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Aルート
1日目後編 落下
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[森]
どれだけ時間がたっただろうか。目を覚ますとそこには森一面が広まっていた。横にはワキオとマルタが宙吊りになっているようだ。どうやら最初に目覚めたのは俺か、
ん?宙吊り?
そういえばさっきから体が動かないし、地面に立っている感覚はない。
そう、俺たち3人は正しく宙に浮いているのだ。
「目が覚めたかしら」
宙吊り状態の俺の目の前から声が聞こえてくる。前をむくとそこには美しい容姿の女性が立っていた。違和感があるとすれば格好がファンタジノーの魔女みたいな格好をしていることだ。
「あのぉ、どうして僕達は浮いているのでしょうか?」
「私が浮かしてるからにきまってるじゃない」
得意げに女性は言う。なにが決まっているのだろうか。もしかしたらこの人は何かをキメてるのだろうか。
「あのぉ、ここはどこでしょうか?」
「ここは王国付近のアディビアの森よ」
王国?アディビア?何を言ってるのだろうか。
「今度はこっちが質問させてもらうわね。あなた達、突然空からこの森に降ってきたのだけど、一体何者?よくわからない服装をしているし、場合によってはこのまま牢屋まで搬送させてもらうわよ」
「いえいえいえ、私(わたくし)共はただの学生、学生です!」
「学生?今どきの学生はそんなファッションをするのかしら」
女性と話しているとワキオが目を覚ます。
「あれ、生きてる、生きてるぞおおお!!てあれ?浮いてるぅ!カナタ、俺ら浮いてるぞぉ!これはどういう心霊現象なんだ!?あ、お姉さんこんにちは」
「こんにちは、元気がいいわね」
そんなワキオの大声でマルタも起きる。
「ど、どこ?ここ。天国?」
「マルタ、俺たちはまた新たな心霊現象に巻き込まれてしまったようだぞ!」
「黙ってれワキオ、どうやら俺たちはまたおかしな現象に巻き込まれてしまったっぽいぞ」
って目の前の女性に指をさす。
「え、魔女...のコスプレイヤーさん!?こ、こ、こんにちは、素敵なコスプレですね」
「コス...プレ?よく分からないけど、とりあえず全員目を覚ましたみたいだし、移動しましょうか」
という言葉とともに森の奥から30人ほどの馬に乗った兵士がやってくる。
「リリス様、到着が遅れて申し訳ありません」
先頭の兵士が馬からおりて謝罪する。
「そんなのいいから、さっさとこの3人を城に運びましょう。詳しく話を聞く必要がありそうよ」
リリスと呼ばれた女性は宙に浮いている俺たち3人を馬車の中に放り込むと、
『テレポート』
その一言を言うと姿を消してしまった。
[城付近の街]
街並みは中世に近く、人々が盛んに歩いている。店らしき場所に売っているものは俺たちが知っているようなものでは無いらしい。看板に書かれている文字は読めないがこの世界の人々とは言葉がなぜか通じるっぽい。
「にしても疲れたなぁ」と珍しく元気があまりないワキオが呟く。
「とりあえず街の宿屋の一室を借りたからそこで過ごしてくれ、でしたっけ」マルタも元気なさそうに言う。
「ここじゃないか?」
兵士からもらった地図を見た感じ目の前の建物で間違いないっぽいな。
「にしてもひどいよなぁ!3時間も牢屋で事情聴取って」
「はぁ、結局無事に出てここにいるんだからいいじゃないですか」
俺たちはあの後馬車からおりると即牢屋に連行された。そこで牢屋越しに偉そうな人と俺たちに起こった話をすると、しばらくの質問攻めをされた後、牢屋から開放、街の宿屋を1週間分貸し切ってもらい、今まさにそこに着いたところだ。
宿屋に入ると宿屋の店主が待っていて、丁寧に部屋まで案内された。1週間も貸し切りということで俺たちをどこぞのお金持ちか何かと勘違いしてるのだろうか。
部屋に入ると3人は一斉にベッドに身を放り投げた。
「てかこれ、どういう状況?」
「アディビアだのあのリリスって人の言動だの、僕たちがいた場所とは明らかに違う場所に落ちたみたいですね」
「そういえばさっきのお姉さん『テレポート』って言ってたよな、それに俺たちを浮かしてたし、やっぱ魔法使いなのか!?」
ワキオが少し元気を取り戻す。
「だったら俺たちも魔法を使えるってことか!?」
「さあ?一回試してみたらどうですか?」
「そうだな、じゃあワキオ、『テレポート』頼む」
「わかった、それじゃいくぜ!」
と言うとワキオは立ち上がり右手に力を集中させる。
「ハアアアアアアアアアアアアアアアア」
ワキオの右手に力が集まっているような気がする。
「テレポォォォオオオオオオト!!」
――――シーン
何も起こらない。
「だろうな」
「でしょうね」
そんな簡単に力に目覚めれるほど世界は甘くないらしい。
「ば、馬鹿なああ!?」
ワキオは落胆し、そのままベッドにダイブした後、30秒ほど静かになるとデカいいびきをし始めた。
「じゃあ、僕らも寝ましょうか」
「その前にこいつを風呂場にでも運んでおこう。このままじゃ寝るに寝れない」
俺とマルタは熟睡したワキオを担ぎ、風呂場の床に投げ込んだ後、深い眠りについた。
どれだけ時間がたっただろうか。目を覚ますとそこには森一面が広まっていた。横にはワキオとマルタが宙吊りになっているようだ。どうやら最初に目覚めたのは俺か、
ん?宙吊り?
