34 / 106
第二章
デートの約束1
しおりを挟む
全ての競技が終わり、後は閉会式を残すだけとなっていた。
閉会式はパフォーマンスメンバーはそのままの格好でもいい事になっていたので、佐藤も着替えずに執事の格好のままだった。なので女子が群がる、群がる。
佐藤は笑顔を何とか取り繕っているようだったが、疲れている様子が垣間見える。
モテるって案外大変な事なんだなー。
ポケーッとそんなことを考えながら佐藤を何気に見ていると、背後からおぞましく強い視線を感じた。
「…梓、腕つかんでいい?」
背後の怨霊(?)の気配を少しでも軽くしたくて、梓に聞いてみる。男とばれる以前だったらそのまま腕を掴んだんだろうけど、今はちゃんと聞いた方が良いかなと思ったんだ。
「…良いけど?」
どうしたの?という表情を見せたので、背後から怖い視線を感じると伝えると、それだけで納得してくれたようだった。
「どうぞ、苦労するね」
苦笑気味に梓に腕を差し出される。
僕は、ありがたく梓の腕に手を回した。
「梓だけー? まどかの腕もとって良いよ?」
横からニコニコとまどかが声をかけて来た。
僕は一瞬「え?」と思いはしたが、これで断るのも却って変かと思い直し、まどかの腕にもう一方の空いている手を絡めることにする。
まあ、女の子なら有の構図だけど、男がやるとちょっとキモいだろう。
「はあっ」
小さく梓のため息がこぼれてきた。
ん?と思って梓の顔を見ると、パチッと目が合ってなぜかそらされてしまう。
え!?と思って焦って回した手を緩めようとしたら、梓の空いているもう一方の手が僕の手を押さえてきた。
…えっと、これは嫌がられているわけでは無いんだよな?
僕はそう判断をして、梓に回している手をそのままにしておくことにした。
あの溜息は、何だったんだろう?
なんとなく聞いてはいけない雰囲気だったので、僕は首を傾げる事しかできなかった。
閉会式はパフォーマンスメンバーはそのままの格好でもいい事になっていたので、佐藤も着替えずに執事の格好のままだった。なので女子が群がる、群がる。
佐藤は笑顔を何とか取り繕っているようだったが、疲れている様子が垣間見える。
モテるって案外大変な事なんだなー。
ポケーッとそんなことを考えながら佐藤を何気に見ていると、背後からおぞましく強い視線を感じた。
「…梓、腕つかんでいい?」
背後の怨霊(?)の気配を少しでも軽くしたくて、梓に聞いてみる。男とばれる以前だったらそのまま腕を掴んだんだろうけど、今はちゃんと聞いた方が良いかなと思ったんだ。
「…良いけど?」
どうしたの?という表情を見せたので、背後から怖い視線を感じると伝えると、それだけで納得してくれたようだった。
「どうぞ、苦労するね」
苦笑気味に梓に腕を差し出される。
僕は、ありがたく梓の腕に手を回した。
「梓だけー? まどかの腕もとって良いよ?」
横からニコニコとまどかが声をかけて来た。
僕は一瞬「え?」と思いはしたが、これで断るのも却って変かと思い直し、まどかの腕にもう一方の空いている手を絡めることにする。
まあ、女の子なら有の構図だけど、男がやるとちょっとキモいだろう。
「はあっ」
小さく梓のため息がこぼれてきた。
ん?と思って梓の顔を見ると、パチッと目が合ってなぜかそらされてしまう。
え!?と思って焦って回した手を緩めようとしたら、梓の空いているもう一方の手が僕の手を押さえてきた。
…えっと、これは嫌がられているわけでは無いんだよな?
僕はそう判断をして、梓に回している手をそのままにしておくことにした。
あの溜息は、何だったんだろう?
なんとなく聞いてはいけない雰囲気だったので、僕は首を傾げる事しかできなかった。
0
お気に入りに追加
96
あなたにおすすめの小説
かつて僕を振った幼馴染に、お月見をしながら「月が綺麗ですね」と言われた件。それって告白?
久野真一
青春
2021年5月26日。「スーパームーン」と呼ばれる、満月としては1年で最も地球に近づく日。
同時に皆既月食が重なった稀有な日でもある。
社会人一年目の僕、荒木遊真(あらきゆうま)は、
実家のマンションの屋上で物思いにふけっていた。
それもそのはず。かつて、僕を振った、一生の親友を、お月見に誘ってみたのだ。
「せっかくの夜だし、マンションの屋上で、思い出話でもしない?」って。
僕を振った一生の親友の名前は、矢崎久遠(やざきくおん)。
亡くなった彼女のお母さんが、つけた大切な名前。
あの時の告白は応えてもらえなかったけど、今なら、あるいは。
そんな思いを抱えつつ、久遠と共に、かつての僕らについて語りあうことに。
そして、皆既月食の中で、僕は彼女から言われた。「月が綺麗だね」と。
夏目漱石が、I love youの和訳として「月が綺麗ですね」と言ったという逸話は有名だ。
とにかく、月が見えないその中で彼女は僕にそう言ったのだった。
これは、家族愛が強すぎて、恋愛を諦めざるを得なかった、「一生の親友」な久遠。
そして、彼女と一緒に生きてきた僕の一夜の物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転校して来た美少女が前幼なじみだった件。
ながしょー
青春
ある日のHR。担任の呼び声とともに教室に入ってきた子は、とてつもない美少女だった。この世とはかけ離れた美貌に、男子はおろか、女子すらも言葉を詰まらせ、何も声が出てこない模様。モデルでもやっていたのか?そんなことを思いながら、彼女の自己紹介などを聞いていると、担任の先生がふと、俺の方を……いや、隣の席を指差す。今朝から気になってはいたが、彼女のための席だったということに今知ったのだが……男子たちの目線が異様に悪意の籠ったものに感じるが気のせいか?とにもかくにも隣の席が学校一の美少女ということになったわけで……。
このときの俺はまだ気づいていなかった。この子を軸として俺の身の回りが修羅場と化すことに。

幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。
四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……?
どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、
「私と同棲してください!」
「要求が増えてますよ!」
意味のわからない同棲宣言をされてしまう。
とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。
中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。
無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。
幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた
久野真一
青春
最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、
幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。
堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。
猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。
百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。
そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。
男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。
とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。
そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から
「修二は私と恋人になりたい?」
なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。
百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。
「なれたらいいと思ってる」
少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。
食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。
恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。
そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。
夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと
新婚生活も満喫中。
これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、
新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる