13 / 24
教皇
しおりを挟む
王都へ来てから一週間が過ぎた。
教皇から会いたいと連絡が来た。
教皇に会いに行く日、何があるかわからない。今日は俺一人で行く事にした。
「リル、今日、出かける事になった」
「リルも?」
「リルは、留守番だ。早く帰ってくるから、待っててくれ。」
それを聞くと、リルの大きな目に、みるみる涙が溜まる。リルと出会ってから、側を離れた事が無い。
「ゔ~!」
瞬きをすると、ポロポロと流れる涙。リルを抱きあげ優しく指で拭う。
「すまない。今日は、側にいられない。その代わり、ずっとアンナとマークがいる。早く帰ってくるから、いい子で待っててくれ。」
頬に、キスをしてやると、俺の首に抱きつき
「うん、リル待ってる」
と。今日も、俺の乙女は可愛い…。
教会についてみると、そこには黒に銀糸で刺繍されたローブに銀の教帽をかぶった爺さんがいた。
「お待ちしておりました。教皇のジェームスでございます」
と、頭を下げる。
周りを見ても、ジェームス一人
「一人なのか?」
「煩わしい物は、置いてきました。」
と、笑う。このジジイ、いい性格をしている。
「取り敢えず、どうぞ」
と、言うジェームスについて行く。教会の奥、中庭を挟んだ所に離れのような建物がある。
「ここが黒銀の間と呼ばれる、黒銀様と乙女の住う館で御座います。」
周りを見れば、館の周りは目隠しのように高い樹木が植えられ、ある程度人目につかないようになっている。
「ここへは教皇と王族しか来れないようになっています」
「…そうか。」
ここは、気持ちよさそうな場所だ。フェンリルの里にも似ているな。初代が作ったのだろう。微かな記憶がある。
教皇はどうぞ、と、教会の方へ戻って行く。
教会内の奥まった場所にある教皇の間に通される。
「まずは、これまでの数々のご無礼、大変申し訳なく思っております…」
そう、頭を下げる。
「お前は知っていたのか?」
俺に座るようソファーを勧め、教皇も向かいに座る。
「申し訳ありません。ここ一年体調が悪く寝たり起きたりで、先代の黒銀様に最後のご挨拶も出来ませんでした。」
教皇から会いたいと連絡が来た。
教皇に会いに行く日、何があるかわからない。今日は俺一人で行く事にした。
「リル、今日、出かける事になった」
「リルも?」
「リルは、留守番だ。早く帰ってくるから、待っててくれ。」
それを聞くと、リルの大きな目に、みるみる涙が溜まる。リルと出会ってから、側を離れた事が無い。
「ゔ~!」
瞬きをすると、ポロポロと流れる涙。リルを抱きあげ優しく指で拭う。
「すまない。今日は、側にいられない。その代わり、ずっとアンナとマークがいる。早く帰ってくるから、いい子で待っててくれ。」
頬に、キスをしてやると、俺の首に抱きつき
「うん、リル待ってる」
と。今日も、俺の乙女は可愛い…。
教会についてみると、そこには黒に銀糸で刺繍されたローブに銀の教帽をかぶった爺さんがいた。
「お待ちしておりました。教皇のジェームスでございます」
と、頭を下げる。
周りを見ても、ジェームス一人
「一人なのか?」
「煩わしい物は、置いてきました。」
と、笑う。このジジイ、いい性格をしている。
「取り敢えず、どうぞ」
と、言うジェームスについて行く。教会の奥、中庭を挟んだ所に離れのような建物がある。
「ここが黒銀の間と呼ばれる、黒銀様と乙女の住う館で御座います。」
周りを見れば、館の周りは目隠しのように高い樹木が植えられ、ある程度人目につかないようになっている。
「ここへは教皇と王族しか来れないようになっています」
「…そうか。」
ここは、気持ちよさそうな場所だ。フェンリルの里にも似ているな。初代が作ったのだろう。微かな記憶がある。
教皇はどうぞ、と、教会の方へ戻って行く。
教会内の奥まった場所にある教皇の間に通される。
「まずは、これまでの数々のご無礼、大変申し訳なく思っております…」
そう、頭を下げる。
「お前は知っていたのか?」
俺に座るようソファーを勧め、教皇も向かいに座る。
「申し訳ありません。ここ一年体調が悪く寝たり起きたりで、先代の黒銀様に最後のご挨拶も出来ませんでした。」
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説
溺愛ダーリンと逆シークレットベビー
葉月とに
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。
立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。
優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?