そういえばさっきから体が動かないし、地面に立っている感覚はない。
そう、俺たち3人は正しく宙に浮いているのだ。
「目が覚めたかしら」
宙吊り状態の俺の目の前から声が聞こえてくる。前をむくとそこには美しい容姿の女性が立っていた。違和感があるとすれば格好がファンタジノーの魔女みたいな格好をしていることだ。
「あのぉ、どうして僕達は浮いているのでしょうか?」
「私が浮かしてるからにきまってるじゃない」
得意げに女性は言う。なにが決まっているのだろうか。もしかしたらこの人は何かをキメてるのだろうか。
「あのぉ、ここはどこでしょうか?」
「ここは王国付近のアディビアの森よ」
王国?アディビア?何を言ってるのだろうか。
「今度はこっちが質問させてもらうわね。あなた達、突然空からこの森に降ってきたのだけど、一体何者?よくわからない服装をしているし、場合によってはこのまま牢屋まで搬送させてもらうわよ」
「いえいえいえ、私(わたくし)共はただの学生、学生です!」
「学生?今どきの学生はそんなファッションをするのかしら」
女性と話しているとワキオが目を覚ます。
「あれ、生きてる、生きてるぞおおお!!てあれ?浮いてるぅ!カナタ、俺ら浮いてるぞぉ!これはどういう心霊現象なんだ!?あ、お姉さんこんにちは」
「こんにちは、元気がいいわね」
そんなワキオの大声でマルタも起きる。
「ど、どこ?ここ。天国?」
「マルタ、俺たちはまた新たな心霊現象に巻き込まれてしまったようだぞ!」
「黙ってれワキオ、どうやら俺たちはまたおかしな現象に巻き込まれてしまったっぽいぞ」
って目の前の女性に指をさす。
「え、魔女...のコスプレイヤーさん!?こ、こ、こんにちは、素敵なコスプレですね」
「コス...プレ?よく分からないけど、とりあえず全員目を覚ましたみたいだし、移動しましょうか」
という言葉とともに森の奥から30人ほどの馬に乗った兵士がやってくる。
「リリス様、到着が遅れて申し訳ありません」
先頭の兵士が馬からおりて謝罪する。
「そんなのいいから、さっさとこの3人を城に運びましょう。詳しく話を聞く必要がありそうよ」
リリスと呼ばれた女性は宙に浮いている俺たち3人を馬車の中に放り込むと、
『テレポート』
その一言を言うと姿を消してしまった。
[城付近の街]
街並みは中世に近く、人々が盛んに歩いている。店らしき場所に売っているものは俺たちが知っているようなものでは無いらしい。看板に書かれている文字は読めないがこの世界の人々とは言葉がなぜか通じるっぽい。
「にしても疲れたなぁ」と珍しく元気があまりないワキオが呟く。
「とりあえず街の宿屋の一室を借りたからそこで過ごしてくれ、でしたっけ」マルタも元気なさそうに言う。
「ここじゃないか?」
兵士からもらった地図を見た感じ目の前の建物で間違いないっぽいな。
「にしてもひどいよなぁ!3時間も牢屋で事情聴取って」
「はぁ、結局無事に出てここにいるんだからいいじゃないですか」
俺たちはあの後馬車からおりると即牢屋に連行された。そこで牢屋越しに偉そうな人と俺たちに起こった話をすると、しばらくの質問攻めをされた後、牢屋から開放、街の宿屋を1週間分貸し切ってもらい、今まさにそこに着いたところだ。
宿屋に入ると宿屋の店主が待っていて、丁寧に部屋まで案内された。1週間も貸し切りということで俺たちをどこぞのお金持ちか何かと勘違いしてるのだろうか。
部屋に入ると3人は一斉にベッドに身を放り投げた。
「てかこれ、どういう状況?」
「アディビアだのあのリリスって人の言動だの、僕たちがいた場所とは明らかに違う場所に落ちたみたいですね」
「そういえばさっきのお姉さん『テレポート』って言ってたよな、それに俺たちを浮かしてたし、やっぱ魔法使いなのか!?」
ワキオが少し元気を取り戻す。
「だったら俺たちも魔法を使えるってことか!?」
「さあ?一回試してみたらどうですか?」
「そうだな、じゃあワキオ、『テレポート』頼む」
「わかった、それじゃいくぜ!」
と言うとワキオは立ち上がり右手に力を集中させる。
「ハアアアアアアアアアアアアアアアア」
ワキオの右手に力が集まっているような気がする。
「テレポォォォオオオオオオト!!」
――――シーン
何も起こらない。
「だろうな」
「でしょうね」
そんな簡単に力に目覚めれるほど世界は甘くないらしい。
「ば、馬鹿なああ!?」
ワキオは落胆し、そのままベッドにダイブした後、30秒ほど静かになるとデカいいびきをし始めた。
「じゃあ、僕らも寝ましょうか」
「その前にこいつを風呂場にでも運んでおこう。このままじゃ寝るに寝れない」
俺とマルタは熟睡したワキオを担ぎ、風呂場の床に投げ込んだ後、深い眠りについた。
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