修行のため、女装して高校に通っています

らいち

文字の大きさ
上 下
70 / 106
第五章

プライドと困惑1

しおりを挟む
帰りのSHRが終わった途端、まどかが席を立った。

「今日急いでるから帰るね、また明日~」
歌うように行ってまどかはさっさと廊下へと出て行った。

「珍しいな」

思わずつぶやく僕の横で、梓が「デートなんだってさ」と伝えてくれた。

「なるほど」

2人で話していると、佐藤が側にやってきた。

「由紀、日曜にお邪魔するけど、お前その時少しは会える?」
「え?」

僕が返事をする前に梓がなぜか反応した。

「何? 佐藤、由紀んちに行くわけ?」
何故だか梓は不服そうだ。

「まあ、一応彼氏だし?」
「…この面子でその冗談は意味ないと思うけど」

むむ。これは明らかにご機嫌斜めだよな。

「例のカーディガンを取りに来るんだよ」
「そう言う事」
「日曜の予定って、この事だったんだ」
「うん」
「ふうん…」

あー、これは拗ねてますね。そうですよね?

「僕は会えるかどうかは分からないな。友達が来るって言ったら…30分くらいは休憩くれるかもしれないけど…」
「そう…なんだ。由紀のお父さんってホントに厳しいんだな」
「まあね。本当は梓も誘いたいところだけど、会わせてもらえるかどうか分からない状況だからなあ」

暗に梓を蔑ろにしているわけでは無いと伝えておく。彼氏としては当然の配慮だよな。

「…30分でも良いから、その…あたしも由紀の家、行ってもいいかな」
「え?」
「ほら!佐藤について行けば、由紀んちにたどり着けるだろ?」
「んー…」

本当なら僕も、じゃあおいで!と言いたいところではあるんだけど、今回佐藤に来てもらう狙いは、姉さんの恋を応援するためでもあるんだし。僕が梓の相手をしてやれないとしたら、かなり気まずい思いをするんじゃなかろうか。

それに姉さんたちも2人っきりになれないと、進展するものも出来なくなりそうだし…。

「佐藤君、悪いけど梓と2人で話したいことがあるから」
「ああ分かった。じゃな」
「うん、ごめんね」

佐藤には先に行ってもらって、僕は梓に向き直った。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

ビキニに恋した男

廣瀬純一
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

小学生をもう一度

廣瀬純一
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

かつて僕を振った幼馴染に、お月見をしながら「月が綺麗ですね」と言われた件。それって告白?

久野真一
青春
 2021年5月26日。「スーパームーン」と呼ばれる、満月としては1年で最も地球に近づく日。  同時に皆既月食が重なった稀有な日でもある。  社会人一年目の僕、荒木遊真(あらきゆうま)は、  実家のマンションの屋上で物思いにふけっていた。  それもそのはず。かつて、僕を振った、一生の親友を、お月見に誘ってみたのだ。  「せっかくの夜だし、マンションの屋上で、思い出話でもしない?」って。  僕を振った一生の親友の名前は、矢崎久遠(やざきくおん)。  亡くなった彼女のお母さんが、つけた大切な名前。  あの時の告白は応えてもらえなかったけど、今なら、あるいは。  そんな思いを抱えつつ、久遠と共に、かつての僕らについて語りあうことに。  そして、皆既月食の中で、僕は彼女から言われた。「月が綺麗だね」と。  夏目漱石が、I love youの和訳として「月が綺麗ですね」と言ったという逸話は有名だ。  とにかく、月が見えないその中で彼女は僕にそう言ったのだった。  これは、家族愛が強すぎて、恋愛を諦めざるを得なかった、「一生の親友」な久遠。  そして、彼女と一緒に生きてきた僕の一夜の物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

秘密のキス

廣瀬純一
青春
キスで体が入れ替わる高校生の男女の話

OLサラリーマン

廣瀬純一
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

処理中です...