実はこっそりあいつに溺れてますが、何か?

らいち

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第二章

神も私も

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「ほぼ全員が賛成ですね。では学園祭の出し物は、男装女装コンテストに決定します」

 委員長の言葉に、書記が黒板に男装女装コンテストとでかでかと書いた。

「ではまず、それに出場する人達を決めていきます。……ああっと、何人ぐらい出た方がいいかな?」

 委員長の問い掛けに、またざわざわとし始めた。そしていろんな意見が出た結果、予算や手間、ステージを借りられる時間などを考えて、男女それぞれ四人ずつ計八人を選出することに決まった。

「ではまず、立候補する人はいませんか?」

 委員長の問いかけに、さっきまであんなに騒がしかった教室内が静かになった。どうやらみんな自分は出たくないらしい。
 神は多分目立つのが好きだから女装ぐらいどうってことないと思っていそうだけど、彼のことだ、どうせ出るならみんなに押されて出たいと思っているだろう。

「それでは、良いと思う人を推薦して下さい」
「はい、神が良いと思います!」
「私も!」
「私も推薦します」

 ほとんどの女子が賛同して、みんな一斉に挙手をする。

鎌谷かまたに君、異論はありますか?」
「無いよ。みんなが推薦してくれてるんだし、出るよ」

 ほら、やっぱり。満更でもない顔だよ。
 
 神が了承したことで、書記は黒板に神の名前を書いた。

「あと七名お願いします。誰か推薦してくれる人……」
「はい、佐倉加代子さん推薦します」
「はい、俺も」
「俺も推薦するぞー」

 ええっ?
 結構な人数に推薦されて、戸惑った。混乱しながらキョロキョロしていたら、困ったように笑う委員長と目が合った。

「佐倉さん、出てもらえますか?」

 ううっ、どうしよう……。みんなの視線がメッチャ痛い。……神は?
 
 チラリと神の方に視線を向けたら、意外なことにニコニコ笑ってこちらを見ている。
  ……そうか。考えようによっては、同じ作業にあたった方がずっと一緒に居れるってこともあるよね。

「わかりました、出ます」

 私がそう返事をすると、男子が「オーッ」と気勢を上げる。……止めてよね、恥ずかしい。

「ありがとう、じゃあよろしく」

 私がコクンと頷くと、委員長はにこりと笑って私の名前を書くよう書記に指示をした。
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