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第三章
ヤッター、神の洋服借りるよ!
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それはそうと、セーラー服か。……ん?
「ねえ、それならさ、私も男子の学生服でもいいよ!」
これはいい案だと思い、チラッと神を見上げた。神の制服を借りて着る、考えただけでわくわくする。
「何言ってるのよ、加代子」
「え?」
「加代子も立派な客寄せ要因なのよ。そんな地味な服装、させるわけないじゃないの」
「えっ?」
「えっ?」
私だけじゃなく神までもが驚きの声を上げた。チラッと神を見上げると、ふいっと視線を外された。何なの?
「そうだよ、加代子。自覚は無いかもしれないけど、加代子めっちゃ可愛いんだからね! 男子の制服着て終わりだなんてもったいないよ」
琴にまで変な説得をされて戸惑った。もごもごしている内に、今度は男装用のコスプレを見せられる。
「見てほら、執事とか王子様とかもあるよ」
「ん~、確かに格好いいけど、さっきの女装用のよりは高いね」
「執事の衣装かあ。そう言うのって、礼服って言うの? 結婚式に着て行ったり、あと成人式で着るようなスーツとかでも代用できそうだよね」
「ああ、いいねそれ」
少しでもかかる経費を少なくできないかとみんなが話しているのを聞いて、ハッと閃いた。
「ねえ神、確か優作兄さんって、成人式にスーツ着てたよね。貸してもらえるように頼めないかな……」
「そんなのぶかぶかで、着れるわけないだろ」
へっ?
さも呆れたように、突き放すように神が言った。何だかちょっと機嫌が悪いようだ。
「兄さんの身長いくつだと思ってるんだよ。袖大分まくらないと着れないぞ?」
「あっ、そうか」
そういえば優作兄さんって、一メートル八十はありそうだ。
「僕が貸してやるよ」
「えっ?」
「中学の時に従兄弟の結婚式に着て行った黒のロングジャケットがあるから、……多分蝶ネクタイもあったはず。パンツは黒いの持ってるか?」
「うん、持ってる。でも、いいの?」
「もちろん」
うわあ、やった、やった!
「絶対だよ、約束だからね!」
「わかったよ。もう着てない物だから、しまってあるんだ。帰ったら母さんに出してもらうから」
「うん!」
「じゃあ加代子のはそれで決まりだね。神のはどうする?」
小林さんは画面をタップして、今度は女装用のコスチュームの載っている画面を出した。
私的にはメイドかウエディングドレスだな。小林さんじゃないけど、面白味のないセーラー服は却下だ。
「何見てるの?」
目敏く神を見つけた美紀たちが話しの輪に入ってきた。ムッとしたけれど、小林さんが彼女らにも画像を見せたので文句をグッと堪える。
「全員分のを買う気は無いんだけど、集客の為には何着かは買おうと思って」
「なるほど、そうだよね。特に神のは目立つようにしないと」
それは私も完全同意。どうせ女装するなら、綺麗な神が見てみたい。
「ウエディングドレスとかいいと思うんだよなあ」
思わずポロリとこぼれた私の声に、美紀が素早く反応した。
「それ、私も今そう思ってた!」
「よね、だよね!」
いつもいがみ合っている私達の燥ぎように、琴や神までもが目を丸くしている。
「ね、いいと思わない?」
これまたほぼ二人同時に、神に向かって問いかける。呆れるくらいのハモリ具合に苦笑いがこぼれるが、まあそんな事はどうでもいいのよ。問題は神が、首を縦に振ってくれるかどうかだ。
「……まあ、みんながそれを推すんなら……」
「推す推す、推すよね? 琴? 小林さん?」
「真弓達もいいよね?」
私と美紀の迫力に、みんな笑いながら首を縦に振った。
「よし、じゃあ神の衣装と加代子の衣装は決まりだね。他の人たちのも確認取りに行かなくちゃ」
小林さんはそう言って、慌ただしくどこかに消えた。
「ねえ、それならさ、私も男子の学生服でもいいよ!」
これはいい案だと思い、チラッと神を見上げた。神の制服を借りて着る、考えただけでわくわくする。
「何言ってるのよ、加代子」
「え?」
「加代子も立派な客寄せ要因なのよ。そんな地味な服装、させるわけないじゃないの」
「えっ?」
「えっ?」
私だけじゃなく神までもが驚きの声を上げた。チラッと神を見上げると、ふいっと視線を外された。何なの?
