6 / 106
第一章
女って怖い3
しおりを挟む
そんな風にはしゃぎながら歩いていたので、前から歩いてくる二人組に僕らは気が付かずにいた。
すれ違いざまに、梓が急に「痛っ!」と言ってしゃがみこんだ。
「いや~、ブスがしゃべった~」
どうやら、こいつが梓の足を思い切り踏んづけたようだ。
「ちょっと、あんたたち!」
「はあ? 何か文句あるの?」
「自分がブスだからって、美人の梓に嫉妬しないでよね!」
「なっ…!」
言われた女子は、顔を真っ赤にした。
しかも言ってるまどか自身がかなりランクの高い可愛い顔立ちなので、言われた当人にはかなりのダメージがあったに違いない。
「あのさ、あたしになんか恨みでもあるわけ?」
梓が足を摩りながら、聞いてくる。
「別に」
「じゃあ、佐藤のこと?」
「何、やっぱりあんた佐藤君の事好きなわけ?」
「違うよ。あいつはただの幼馴染。それに佐藤だって、誰か好きな人がいるみたいだよ」
「え!? 誰よ、それ!」
二人組の声がハモる。
「さあ、それは分からないけど、ね、さっきそう言ってたよね」
と、梓が僕に同意を求めた。
「うん。私も聞いた、誰かは言わなかったけど」
「…嘘でしょ? まさか、もう付き合ってるの?」
「片思いって言ってたよ? コクってなかったら、あんた達の可能性もあるんじゃないの?」しれっとした顔で、まどかが答えた。
…それは、あり得ないんじゃね―の?
佐藤って顔も良いけど心根も優しいから、こんな性格悪い奴の事を好きになるなんて、ちょっと考えられない。
だけど、まどかの一言でこのバカたちは浮足立った。二人で赤くなってコソコソと何かを話して、「キャーッ」とか言いながら走り去って行く。
「まどか…」
呆れた顔で、梓がため息交じりにつぶやいた。
「いいじゃーん。まあ、佐藤には悪かったけど、ああいう馬鹿は少しくらい恥ずかしい目に合えばいいんだよ」
まどかって、可愛い顔に似合わずに辛辣だ…と、あらためて僕は女の怖さを思い知るのだった。
すれ違いざまに、梓が急に「痛っ!」と言ってしゃがみこんだ。
「いや~、ブスがしゃべった~」
どうやら、こいつが梓の足を思い切り踏んづけたようだ。
「ちょっと、あんたたち!」
「はあ? 何か文句あるの?」
「自分がブスだからって、美人の梓に嫉妬しないでよね!」
「なっ…!」
言われた女子は、顔を真っ赤にした。
しかも言ってるまどか自身がかなりランクの高い可愛い顔立ちなので、言われた当人にはかなりのダメージがあったに違いない。
「あのさ、あたしになんか恨みでもあるわけ?」
梓が足を摩りながら、聞いてくる。
「別に」
「じゃあ、佐藤のこと?」
「何、やっぱりあんた佐藤君の事好きなわけ?」
「違うよ。あいつはただの幼馴染。それに佐藤だって、誰か好きな人がいるみたいだよ」
「え!? 誰よ、それ!」
二人組の声がハモる。
「さあ、それは分からないけど、ね、さっきそう言ってたよね」
と、梓が僕に同意を求めた。
「うん。私も聞いた、誰かは言わなかったけど」
「…嘘でしょ? まさか、もう付き合ってるの?」
「片思いって言ってたよ? コクってなかったら、あんた達の可能性もあるんじゃないの?」しれっとした顔で、まどかが答えた。
…それは、あり得ないんじゃね―の?
佐藤って顔も良いけど心根も優しいから、こんな性格悪い奴の事を好きになるなんて、ちょっと考えられない。
だけど、まどかの一言でこのバカたちは浮足立った。二人で赤くなってコソコソと何かを話して、「キャーッ」とか言いながら走り去って行く。
「まどか…」
呆れた顔で、梓がため息交じりにつぶやいた。
「いいじゃーん。まあ、佐藤には悪かったけど、ああいう馬鹿は少しくらい恥ずかしい目に合えばいいんだよ」
まどかって、可愛い顔に似合わずに辛辣だ…と、あらためて僕は女の怖さを思い知るのだった。
0
お気に入りに追加
96
あなたにおすすめの小説
かつて僕を振った幼馴染に、お月見をしながら「月が綺麗ですね」と言われた件。それって告白?
久野真一
青春
2021年5月26日。「スーパームーン」と呼ばれる、満月としては1年で最も地球に近づく日。
同時に皆既月食が重なった稀有な日でもある。
社会人一年目の僕、荒木遊真(あらきゆうま)は、
実家のマンションの屋上で物思いにふけっていた。
それもそのはず。かつて、僕を振った、一生の親友を、お月見に誘ってみたのだ。
「せっかくの夜だし、マンションの屋上で、思い出話でもしない?」って。
僕を振った一生の親友の名前は、矢崎久遠(やざきくおん)。
亡くなった彼女のお母さんが、つけた大切な名前。
あの時の告白は応えてもらえなかったけど、今なら、あるいは。
そんな思いを抱えつつ、久遠と共に、かつての僕らについて語りあうことに。
そして、皆既月食の中で、僕は彼女から言われた。「月が綺麗だね」と。
夏目漱石が、I love youの和訳として「月が綺麗ですね」と言ったという逸話は有名だ。
とにかく、月が見えないその中で彼女は僕にそう言ったのだった。
これは、家族愛が強すぎて、恋愛を諦めざるを得なかった、「一生の親友」な久遠。
そして、彼女と一緒に生きてきた僕の一夜の物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。
四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……?
どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、
「私と同棲してください!」
「要求が増えてますよ!」
意味のわからない同棲宣言をされてしまう。
とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。
中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。
無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる