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第2章
長い一日の終わり
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「嬢ちゃん、危ない目に合わせて、悪かったな」
ギルマスのハンクさんが、頭を下げる。
「いいんです。私を守るために、護衛までつけていただいてたんですね。ありがとうございます」
『アリサにはオレがいるから、他の護衛なんていらなかったのに』
シロガネがガウガウと文句を言う。
すると、シロガネの言うことがわかったのか、ルナルースさんが言った。
「ギルマスがシロガネに事情を話しておいてもらって、よかったです。事情を知っていて、こちらも気配を消しているのに、たまにシロガネから殺気が感じられました」
『ずっと付いてこられて、不快だったからな』
すみません。私はどちらも全然気づきませんでした。
護衛は2人一組で行い、何組かと交代でしていたという。今日は、ルナルースさんと途中すれ違った猫獣人の女性が護衛当番だった。犯人の一味らしい男が現れたので、猫獣人の女性がギルドへ報告に行き、ルナルースさんが私たちの後を追ってきたそうだ。
ずっと護衛してくれて、ありがとうございます。
「嬢ちゃんは早く学校へ行って、魔力の使い方を知っておいた方がいい。身を守るために魔法を覚えた方がいいし、もし身を守るために、力が暴走したとしたら、危ないからな」
ハンクさんが以前と同じように、重ねて忠告してくる。
「とりあえず、魔獣の売買をしていた奴らは捕まえたから、大丈夫だと思うが。まだ仲間がいるかもしれん。十分用心しておいてくれ。まあ、シロガネという用心棒がいるから、心配ないだろうが」
『ほー、聞いたか?アリサ。やっとオレのすごさを認める奴が現れたぞ』
「はいはい。シロガネ、ありがとうね」
軽く受け流す。シロガネは不服そうだが、無視。
「ハンクさん、学校へはシロガネと一緒に入っても大丈夫ですよね?」
「もちろんだ。シロガネは嬢ちゃんの召喚獣だからな」
ハンクさんと、しばらく話をした後、今日は帰っていいと言われた。
ギルマスとルナルースさんは今日の出来事について、まだ話をしていくというので、副ギルマスのラウルさんが馬車で送ってくれることになった。
「嬢ちゃん、シロガネ、ゆっくり休んでくれ」
帰り際、ハンクさんに言われた。
食堂へ帰る時は、夜も遅くなってしまった頃だった。
「お帰り、アリサ。随分遅かったね」
おばさんが声をかけてくれる。ミリアと交代で、メイさんがいた。コメットさんは先ほど、帰ったという。
「はい、ようやく終わりました」
ラウルさんがおじさんたちに、今日の話をして謝っていた。後は私が話すこととし、帰ってもらった。
「アリサ、大丈夫だったの?服が破れているわよ!」
「え?」
メイさんが目ざとく、斬られた服を見つける。回復魔法は傷は治せても、服までは直せなかったようだ。
「ケガしてないかい?」
おばさんが心配そうに、聞いてくる。
「大丈夫です」
ケガは治してもらいましたから。
「アリサ、疲れただろう?腹減ってないか?何か作ってやろう」
「ありがとう。おじさん」
「アリサ、座りな。喉、渇いてるかい?水でも持ってきてやろうね。シロガネも飲むかい?」
「心配かけて、ごめんなさい。でも大丈夫だから」
おばさんたちは心配そうに、代わる代わる話かけてくれる。
私は「家」に帰ってきたんだ。
その夜。ベッドに入った私は、シロガネをギュッと抱きしめた。
「シロガネ、私、生きてるよね…」
『どうしたんだ?』
「今日は本当に死ぬかと思った」
『無事に帰ってきたぞ。オレがいて、お前を簡単に殺させるもんか』
イケメンのお兄さんに言われたら、キュンとくるけど、シロガネじゃ、ねえ…。だから、ちょっと茶化す。
「シロガネは暴れてただけじゃないの?」
『失礼なやつだな』
「シロガネの毛はもふもふだね」
『もふもふ?』
「気持ち良いってこと」
『そうだろ、気持ち良いだろ?』
そう言い合っていたら、いつの間にか眠ってしまった。
~~~~~~~~~~~~~