「そうだよ、加代子。自覚は無いかもしれないけど、加代子めっちゃ可愛いんだからね! 男子の制服着て終わりだなんてもったいないよ」
琴にまで変な説得をされて戸惑った。もごもごしている内に、今度は男装用のコスプレを見せられる。
「見てほら、執事とか王子様とかもあるよ」
「ん~、確かに格好いいけど、さっきの女装用のよりは高いね」
「執事の衣装かあ。そう言うのって、礼服って言うの? 結婚式に着て行ったり、あと成人式で着るようなスーツとかでも代用できそうだよね」
「ああ、いいねそれ」
少しでもかかる経費を少なくできないかとみんなが話しているのを聞いて、ハッと閃いた。
「ねえ神、確か優作兄さんって、成人式にスーツ着てたよね。貸してもらえるように頼めないかな……」
「そんなのぶかぶかで、着れるわけないだろ」
へっ?
さも呆れたように、突き放すように神が言った。何だかちょっと機嫌が悪いようだ。
「兄さんの身長いくつだと思ってるんだよ。袖大分まくらないと着れないぞ?」
「あっ、そうか」
そういえば優作兄さんって、一メートル八十はありそうだ。
「僕が貸してやるよ」
「えっ?」
「中学の時に従兄弟の結婚式に着て行った黒のロングジャケットがあるから、……多分蝶ネクタイもあったはず。パンツは黒いの持ってるか?」
「うん、持ってる。でも、いいの?」
「もちろん」
うわあ、やった、やった!
「絶対だよ、約束だからね!」
「わかったよ。もう着てない物だから、しまってあるんだ。帰ったら母さんに出してもらうから」
「うん!」
「じゃあ加代子のはそれで決まりだね。神のはどうする?」
小林さんは画面をタップして、今度は女装用のコスチュームの載っている画面を出した。
私的にはメイドかウエディングドレスだな。小林さんじゃないけど、面白味のないセーラー服は却下だ。
「何見てるの?」
目敏く神を見つけた美紀たちが話しの輪に入ってきた。ムッとしたけれど、小林さんが彼女らにも画像を見せたので文句をグッと堪える。
「全員分のを買う気は無いんだけど、集客の為には何着かは買おうと思って」
「なるほど、そうだよね。特に神のは目立つようにしないと」
それは私も完全同意。どうせ女装するなら、綺麗な神が見てみたい。
「ウエディングドレスとかいいと思うんだよなあ」
思わずポロリとこぼれた私の声に、美紀が素早く反応した。
「それ、私も今そう思ってた!」
「よね、だよね!」
いつもいがみ合っている私達の燥ぎように、琴や神までもが目を丸くしている。
「ね、いいと思わない?」
これまたほぼ二人同時に、神に向かって問いかける。呆れるくらいのハモリ具合に苦笑いがこぼれるが、まあそんな事はどうでもいいのよ。問題は神が、首を縦に振ってくれるかどうかだ。
「……まあ、みんながそれを推すんなら……」
「推す推す、推すよね? 琴? 小林さん?」
「真弓達もいいよね?」
私と美紀の迫力に、みんな笑いながら首を縦に振った。
「よし、じゃあ神の衣装と加代子の衣装は決まりだね。他の人たちのも確認取りに行かなくちゃ」
小林さんはそう言って、慌ただしくどこかに消えた。
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