33 / 47
第四章
神が助けてくれた!
しおりを挟む
「そうそう、妙に色気があるよなあ」
なんて気持ちの悪いことを言いながら、高橋が私の所に歩いて来る。
ちょっと、近寄らないでよ!
「こういうのを男装の麗人って言うのか?」
目の前の高橋に気が行っていたので、背後から聞こえた声に本気でビックリした。振り返ろうとした瞬間、突然ウエスト辺りを両脇からきゅっと挟まれて、背筋をゾゾゾと悪感が駆け上る。
「何すんのようー!」
反射的に振りかぶって肘鉄でも食らわそうかと思った瞬間、神と目が合ってハッと我に返った。
ヤバい、神にか弱くないことがバレちゃう!
私は慌てて振りかぶったその腕を、不自然な格好で必死に止めた。セクハラは絶対嫌だけど、神に可愛くないと思われるのも絶対嫌~!
「セクハラ禁止ー!」
えっ?
急に不自然な姿勢で私の前に誰かが躍り出たと思ったら神だった。驚き過ぎてぽかんとしている間に、神は思いっ切り田中を突き飛ばしている。
「えっ、今のなに?」
「神が助けに入ったの?」
「ウソでしょ、なんで?」
「何だあれ、神が田中を邪魔したぞ」
えっ、えっ、どういう事? セクハラ禁止って言ったの、神だった?
もしかして私の事、……初めて助けてくれた?
「加代子!」
「え、あっ、はいっ」
恐ろしく真顔で神に名前を呼ばれたものだから、思わず敬語で返してしまった。
「こういう時は躊躇するな。ビシッと払い退けろよ」
「えっ……あ」
だってだって、神には可愛い子だと思われていたいじゃん。乙女心なのに!
口を尖らせて、心の中でもごもごと文句を言った。だってそんなこと言えないもん。
「そういう格好いい加代子の方が僕はいいと思うんだけどな」
「え?」
「かっこかわいいのが加代子だろう?」
「神……」
「これからも遠慮なく痴漢は撃退しろ、いいな?」
そう言って私の顔を覗き込んだ神が、頭をポンポンとした。
はわわわわっ。なに、なに、何?
神が私のこと女の子扱いしてくれている! か、顔が甘いよ。こないだも神から抱きしめてくれたし、やっぱり私、脈あり?
嬉しすぎて私の胸はドキドキと燥ぎまくっているけれど、周りも恐ろしいくらいざわついている。
「加代子、返事は?」
「わ……わかった」
コクンと頷く私に、神はにっこりと笑顔を作った。
どうしよう、どうしよう、神を直視出来ない。顔、めっちゃ熱いよ。
なんて気持ちの悪いことを言いながら、高橋が私の所に歩いて来る。
ちょっと、近寄らないでよ!
「こういうのを男装の麗人って言うのか?」
目の前の高橋に気が行っていたので、背後から聞こえた声に本気でビックリした。振り返ろうとした瞬間、突然ウエスト辺りを両脇からきゅっと挟まれて、背筋をゾゾゾと悪感が駆け上る。
「何すんのようー!」
反射的に振りかぶって肘鉄でも食らわそうかと思った瞬間、神と目が合ってハッと我に返った。
ヤバい、神にか弱くないことがバレちゃう!
私は慌てて振りかぶったその腕を、不自然な格好で必死に止めた。セクハラは絶対嫌だけど、神に可愛くないと思われるのも絶対嫌~!
「セクハラ禁止ー!」
えっ?
急に不自然な姿勢で私の前に誰かが躍り出たと思ったら神だった。驚き過ぎてぽかんとしている間に、神は思いっ切り田中を突き飛ばしている。
「えっ、今のなに?」
「神が助けに入ったの?」
「ウソでしょ、なんで?」
「何だあれ、神が田中を邪魔したぞ」
えっ、えっ、どういう事? セクハラ禁止って言ったの、神だった?
もしかして私の事、……初めて助けてくれた?
「加代子!」
「え、あっ、はいっ」
恐ろしく真顔で神に名前を呼ばれたものだから、思わず敬語で返してしまった。
「こういう時は躊躇するな。ビシッと払い退けろよ」
「えっ……あ」
だってだって、神には可愛い子だと思われていたいじゃん。乙女心なのに!
口を尖らせて、心の中でもごもごと文句を言った。だってそんなこと言えないもん。
「そういう格好いい加代子の方が僕はいいと思うんだけどな」
「え?」
「かっこかわいいのが加代子だろう?」
「神……」
「これからも遠慮なく痴漢は撃退しろ、いいな?」
そう言って私の顔を覗き込んだ神が、頭をポンポンとした。
はわわわわっ。なに、なに、何?
