大概だな」
笑って梓はドラッグストアへと向かい、僕はスキニーパンツを手に、Tシャツを物色するべく歩きだした。
突然現れたまどかの声にびっくりして今度は僕が固まった。危ない危ない…。
「ありがと、大丈夫よ。気が抜けちゃっただけで疲れとかじゃないから」
僕は安心させるために起き上がって、ニッコリ笑った。
「そっか、良かった」
まどかも安心したようにニッコリ笑う。
「そうだ! もし良かったら、今日いつもより早く授業終わるからみんなでどっか遊びに行かない?」
せっかく稽古が休みだから、気分転換に遊びに行きたい。
「良いね、それ。まどかはどう?」
「うう~ん…。行きたい、行きたいけど今日はダメだ~」
「何か用事?」
「うん…。おばさんがね、姪っ子連れて遊びに来るのよ。相手してやってねって、念を押されてるのよね…」
「そっか、そりゃ残念」
それじゃあしょうがないね~と言うことで、僕は梓と二人でショップ巡りでもしようかと言うことになった。
「これってデートだね」
今、僕と梓は某アイスクリームショップで幸せを満喫中。稽古とテスト勉強に追われて半分死んでいた僕にとっては、梓と二人っきりの時間はまさに癒しの時間だ。
「うん」
梓も満更でも無さそうで、楽しそうに足をぶらぶらさせている。
「どっか行きたいとこある?」
「んー、特には…。あ、あの駅前にあるファストファッションのショップにでも行く? あそこならレディスもメンズも揃っているし、買わなくても冷やかしでもあんまり気にならないし」
「そうだね。そのくらいがちょうどいい時間だな。よし、行くか!」
梓は今特に欲しいものは無いというので、メンズのコーナーで僕はパンツを物色中。
「あ、これ欲しいかも」
どれどれと梓が覗き込んできた。僕の手にしているのは黒のスキニーパンツ。
「ああ、良いかもね。似合うんじゃない? 着てみたら?」
「うん、そうする。…あ」
僕はちょっと面白い事に気が付いてしまった。
「ここで男物一式買って、メイクを落としたら完璧なデートだよな」
梓は一瞬キョトンとしたが僕の言いたいことが分かったようで、ゆっくりと口角が上がる。
「近くにドラッグストアあったよ。拭くだけのメイク落とし買ってくる?」
「じゃあお願いする! その間にパンツとTシャツ買っておくよ」
「あたしらも大概だな」
笑って梓はドラッグストアへと向かい、僕はスキニーパンツを手に、Tシャツを物色するべく歩きだした。
0
お気に入りに追加
96
あなたにおすすめの小説
かつて僕を振った幼馴染に、お月見をしながら「月が綺麗ですね」と言われた件。それって告白?
久野真一
青春
2021年5月26日。「スーパームーン」と呼ばれる、満月としては1年で最も地球に近づく日。
同時に皆既月食が重なった稀有な日でもある。
社会人一年目の僕、荒木遊真(あらきゆうま)は、
実家のマンションの屋上で物思いにふけっていた。
それもそのはず。かつて、僕を振った、一生の親友を、お月見に誘ってみたのだ。
「せっかくの夜だし、マンションの屋上で、思い出話でもしない?」って。
僕を振った一生の親友の名前は、矢崎久遠(やざきくおん)。
亡くなった彼女のお母さんが、つけた大切な名前。
あの時の告白は応えてもらえなかったけど、今なら、あるいは。
そんな思いを抱えつつ、久遠と共に、かつての僕らについて語りあうことに。
そして、皆既月食の中で、僕は彼女から言われた。「月が綺麗だね」と。
夏目漱石が、I love youの和訳として「月が綺麗ですね」と言ったという逸話は有名だ。
とにかく、月が見えないその中で彼女は僕にそう言ったのだった。
これは、家族愛が強すぎて、恋愛を諦めざるを得なかった、「一生の親友」な久遠。
そして、彼女と一緒に生きてきた僕の一夜の物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる