修行のため、女装して高校に通っています

らいち

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第二章

もっと近づきたい3

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クラスの場所へと行くと、西村が満面の笑みで近寄ってきた。ちょっとびっくりして引いてしまう。
すると何を思ったのか、グッと近寄って来て僕の腕をつかんできた。

「俺の出番はまだ先だから、一緒に見よう?」
「えっ、いやあの、私は…」

どっ、どうしよう。なんて断った方が丸く収まるんだ?
梓やまどかを巻き込まずに上手く断る方法は…と、無い頭をフル回転させて考えていたら、佐藤が仲裁(?)に来てくれた。
僕を掴んでいる西村の手を強引に外してくれる。

「お前さ、そういう強引さは沢村さんを困らせるだけだから」
見上げると、佐藤が呆れたように西村を見ていた。

「ほら、沢村さん、梓達が待ってるから」
「あ、うん」

柔らかな態度で僕を促してくれたので、ありがたく好意を戴いておくことにした。梓達の近くに行くと、まどかが僕の手を取って引っ張ってくれた。

「ああいう時の佐藤は、カッコいいよね」
「う、うん。ちょっと申し訳ない…」
「大丈夫だよ。佐藤の好意を無にしないためにも、さっ座って」

促されるまま梓の隣に座って佐藤たちを見ると、未だ西村が佐藤に文句を言っていた。

「お前何だよ、格好つけやがって。本音は俺の邪魔をしたいだけなんじゃないのか?」
「…どう取っても良いけどさ、無理やり腕を引っ張ったりするのは止めとけ」
「ああ?」

キレ気味に西村が佐藤を睨みつけた。
それを傍で見ていた田本が、ドカッと西村の足を蹴りつける。

「お前うっさい! さっきのはどう見ても沢村もビビってただろーが! 文句を言う筋合いはねーよ。さっさと席に戻れ」

田本は普段は温厚だからあまり感じないけれど、顔自体はどちらかというと強面に近い。怒った顔で怒鳴りつけるとそれなりに迫力があった。
西村もそれを感じたようで、ぶつぶつ言いながらも席に戻っていった。

「久しぶりに見たな。田本が怒るの」
梓がちょっと驚いたように呟いた。

「めったに怒らないから迫力あるよね」

まどかは当たり前のように言っている。てことは、まどかも以前にああいう田本を見たことがあるのだろう。

「…恰好良い…」

後ろから小田の小さな声が聞こえてきた。
振り返って見てみると、目をキラキラして田本を見ている。

何だかその姿がとても可愛く思えて、他人事だけど、僕の気持ちも浮上していった。
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