【完結】夫もメイドも嘘ばかり
横居花琉
恋愛
真夜中に使用人の部屋から男女の睦み合うような声が聞こえていた。
サブリナはそのことを気に留めないようにしたが、ふと夫が浮気していたのではないかという疑念に駆られる。
そしてメイドから衝撃的なことを打ち明けられた。
夫のアランが無理矢理関係を迫ったというものだった。
【完結】俺のセフレが幼なじみなんですが?
おもち
恋愛
アプリで知り合った女の子。初対面の彼女は予想より断然可愛かった。事前に取り決めていたとおり、2人は恋愛NGの都合の良い関係(セフレ)になる。何回か関係を続け、ある日、彼女の家まで送ると……、その家は、見覚えのある家だった。
『え、ここ、幼馴染の家なんだけど……?』
※他サイトでも投稿しています。2サイト計60万PV作品です。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
極上の一夜で懐妊したらエリートパイロットの溺愛新婚生活がはじまりました
白妙スイ@書籍&電子書籍発刊!
恋愛
早瀬 果歩はごく普通のOL。
あるとき、元カレに酷く振られて、1人でハワイへ傷心旅行をすることに。
そこで逢見 翔というパイロットと知り合った。
翔は果歩に素敵な時間をくれて、やがて2人は一夜を過ごす。
しかし翌朝、翔は果歩の前から消えてしまって……。
**********
●早瀬 果歩(はやせ かほ)
25歳、OL
元カレに酷く振られた傷心旅行先のハワイで、翔と運命的に出会う。
●逢見 翔(おうみ しょう)
28歳、パイロット
世界を飛び回るエリートパイロット。
ハワイへのフライト後、果歩と出会い、一夜を過ごすがその後、消えてしまう。
翌朝いなくなってしまったことには、なにか理由があるようで……?
●航(わたる)
1歳半
果歩と翔の息子。飛行機が好き。
※表記年齢は初登場です
**********
webコンテンツ大賞【恋愛小説大賞】にエントリー中です!
完結しました!
隠れ御曹司の愛に絡めとられて
海棠桔梗
恋愛
目が覚めたら、名前が何だったかさっぱり覚えていない男とベッドを共にしていた――
彼氏に浮気されて更になぜか自分の方が振られて「もう男なんていらない!」って思ってた矢先、強引に参加させられた合コンで出会った、やたら綺麗な顔の男。
古い雑居ビルの一室に住んでるくせに、持ってる腕時計は超高級品。
仕事は飲食店勤務――って、もしかしてホスト!?
チャラい男はお断り!
けれども彼の作る料理はどれも絶品で……
超大手商社 秘書課勤務
野村 亜矢(のむら あや)
29歳
特技:迷子
×
飲食店勤務(ホスト?)
名も知らぬ男
24歳
特技:家事?
「方向音痴・家事音痴の女」は「チャラいけれど家事は完璧な男」の愛に絡め取られて
もう逃げられない――
助けてください!エリート年下上司が、地味な私への溺愛を隠してくれません
和泉杏咲
恋愛
両片思いの2人。「年下上司なんてありえない!」 「できない年上部下なんてまっぴらだ」そんな2人は、どうやって結ばれる?
「年下上司なんてありえない!」
「こっちこそ、できない年上の部下なんてまっぴらだ」
思えば、私とあいつは初対面から相性最悪だった!
人材業界へと転職した高井綾香。
そこで彼女を待ち受けていたのは、エリート街道まっしぐらの上司、加藤涼介からの厳しい言葉の数々。
綾香は年下の涼介に対し、常に反発を繰り返していた。
ところが、ある時自分のミスを助けてくれた涼介が気になるように……?
「あの……私なんで、壁ドンされてるんですか?」
「ほら、やってみなよ、体で俺を誘惑するんだよね?」
「はあ!?誘惑!?」
「取引先を陥落させた技、僕にやってみなよ」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる