40 / 106
第三章
親友になりたい2
しおりを挟む
ホッとはしたけど、必死の思いで話していた僕はちょっと拗ねてしまった。
「あー、わり―。ククッ。確かに複雑で嫌~な気分だけど、でも沢村としては仕方の無かったことなんだろ? 親父さんに強制的にさせられて、しかも自分の進みたい将来のための事だから、嫌でもやらなきゃいけないと思ってしていた事なんだろ?」
…さすが佐藤だと思ってしまった。
自分が佐藤の立場だったら、たとえそれを理解できたとしても、ちゃんと佐藤のように受け止めることが出来ただろうか。
やっぱり良いなと思ってしまう。
「佐藤君」
「何?」
「…こんな事、僕が言えた話では無いとは思うんだけど…」
「ん?」
「えっと、あの…」
なかなか口に出せなくてモゴモゴしていると、それを察したように佐藤が僕の顔を覗き込んできた。
「何だ?言えよ」
テノールの優しい声。
僕の気持ちを落ち着かせようと配慮してくれてる。
僕は息を吸い込んで気持ちを落ち着かせ、佐藤の目をしっかり見た。
「僕の友達になってください。迷惑かけたのに烏滸がましいけど、僕は佐藤君の親友になりたいってずっと思ってた。お願いします!」
僕はそう言って、深々と佐藤に頭を下げる。
「おい、ちょっと」
頭を下げた僕に佐藤はびっくりしたようで、慌てて僕の上半身を引き上げようとした。
だけど了承してもらえるまで顔を上げないぞと、わけの分からない気持ちに取りつかれていた僕は、畳にへばりつくように力を込めて抵抗する。
「お願い! 佐藤君!」
ハアッと、何度目になるか分からないため息を佐藤が吐くのが耳に入って来る。
僕は呆れさせちゃった?と、恐る恐る佐藤の顔を見上げると、佐藤の苦笑交じりの顔が目に入る。
「そんな真似しなくても、嫌ってなんかないよ」
「え?」
僕はガバッと顔を上げる。
「女子だと思っていたにせよ、仮にも好きだった相手だぞ? 性格だって、気に入ってたんだから」
「ほん…とに…?」
「ああ、本当」
「良かったあ…」
僕は、ふにゃふにゃと体から力が抜けていく。
佐藤はそんな僕を笑って見ていた。
それから、僕たちは他愛のない話をたくさんした。
本当に友達になれたんだなーとしみじみとしていたら、突然佐藤にとんでもない提案をされてしまい、僕の頭の中は真っ白になっていくことになる。
「あー、わり―。ククッ。確かに複雑で嫌~な気分だけど、でも沢村としては仕方の無かったことなんだろ? 親父さんに強制的にさせられて、しかも自分の進みたい将来のための事だから、嫌でもやらなきゃいけないと思ってしていた事なんだろ?」
…さすが佐藤だと思ってしまった。
自分が佐藤の立場だったら、たとえそれを理解できたとしても、ちゃんと佐藤のように受け止めることが出来ただろうか。
やっぱり良いなと思ってしまう。
「佐藤君」
「何?」
「…こんな事、僕が言えた話では無いとは思うんだけど…」
「ん?」
「えっと、あの…」
なかなか口に出せなくてモゴモゴしていると、それを察したように佐藤が僕の顔を覗き込んできた。
「何だ?言えよ」
テノールの優しい声。
僕の気持ちを落ち着かせようと配慮してくれてる。
僕は息を吸い込んで気持ちを落ち着かせ、佐藤の目をしっかり見た。
「僕の友達になってください。迷惑かけたのに烏滸がましいけど、僕は佐藤君の親友になりたいってずっと思ってた。お願いします!」
僕はそう言って、深々と佐藤に頭を下げる。
「おい、ちょっと」
頭を下げた僕に佐藤はびっくりしたようで、慌てて僕の上半身を引き上げようとした。
だけど了承してもらえるまで顔を上げないぞと、わけの分からない気持ちに取りつかれていた僕は、畳にへばりつくように力を込めて抵抗する。
「お願い! 佐藤君!」
ハアッと、何度目になるか分からないため息を佐藤が吐くのが耳に入って来る。
僕は呆れさせちゃった?と、恐る恐る佐藤の顔を見上げると、佐藤の苦笑交じりの顔が目に入る。
「そんな真似しなくても、嫌ってなんかないよ」
「え?」
僕はガバッと顔を上げる。
「女子だと思っていたにせよ、仮にも好きだった相手だぞ? 性格だって、気に入ってたんだから」
「ほん…とに…?」
「ああ、本当」
「良かったあ…」
僕は、ふにゃふにゃと体から力が抜けていく。
佐藤はそんな僕を笑って見ていた。
それから、僕たちは他愛のない話をたくさんした。
本当に友達になれたんだなーとしみじみとしていたら、突然佐藤にとんでもない提案をされてしまい、僕の頭の中は真っ白になっていくことになる。
0
お気に入りに追加
96
あなたにおすすめの小説
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。
学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった
白藍まこと
恋愛
主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。
クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。
明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。
しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。
そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。
三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。
※他サイトでも掲載中です。
女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』
コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ”
(全20話)の続編。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211
男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は?
そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。
格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
プレッシャァー 〜農高校球児の成り上がり〜
三日月コウヤ
青春
父親の異常な教育によって一人野球同然でマウンドに登り続けた主人公赤坂輝明(あかさかてるあき)。
父の他界後母親と暮らすようになり一年。母親の母校である農業高校で個性の強いチームメイトと生活を共にしながらありきたりでありながらかけがえのないモノを取り戻しながら一緒に苦難を乗り越えて甲子園目指す。そんなお話です
*進行速度遅めですがご了承ください
*この作品はカクヨムでも投稿しております
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる