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第3章

寮の部屋へ行く

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 注意事項を聞いたあとは、寮へ案内された。
 寮は男子寮と女子寮に分かれており、建物の東側が男子寮、西側に女子寮がある。基本往き来は禁止。それぞれの寮には、お世話してくれるメイドさんがいるという。なんて贅沢な環境だろう。
 女子寮へは、そのメイドさんが案内してくれた。

「私は女子寮のお世話係担当、リーダーのスーザンです。なにか必要なものがあれば、私又は他のメイドにお申し付けください。すべてお受けできるとは申しませんが、なるべくご要望にそうようにいたします」

「わかりました」

「そしてなにかちょっとした用事などありましたら、庭師見習いのティモにお申し付けください」

「ティモさんですか?」

 ティモさんもとい、ティモ君は11才の少年だそうだ。

「わかりました。なにか用事がある時はティモ君にお願いします」

「敬称は不要です。他のメイドたちも同様です。そして他の者には不要ですが、ティモにだけは、用事を申しつけたあと、チップをお願いします」

「ティモ君にだけ、チップですか?」

「そうです」

「なんでティモ君にだけなんですか?」

「子供だからです」

 いえいえ、子供だからという理由でチップ?よくわからないのですが…?
 説明を聞く前に、部屋に到着。

「こちらがアリサ様のお部屋です。では私はこれで失礼いたします」

「ありがとうございます」

 スーザンさんは一礼して、踵を返し、今来た廊下を戻っていった。
 部屋は2人部屋ということだった。同室の人って、どんな人だろう?
 トントン。ドアをノックすると、「どうぞ~」
という声とともに、ドアが開く。

「ようこそ~。さ、入って入って~」

「こ、こんにちはー」

 部屋に入る。10畳ぐらいかな。ここは二人の共有スペースだという。正面に大きな窓があり、外が見える。明るい光が射し込んでいる。部屋の中央に大きなテーブルと椅子が4脚あった。部屋の右側と左側にそれぞれドアがあり、そちらは個人部屋だという。個人部屋にはベッドと小さな勉強机や箪笥が置いてある。

「あのねぇ、私が最初に入って左側を使っていたから、右側を使ってねぇ」

「ありがとう。こちらこそ、あなたが一人で使ってたのに、お邪魔しちゃう形になって、ごめんなさい」

「いいのよ~。二人部屋が基本なんだからぁ。今まで一人だったのが、珍しかったんだもん」

 よかった。やさしそうな人だ。

「自己紹介がまだだったわねぇ。私はダフネ。20才よ。呼び捨てで結構よ~。仲良くしましょうねぇ」

 ダフネは赤い髪で青い眼で、背が高く、出るところは出て、くびれているところはくびれているというナイスバディーな女性だった。う、うらやましすぎる…。私だって、これから出るところは出るんだから…。

「私はアリサです。16才です。これは私の召喚獣で、シロガネです。よろしくお願いします」

「へー、もう召喚獣がいるの?アリサって、凄いのねぇ」

「いえ、成り行きで召喚契約したような感じで…」

『そうだぞ。凄いのはアリサじゃなくて、オレだからなー』

 ガウガウとシロガネが吠える。

「あら、シロガネちゃんも挨拶してくれるのねぇ。嬉しいわ~。よろしくねぇ、シロガネちゃん」

『おう、仲良くしてやろう』

 ナイスバディーな女性の色香は、オレ様仕様のシロガネには無意味だった。ま、召喚獣に女性の色香が通用したら、恐くもあるけど…。

「シロガネちゃんはどんな種類の召喚獣なの?私、詳しくなくて~」

「シルバーウルフなの」

「え~と、シルバーウルフって、凄く強いんじゃなかったぁ?」

「そうらしいんです」

『おう、オレは強いんだぞ!』

「アリサは凄い”精霊の加護”をもらったのねぇ。私はあなたほどじゃないけど、”火の精霊の加護”を受けたのよ~。だから、髪も赤くなったの。前はもう少し茶色に近かったのよ~」

 加護をもらうと髪の色が変わるってこと、やっぱりあるんだね。

 「アリサはどんな種類の加護を受けたの?」

「私はわからないの」

 だって、加護を受けた訳じゃないからね。

「アリサは何の魔法が使えるの?それで分かるわよ~。”火の加護”を受けたから、私は火魔法が使えるのよ~」

「火魔法、凄いですね!私はまだ魔法使えないの」

「えっ⁉召喚獣がいるのに?」

「さっきも言ったけど、本当に成り行きでだから…」

『さっきから成り行きだからとか。失礼だぞ!』

 シロガネがガウガウと言う。
 失礼もなにも、本当のことじゃない。

「だから、学校へ行って勉強しなさいって言われたのよ」

 シロガネを無視して、ダフネに言った。

「なるほどねぇ。でも楽しみねぇ?どんな魔法が使えるのかしらぁ?召喚契約できるくらいだから、ものすごかったりして…!ウフフ♥」

 ウフフ♥じゃないよ?ダフネは凄く楽しそうだけど、私は不安だよ。私は本当に魔法を使えるのかな?


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 お読みいただ、ありがとうございます。
 ゴールデンウィークですね。
 お休みの方も、お仕事の方も、無事お過ごしくださいませ。
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