堕ちていく僕

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リコルート

リコルート④

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ある日店長の柏木さんに呼ばれた。

「リコちゃんちょっといいー?」

「はーい」

「リコちゃんが昨日担当したお客様だけどさ、今度僕が担当させてもらっていいかな?」

「え?はい!もちろん」

「あの人凄く可愛いくなったよねー」

「私の腕がいいからですね♪」

「あ、店長気に入ったんですかー?確かにすっごく可愛くなりましたよね、ヘンな下心で接客しちゃ駄目ですよー」


「そ、そんなんじゃないよー」


「ふふ」

そんな会話をしながら開店の準備をしていた。

その後鳴神さんを店長が担当するようになって鳴神さんはみるみる綺麗になっていった。そしてまた1ヶ月が経った頃……


「こんにちはー」


「いらっしゃいませー」


「予約した鳴神ですが……」


「店長、鳴神様ですー」


「やぁー待ってたよー鳴神さーん♪」


「こんにちわー♪あ、これ差し入れです、皆さんで召し上がって下さいね」

「わーいつもありがとうございます」


とお互いまんざらでも無さそう。


「ゆーくん、どう思う?あの二人」

「友達以上恋人未満って感じですね」

「そっかーまあ焦らず見守っていこうねー」

「ですね」

そんなある日……

「こんにちはー」

「あ、鳴神さんいらっしゃいませー」

いつものように店長が担当して私が通りかかった時に


「あ、リコさんうちの凛が帰って来るんですよー」


「え、良かったじゃないですかー」


「そうなのよーすっかり変わったみたいで、女の子になりたいみたいな事言ってたみたいだけど大丈夫よね?」


(仁科先生の所に居たならしっかり女の子になってそう……)


「ええ…きっと元気に帰ってきますよー」


なんて会話をしていた数日後。

仕事終わりにゆーくんと歩いていると、着物姿の綺麗な女性に声をかけられた。


「こんばんは、お久しぶりです」


「こ、こんばんは、えっと……」


「覚えていませんか?お隣の鳴神凛です」

「えー!?」

「凛くん?」

「はい」

「え、え、随分変わったのね」

「はい、仁科先生に稽古をつけて頂きまして」

あの凛君が髪を結って着物着て和風美人になっている……仁科先生性別関係なく誰でも美しくしてしまう……

恐るべし……

「えっと、女の子になったの??」

「先生のお導きで本当の自分に気が付かされました」

「そっか……お母さんとは会えたの?」

「これから帰るところです」

凛くんと玄関先まで話しながら帰って見送り私達も帰宅するととなりから鳴神さんの声が聞こえた。


「ええー!あなた……凛なの?」

「ただいま帰りました、お母様」

「こんなに綺麗になって……あなた女の子になりたかったの?でもどうして?」

「仁科先生の元で稽古を積んで参りました」

「そう……でもよかった、無事で……」

「心配かけてごめんなさい」

私達は壁越しに鳴神親子のやり取りを聞いてた。

「仁科先生の所って稽古積んだら女の子になっちゃうのよね……噂ではよく聞いたけど、まさかここまでとはね……」

「リコさん僕に先生の所で修行したら?って言いませんでしたっけ?」

「じょ…冗談よ」


こうして別人のようにはなったが凛くんは更生して帰ってきた……
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