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就活から入社までの僕

プロローグ

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僕の名前はユウ。

大学4年生で就活中だけど手応えがない…

亡き父親が残した借金返済の為にも初任給の高い仕事に就きたいところだ…


「はぁ~、いいよなーみんなは……」

僕はため息をつきながらスマホのSNSアプリを開くと、友達からメッセージが届いていた。

【今月も内定無しか?】

【お前はもう諦めろ……バイトさがせよ!】

僕のことを心配してくれているのか馬鹿にしているのか友達からのメッセージだったけど、正直この手のやり取りにはウンザリしている。

「あ~もううるさいな!」


そしてがむしゃらに求人を探していると……

「Nishima Total Beauty Company?」

美容系の会社

みたいだけど、給料や福利厚生などの待遇が良いようだ。

「でも営業かぁ……」

美意識が高い女性が集まるような職場で働く自信がなかった。

「まぁ、ダメ元で面接だけでも受けてみるかな」

軽い気持ちで履歴書を送ったら数日後に書類審査が通り面接通知が届いた。

「お、面接は出来そうだな」

ニ週間後に面接を受けに行くことになった。

電車に乗り指定された住所に向かうと高層ビルの前に到着した。

「……で、でかい……」

どうやらこの20階以上あるビル全部がここの会社らしい。

緊張しながらビルに入りエレベーターに乗り15階の面接フロアに向かった。

そして扉が開くと目の前には綺麗なロビー

があり面接待ちの人が10人くらい居るが全員綺麗な女性で場違い感を感じてしまった。

(うわっ、女性ばかりだな…なんか場違いじゃないか?)

そう思いながらも空いている席に座って待っていると自分の番が来たようで呼ばれたので受付に向かった。

「本日面接予定の山名ユウさんですか?」

「はい、そうです」

「ではこちらへお願いします」

「失礼いたします」

案内された部屋にはスーツ姿の綺麗な女性が居て、僕を見て微笑んだ。

「はじめまして、私はこの会社の専務の鳴神凛と言います。今日はよろしくね」

「は、はい、よろしくお願いします」

「じゃあ早速だけど履歴書を確認させてもらったんだけど、動機は?」

「御社の説明会を聞き大変魅力を感じ、自分の持ち味のコミュニケーションを活かせる仕事を探してました」

「うん、悪くないわね、知ってるとおもうけどうちは美容系の会社だけど、やっていける?」


「は、はい、大丈夫だと思います」

「ふふ♪……わかったわ、じゃあ返事は数日で文書でお返事します」

「わかりました、本日はありがとうございました」

こうして面接は終了した。

帰り道、なんとなく手応えを感じていた。
それから一週間後

封筒が届いた。

『採用』

その二文字を見た瞬間ガッツポーズした。

「お、おお!やった!受かったぞ!!」

通知書には条件として入社までの期間髪を切らずに伸ばすこと。

そして最後に

【Nishima Total Beauty Company】

と書かれていた。

「えっと、美容系だからシャンプーとかの効果でも見るのかな?まぁいいか」


そして半年が過ぎ……大学を無事卒業し春になり入社式を迎えた。
髪は耳の下くらいまで伸びていた。

「ふぅ~、これでよし!」

髪は横に流し
鏡の前でネクタイを整えてから家を後にした。

そして会社に着くと既に沢山の新入社員たちがいた。周りを見渡すと女性しか居ない……
(やっぱ美容系の会社だから女性ばかりだな……)

壇上に社長が現れた。

「みなさんおはようございます。社長の仁科亜美です。これから皆さんには日本の美を盛り上がて頂きます」

社長は和服の綺麗で強いイメージの女性だった。

そして簡単な挨拶のあと配属先を発表され

各自それぞれの部署に散っていった。

「僕はどこだろう?」

「あ、山名君はこっちよ」

女性に呼ばれ営業部と書かれた部屋に入るとそこには……

「はじめまして営業部長の白上リコです。よろしくね」

「はい、よろしくお願いします」

「それじゃあさっそくだけど、あなたが売り込む商品はヘアケアとメイク用品よ。これリストね」

「はい」

渡された資料を見ると有名ブランドから聞いたことのないメーカーまで色々あった。

「頑張ってね、期待してるわ」

「はい、頑張ります!」

それから毎日のように色々な所へ売り込みに行っては断られる日々が続いた。
個人宅、美容室、エステサロン……
ほとんど話すらろくに聞いてもらえなかった……

「今日も一つも売れなかった……」

「まぁ最初はこんなもんよ、気にしない気にしない」

「はい……」

白上部長は優しく言ってくれるが一つも売れず焦っていた。

「山名君、一生懸命売り込むのもいいけど、ちゃんと商品を理解するのも大事よ、ちゃんと商品使ってみた?」


「い、いえ…僕は男なので……」


「今どき性別なんか関係ないわ!それに今は男女平等の時代なんだから男性でもスキンケアや化粧はする時代なのよ」

「そうなんですか……」

正直そんな気はしなかったけど、とりあえず言われるがまま自社のシャンプーや化粧水など使える物を使ってみるようにした。

すると……

肌も綺麗になり髪も艶々になってきた。


「あら、山名君最近綺麗になったんじゃない」

「そうですか?」

「うん、なんだか凄く可愛くなったわよ♪」

「あ、ありがとうございます……」

とはいえ相変らず仕事は上手く行かなかった……

しかしこのあと僕は人生がガラリと変わる事になるのだった……
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