35 / 106
第二章
デートの約束2
しおりを挟む
閉会式が済んで、今は帰り道。
三人で並んで歩いている。
「明日からゴールデンウイークだね。みんな何か予定あるの?」
「へへっ。まどかはダーリンと旅行に行くんだー。二日の夜に出てね、五日の夜に戻ってくる予定」
「あー、良いな。彼氏のいる奴はー」
「梓だったら、その気になれば彼氏の一人や二人くらい出来ると思うけど…。彼の友達とか紹介する?」
僕はその言葉に大いに焦ってしまった。
まどかの言うとおり、その気になれば彼氏くらい簡単に出来そうな気がする。
態度こそ男っぽいけど梓の中身はその辺の女子なんかよりずっと綺麗だ。顔だって美人系だし…。
僕は梓がなんて返事をするのか心配で、梓の顔を見ていると、それに気づいた梓が困ったように小さく笑った。
…?
「ありがと。気持ちだけもらっておくわ。今のところは要らないかも」
「んー? そうなの? じゃあ、その気になったら言って。由紀ちゃんもね」
「うん」
「ハハ…ありがと」
「じゃあ、まどかこっちからだから」
交差点に差し掛かったところでまどかが右を指差した。
「うん、じゃあね。気を付けて」
「バイバイ」
まどかは振り返りながら手を振って、やがて前を向いて歩いて行った。
遠くになりつつあるまどかを見ながら、僕は思い切って梓に声をかけた。
「梓はGW、本当に用事とか無いのか?」
「うん。特には」
「…じゃあ、一緒に出掛けない?」
「…え?」
「あ、えっと。か、買い物でも映画でも良いし…。梓の行きたいとこで良いから…」
言っている内に何だか照れくさくなってきて、僕は頭をガシガシと掻く。
ちらりと梓を見ると、頬がほんのりと赤い。
「い、良いよ…。あ、あたしも暇だし…。由紀にも会いたいだろうし…」
何ともあやふやな言い回しだけど、あたふたした感じが可愛く思えて、僕は嬉しくなってしまう。
「ありがとう。4日の月曜日とかどうかな。その日一日は、稽古が休みだから。梓は大丈夫?」
「うん。大丈夫」
どことなく嬉しそうな返事に僕は満足して、梓と別れて帰路に着く。
頑張って梓ともっと距離を近づけるぞと誓いながら。
三人で並んで歩いている。
「明日からゴールデンウイークだね。みんな何か予定あるの?」
「へへっ。まどかはダーリンと旅行に行くんだー。二日の夜に出てね、五日の夜に戻ってくる予定」
「あー、良いな。彼氏のいる奴はー」
「梓だったら、その気になれば彼氏の一人や二人くらい出来ると思うけど…。彼の友達とか紹介する?」
僕はその言葉に大いに焦ってしまった。
まどかの言うとおり、その気になれば彼氏くらい簡単に出来そうな気がする。
態度こそ男っぽいけど梓の中身はその辺の女子なんかよりずっと綺麗だ。顔だって美人系だし…。
僕は梓がなんて返事をするのか心配で、梓の顔を見ていると、それに気づいた梓が困ったように小さく笑った。
…?
「ありがと。気持ちだけもらっておくわ。今のところは要らないかも」
「んー? そうなの? じゃあ、その気になったら言って。由紀ちゃんもね」
「うん」
「ハハ…ありがと」
「じゃあ、まどかこっちからだから」
交差点に差し掛かったところでまどかが右を指差した。
「うん、じゃあね。気を付けて」
「バイバイ」
まどかは振り返りながら手を振って、やがて前を向いて歩いて行った。
遠くになりつつあるまどかを見ながら、僕は思い切って梓に声をかけた。
「梓はGW、本当に用事とか無いのか?」
「うん。特には」
「…じゃあ、一緒に出掛けない?」
「…え?」
「あ、えっと。か、買い物でも映画でも良いし…。梓の行きたいとこで良いから…」
言っている内に何だか照れくさくなってきて、僕は頭をガシガシと掻く。
ちらりと梓を見ると、頬がほんのりと赤い。
「い、良いよ…。あ、あたしも暇だし…。由紀にも会いたいだろうし…」
何ともあやふやな言い回しだけど、あたふたした感じが可愛く思えて、僕は嬉しくなってしまう。
「ありがとう。4日の月曜日とかどうかな。その日一日は、稽古が休みだから。梓は大丈夫?」
「うん。大丈夫」
どことなく嬉しそうな返事に僕は満足して、梓と別れて帰路に着く。
頑張って梓ともっと距離を近づけるぞと誓いながら。
0
お気に入りに追加
96
あなたにおすすめの小説
僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた
楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。
この作品はハーメルン様でも掲載しています。
俺にはロシア人ハーフの許嫁がいるらしい。
夜兎ましろ
青春
高校入学から約半年が経ったある日。
俺たちのクラスに転入生がやってきたのだが、その転入生は俺――雪村翔(ゆきむら しょう)が幼い頃に結婚を誓い合ったロシア人ハーフの美少女だった……!?
女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』
コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ”
(全20話)の続編。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211
男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は?
そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。
格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。
学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった
白藍まこと
恋愛
主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。
クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。
明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。
しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。
そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。
三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。
※他サイトでも掲載中です。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
しゅうきゅうみっか!-女子サッカー部の高校生監督 片桐修人の苦難-
橋暮 梵人
青春
幼少の頃から日本サッカー界の至宝と言われ、各年代別日本代表のエースとして活躍し続けてきた片桐修人(かたぎり しゅうと)。
順風満帆だった彼の人生は高校一年の時、とある試合で大きく変わってしまう。
悪質なファウルでの大怪我によりピッチ上で輝くことが出来なくなった天才は、サッカー漬けだった日々と決別し人並みの青春を送ることに全力を注ぐようになる。
高校サッカーの強豪校から普通の私立高校に転入した片桐は、サッカーとは無縁の新しい高校生活に思いを馳せる。
しかしそんな片桐の前に、弱小女子サッカー部のキャプテン、鞍月光華(くらつき みつか)が現れる。
「どう、うちのサッカー部の監督、やってみない?」
これは高校生監督、片桐修人と弱小女子サッカー部の奮闘の記録である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる