無自覚な

ネオン

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帰宅

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「お帰り梓。随分な大荷物だね。…やぁ、いらっしゃい。長政くんに晃貴くんだね。」
雅樹兄さんがはにかみながら出迎えてくれた。

スーパーで買い物も終わり、
申し訳ないことながら
こうちゃんと長政くんが家まで送ってくれた。

「2人ともありがとうね!良かったら上がってって。」

荷物持ちになってくれた2人にお礼をしようと話しかけたが、2人とも微妙な顔をしていた。するとこうちゃんが口を開き、

「いやっ、良いよ!すぐ帰るから!」

な、長政。とこうちゃんが長政くんに話を振る。

「あぁっ。遠慮しておくよ、如月先輩に悪いからな…。」

食い気味に返答する2人は、雅樹兄さんの顔色を伺っているように見えた。

「えっ、でも…」

「梓。2人とも何か用があるかもしれないんだ。引き止めてはいけないよ。分かるよね。」

2人を見やる雅樹兄さんは100点満点のアルカイックスマイルだった。
 
「そうでした、用事があったので失礼します。」

長政くんはこうちゃんと足速に帰って行った。

「どうしたんだろう…?僕悪いことしちゃったかな。」

「そんな事ないさ、さぁ家に入ろうか。」

買い物袋の中身を冷蔵庫にしまい、椅子に座る。

「そう言えば、雅樹兄さん今日は生徒会無かったの?」

「ん?あぁ、今日は早く終わったんだよ」

雅樹兄さんは僕の分のお茶までいれてくれたようで、差し出してきた。

「ありがとう兄さん。」

お茶を啜りながら雅樹兄さんは尋ねる。
「ねぇ、梓今日のご飯はなんだい?」

「えっと、今日はハンバーグとオムライスかな。大ちゃんの好物だよ。」

「奮発するって言ってたもんな、にしてもアイツも顔に似合わない子供舌だな。」

お子様プレートでも作ってあげなと兄さんが茶化してきて、和んだ空気で夕飯の支度を始めた。


だけど、好物のハンバーグもオムライスも作り終わり、夕飯の時間になっても、さらに日が落ちても大悟は帰ってこなかった。
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みんなの感想(1件)

yume
2020.07.12 yume

ネオン様の作品全て読ませていただきました。どの作品もとても面白く、続きがとても楽しみです!更新大変でしょうが、頑張ってください。応援しています!

解除

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