神が私のこと女の子扱いしてくれている! か、顔が甘いよ。こないだも神から抱きしめてくれたし、やっぱり私、脈あり?
嬉しすぎて私の胸はドキドキと燥ぎまくっているけれど、周りも恐ろしいくらいざわついている。
「加代子、返事は?」
「わ……わかった」
コクンと頷く私に、神はにっこりと笑顔を作った。
どうしよう、どうしよう、神を直視出来ない。顔、めっちゃ熱いよ。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
好きな男子と付き合えるなら罰ゲームの嘘告白だって嬉しいです。なのにネタばらしどころか、遠恋なんて嫌だ、結婚してくれと泣かれて困惑しています。
石河 翠
恋愛
ずっと好きだったクラスメイトに告白された、高校2年生の山本めぐみ。罰ゲームによる嘘告白だったが、それを承知の上で、彼女は告白にOKを出した。好きなひとと付き合えるなら、嘘告白でも幸せだと考えたからだ。
すぐにフラれて笑いものにされると思っていたが、失恋するどころか大切にされる毎日。ところがある日、めぐみが海外に引っ越すと勘違いした相手が、別れたくない、どうか結婚してくれと突然泣きついてきて……。
なんだかんだ今の関係を最大限楽しんでいる、意外と図太いヒロインと、くそ真面目なせいで盛大に空振りしてしまっている残念イケメンなヒーローの恋物語。ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりhimawariinさまの作品をお借りしております。
サラシがちぎれた男装騎士の私、初恋の陛下に【女体化の呪い】だと勘違いされました。
ゆちば
恋愛
ビリビリッ!
「む……、胸がぁぁぁッ!!」
「陛下、声がでかいです!」
◆
フェルナン陛下に密かに想いを寄せる私こと、護衛騎士アルヴァロ。
私は女嫌いの陛下のお傍にいるため、男のフリをしていた。
だがある日、黒魔術師の呪いを防いだ際にサラシがちぎれてしまう。
たわわなたわわの存在が顕になり、絶対絶命の私に陛下がかけた言葉は……。
「【女体化の呪い】だ!」
勘違いした陛下と、今度は男→女になったと偽る私の恋の行き着く先は――?!
勢い強めの3万字ラブコメです。
全18話、5/5の昼には完結します。
他のサイトでも公開しています。
鬼上官と、深夜のオフィス
99
恋愛
「このままでは女としての潤いがないまま、生涯を終えてしまうのではないか。」
間もなく30歳となる私は、そんな焦燥感に駆られて婚活アプリを使ってデートの約束を取り付けた。
けれどある日の残業中、アプリを操作しているところを会社の同僚の「鬼上官」こと佐久間君に見られてしまい……?
「婚活アプリで相手を探すくらいだったら、俺を相手にすりゃいい話じゃないですか。」
鬼上官な同僚に翻弄される、深夜のオフィスでの出来事。
※性的な事柄をモチーフとしていますが
その描写は薄いです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
私と彼の恋愛攻防戦
真麻一花
恋愛
大好きな彼に告白し続けて一ヶ月。
「好きです」「だが断る」相変わらず彼は素っ気ない。
でもめげない。嫌われてはいないと思っていたから。
だから鬱陶しいと邪険にされても気にせずアタックし続けた。
彼がほんとに私の事が嫌いだったと知るまでは……。嫌われていないなんて言うのは私の思い込みでしかなかった。
妹に婚約者を奪われたので、田舎暮らしを始めます
tartan321
恋愛
最後の結末は??????
本編は完結いたしました。お読み頂きましてありがとうございます。一度完結といたします。これからは、後日談を書いていきます。
【完結】maybe 恋の予感~イジワル上司の甘いご褒美~
蓮美ちま
恋愛
会社のなんでも屋さん。それが私の仕事。
なのに突然、企画部エースの補佐につくことになって……?!
アイドル顔負けのルックス
庶務課 蜂谷あすか(24)
×
社内人気NO.1のイケメンエリート
企画部エース 天野翔(31)
「会社のなんでも屋さんから、天野さん専属のなんでも屋さんってこと…?」
女子社員から妬まれるのは面倒。
イケメンには関わりたくないのに。
「お前は俺専属のなんでも屋だろ?」
イジワルで横柄な天野さんだけど、仕事は抜群に出来て人望もあって
人を思いやれる優しい人。
そんな彼に認められたいと思う反面、なかなか素直になれなくて…。
「私、…役に立ちました?」
それなら…もっと……。
「褒めて下さい」
もっともっと、彼に認められたい。
「もっと、褒めて下さ…っん!」
首の後ろを掬いあげられるように掴まれて
重ねた唇は煙草の匂いがした。
「なぁ。褒めて欲しい?」
それは甘いキスの誘惑…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる