修行のため、女装して高校に通っています

らいち

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第二章

どうしようもない気持ち2

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な、な、何事!?

僕はあまりにもびっくりしすぎて声も出ない。
佐藤に抱きしめられている!
なんじゃこりゃー!!

「さ、佐藤君っ」

慌てて佐藤の胸を押し返すと、佐藤はやんわりと離れてくれた。

び、びっくりした…。
佐藤がこんな事をするなんて思ってもいなかったから、瞬時に反応できなかった。

冷や汗をかきながら佐藤を見ると、佐藤は困ったように笑っていた。

「ごめん、西村のこと言えねーな」
「…」

いや、西村のような異様さは無かったけれど…。

「前にも言ったけどさ。辛い事とか困ってることがあったら何でも言ってよ。沢村さんが沈んでいるの見てるのって、こっちも辛いからさ」

「佐藤君…。ごめんね、ありがとう」

本当に佐藤は良い奴だ。友達になれたらどんなにいいか…。
男同士で親友になれたら、僕はきっと凄く嬉しいに違いない。

「まあ、無理強いは出来ないけど」
「でも、凄く感謝してる」

僕が佐藤の目をしっかり見てそう言うと、佐藤は少し目を大きくして、「そっか」と言って笑ってくれた。

2人で戻ってきたら一斉にみんなに見られてしまった。佐藤と一緒にいるとどうしても目立ってしまう。
しかもその大半が女子の嫉妬にまみれた視線だ。しかも西村の異様なまでの視線もおまけで付いていて、僕は背筋が寒くなった。

「由紀」
梓がそれに気づいてか声をかけてくれた。僕は女子の視線をあえて無視して席へと戻って行く。

「止められなくてごめん」
梓が小さな声で僕に言う。つられて僕も小さく返した。

「何?」

梓はさらに身を屈めるようにして声を小さくする。

「佐藤がさ、由紀の帰りが遅いから心配だって言ってたんだよ。一応止めたんだけどね。あいつ本当に由紀の事が好きだからさ」

「は~っ」
僕は余計に脱力してしまった。

「本当はもう少し色んなことを制御できる奴なんだけどね」
そう言って梓は苦笑した。

僕が頭を抱えていると、小田が呼びに来た。

「由紀、そろそろ対抗リレー始まるよ」
「あ」

そうだ。そう言えばまどかがいない。
気が動転していた僕は、まどかの存在をコロッと忘れていた。

僕は立ち上がって前に行き、みんなと一緒に応援すべくポンポンを振りまくった。
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