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第三章
モデルの依頼
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加代子はよほど他の女子から目の敵にされているようで、加代子がごちゃごちゃと日直とやり取りをしている間に、僕は大急ぎで外に連れ出されてしまった。
まあ、いいんだけどさ。その内加代子も追っ掛けて来るかもしれないし。
「ねえ神、どこか寄ってかない?」
「うん? そうだなあ……」
パッパー。
クラクションとほぼ同時に、結構な高級車が僕らの傍に止まった。そして閉まっていた窓がスーッと開いて、母さんと同じぐらいの年齢の、綺麗な女性が顔を出した。
えーっと、誰だこの人。見覚えないぞ。
「初めまして、神君よね? お母さんから話は聞いてて?」
「あ……もしかして、工藤さん?」
「そうよ。良かったわ、話が行ってて。少し話がしたいんだけど乗ってくれる?」
「あの……僕はモデルとかそういうの、あまり興味が無いんですよね」
「そうなの? でもこの子のプロモーションも係っているのよ。少しでいいから話し聞いてもらえないかしら」
そう言って工藤さんは、隣に座っている子の背を押した。
あ……本物の桜だ。
どうやら後ろのみんなも桜の姿を見たらしい。急にざわざわと煩くなり、有名人を見た興奮にはしゃいでいるようだ。
「よろしくお願いします」
桜はそう言って、ふわりと笑った。天使の笑顔といわれるだけあって、さすがに可愛い。
まあ母さんの友達の頼みだという事だし、話しを聞くくらいはいいか。
「……わかりました。悪い、みんな。急用出来ちゃったから、また明日な」
「え~?」
有名人を見た興奮はすぐに冷めてしまったらしい。せっかく遊びに行こうと思ってたのにと、みんなかなり不満そうだったけど、僕は「ごめんな」と、手を振って車に乗り込んだ。
「で? 話しってなんですか?」
「ごめんなさい、みんなには悪かったわね」
「大丈夫です、それは。……えっと?」
「ああ、実はね、お母さんの方から少し話を聞いているとは思うんだけど、今度フアッション雑誌のミルクが創刊三周年を迎えるの。それに伴っての企画で、新人男性モデルと桜の絡みで特集ページを組もうっていう事になったんだけど、なかなかいい子が見つからなくてね」
そう言って工藤さんが僕に視線を向けた。
「でもさっきも言った通り、僕はモデルなんかになる気はありませんよ」
「困ったわねえ。冴子に聞いた時は、神君なら女の子大好きだから、きっと大丈夫よって言ってくれてたのに」
……言い方!
「ねえ、じゃあモデルにはならなくていいから、この企画の時だけ撮影に参加するっていうのはどう?」
「なに言ってるの桜。できればその企画を盛り上げて、二人で更に売り出そうっていうのが目的なのよ。それなのに一回こっきりだなんて、ダメに決まってるじゃないの」
「だぁってー、神君が嫌だって言ってるんだもの」
桜がぷくっと頬を膨らませて文句を言った。
ヤバい、可愛いぞこいつは。
可愛い子が大好きな僕は、思わずニヤニヤしながら桜を見ていた。そんな僕を、意味深な表情で工藤さんが見つめている。パチッと目が合って、一瞬慌てた。
「神君?」
「え? はい……」
何だか見透かすような表情で見られ、気分が悪い。だいたい母さんが、僕が女の子が大好きだってばらしたりするからだぞ!
「私達は桜が雑誌のモデルにとどまらず、もっともっと芸能界で羽ばたいてくれると信じているの。それには今度の企画を絶対成功させないといけないのよ」
「はあ……」
工藤さんの熱量は分かった。だからと言って、僕がそれに協力するかどうかはまた別の話しだ。だいたい芸能界なんて興味ないし、そんな物に時間を取られるのは本意じゃないんだ。
まあ、いいんだけどさ。その内加代子も追っ掛けて来るかもしれないし。
「ねえ神、どこか寄ってかない?」
「うん? そうだなあ……」
パッパー。
クラクションとほぼ同時に、結構な高級車が僕らの傍に止まった。そして閉まっていた窓がスーッと開いて、母さんと同じぐらいの年齢の、綺麗な女性が顔を出した。
えーっと、誰だこの人。見覚えないぞ。
「初めまして、神君よね? お母さんから話は聞いてて?」
「あ……もしかして、工藤さん?」
「そうよ。良かったわ、話が行ってて。少し話がしたいんだけど乗ってくれる?」
「あの……僕はモデルとかそういうの、あまり興味が無いんですよね」
「そうなの? でもこの子のプロモーションも係っているのよ。少しでいいから話し聞いてもらえないかしら」
そう言って工藤さんは、隣に座っている子の背を押した。
あ……本物の桜だ。
どうやら後ろのみんなも桜の姿を見たらしい。急にざわざわと煩くなり、有名人を見た興奮にはしゃいでいるようだ。
「よろしくお願いします」
桜はそう言って、ふわりと笑った。天使の笑顔といわれるだけあって、さすがに可愛い。
まあ母さんの友達の頼みだという事だし、話しを聞くくらいはいいか。
「……わかりました。悪い、みんな。急用出来ちゃったから、また明日な」
「え~?」
有名人を見た興奮はすぐに冷めてしまったらしい。せっかく遊びに行こうと思ってたのにと、みんなかなり不満そうだったけど、僕は「ごめんな」と、手を振って車に乗り込んだ。
「で? 話しってなんですか?」
「ごめんなさい、みんなには悪かったわね」
「大丈夫です、それは。……えっと?」
「ああ、実はね、お母さんの方から少し話を聞いているとは思うんだけど、今度フアッション雑誌のミルクが創刊三周年を迎えるの。それに伴っての企画で、新人男性モデルと桜の絡みで特集ページを組もうっていう事になったんだけど、なかなかいい子が見つからなくてね」
そう言って工藤さんが僕に視線を向けた。
「でもさっきも言った通り、僕はモデルなんかになる気はありませんよ」
「困ったわねえ。冴子に聞いた時は、神君なら女の子大好きだから、きっと大丈夫よって言ってくれてたのに」
……言い方!
「ねえ、じゃあモデルにはならなくていいから、この企画の時だけ撮影に参加するっていうのはどう?」
「なに言ってるの桜。できればその企画を盛り上げて、二人で更に売り出そうっていうのが目的なのよ。それなのに一回こっきりだなんて、ダメに決まってるじゃないの」
「だぁってー、神君が嫌だって言ってるんだもの」
桜がぷくっと頬を膨らませて文句を言った。
ヤバい、可愛いぞこいつは。
可愛い子が大好きな僕は、思わずニヤニヤしながら桜を見ていた。そんな僕を、意味深な表情で工藤さんが見つめている。パチッと目が合って、一瞬慌てた。
「神君?」
「え? はい……」
何だか見透かすような表情で見られ、気分が悪い。だいたい母さんが、僕が女の子が大好きだってばらしたりするからだぞ!
「私達は桜が雑誌のモデルにとどまらず、もっともっと芸能界で羽ばたいてくれると信じているの。それには今度の企画を絶対成功させないといけないのよ」
「はあ……」
工藤さんの熱量は分かった。だからと言って、僕がそれに協力するかどうかはまた別の話しだ。だいたい芸能界なんて興味ないし、そんな物に時間を取られるのは本意じゃないんだ。
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