お読みいただき、ありがとうございます。
ようやく、長い一日が終わりました。
ギルマスのハンクさんが、頭を下げる。
「いいんです。私を守るために、護衛までつけていただいてたんですね。ありがとうございます」
『アリサにはオレがいるから、他の護衛なんていらなかったのに』
シロガネがガウガウと文句を言う。
すると、シロガネの言うことがわかったのか、ルナルースさんが言った。
「ギルマスがシロガネに事情を話しておいてもらって、よかったです。事情を知っていて、こちらも気配を消しているのに、たまにシロガネから殺気が感じられました」
『ずっと付いてこられて、不快だったからな』
すみません。私はどちらも全然気づきませんでした。
護衛は2人一組で行い、何組かと交代でしていたという。今日は、ルナルースさんと途中すれ違った猫獣人の女性が護衛当番だった。犯人の一味らしい男が現れたので、猫獣人の女性がギルドへ報告に行き、ルナルースさんが私たちの後を追ってきたそうだ。
ずっと護衛してくれて、ありがとうございます。
「嬢ちゃんは早く学校へ行って、魔力の使い方を知っておいた方がいい。身を守るために魔法を覚えた方がいいし、もし身を守るために、力が暴走したとしたら、危ないからな」
ハンクさんが以前と同じように、重ねて忠告してくる。
「とりあえず、魔獣の売買をしていた奴らは捕まえたから、大丈夫だと思うが。まだ仲間がいるかもしれん。十分用心しておいてくれ。まあ、シロガネという用心棒がいるから、心配ないだろうが」
『ほー、聞いたか?アリサ。やっとオレのすごさを認める奴が現れたぞ』
「はいはい。シロガネ、ありがとうね」
軽く受け流す。シロガネは不服そうだが、無視。
「ハンクさん、学校へはシロガネと一緒に入っても大丈夫ですよね?」
「もちろんだ。シロガネは嬢ちゃんの召喚獣だからな」
ハンクさんと、しばらく話をした後、今日は帰っていいと言われた。
ギルマスとルナルースさんは今日の出来事について、まだ話をしていくというので、副ギルマスのラウルさんが馬車で送ってくれることになった。
「嬢ちゃん、シロガネ、ゆっくり休んでくれ」
帰り際、ハンクさんに言われた。
食堂へ帰る時は、夜も遅くなってしまった頃だった。
「お帰り、アリサ。随分遅かったね」
おばさんが声をかけてくれる。ミリアと交代で、メイさんがいた。コメットさんは先ほど、帰ったという。
「はい、ようやく終わりました」
ラウルさんがおじさんたちに、今日の話をして謝っていた。後は私が話すこととし、帰ってもらった。
「アリサ、大丈夫だったの?服が破れているわよ!」
「え?」
メイさんが目ざとく、斬られた服を見つける。回復魔法は傷は治せても、服までは直せなかったようだ。
「ケガしてないかい?」
おばさんが心配そうに、聞いてくる。
「大丈夫です」
ケガは治してもらいましたから。
「アリサ、疲れただろう?腹減ってないか?何か作ってやろう」
「ありがとう。おじさん」
「アリサ、座りな。喉、渇いてるかい?水でも持ってきてやろうね。シロガネも飲むかい?」
「心配かけて、ごめんなさい。でも大丈夫だから」
おばさんたちは心配そうに、代わる代わる話かけてくれる。
私は「家」に帰ってきたんだ。
その夜。ベッドに入った私は、シロガネをギュッと抱きしめた。
「シロガネ、私、生きてるよね…」
『どうしたんだ?』
「今日は本当に死ぬかと思った」
『無事に帰ってきたぞ。オレがいて、お前を簡単に殺させるもんか』
イケメンのお兄さんに言われたら、キュンとくるけど、シロガネじゃ、ねえ…。だから、ちょっと茶化す。
「シロガネは暴れてただけじゃないの?」
『失礼なやつだな』
「シロガネの毛はもふもふだね」
『もふもふ?』
「気持ち良いってこと」
『そうだろ、気持ち良いだろ?』
そう言い合っていたら、いつの間にか眠ってしまった。
~~~~~~~~~~~~~
お読みいただき、ありがとうございます。
ようやく、長い一日が終わりました。
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