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第2章
呼び出し
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私が魔法学校に入るので、食堂のお手伝いをもう一人増やすことになった。お手伝いは、近くに住む山羊族のコメットさんに頼むことになった。
コメットさんは背が高く、痩せていて、頭に2本のツノがある。普通ツノは後方へ向かって弓型に伸びるそうだが、彼女のツノは三角形で、上に向かって伸びている。ツノのある獣人は、この異世界の中では嫌われるそうだ。コメットさんはツノが変わってるので、余計に嫌われるみたいだ。彼女はやさしかったダンナさんを亡くし、未亡人になってしまった。生活のため働こうとしたが、その変わったツノのため、なかなか雇ってくれるところがなかったという。おじさんたちが声を掛けたのは、そんな時だった。
「コメットさん、大変だと思うけど、少しづつ慣れていってくれればいいからね」
おばさんが言う。
「早く慣れるようにがんばりますので、よろしくお願いします」
「ウチの食堂の客で、そんな奴はいないと思うが、もし何か嫌なことをされたら、遠慮なく言ってくれ。客によく言い聞かせるからよ」
と、おじさんが言うと、
「ありがとうございます」
コメットさんは、ホッとしたように言った。
+++++++++
「こんにちは。私、ギルドからの使いの者ですが」
一人の青年が食堂に入ってきて、言った。
「なんでしょう?」
「こちらのお嬢さんに手続きしていただくことができたので、一緒に来てもらいたいのですが」
「えっ?今ですか?」
「急ぎなもので」
いや急ぎすぎでしょう。そんなに重要な事なのかな?
そばで聞いてたおばさんが言った。
「アリサ、行っておいで。今日はコメットさんが来てくれてるから、大丈夫だよ。ギルドの用事なら、早く行った方がいいだろうからね」
「お嬢さん、早く行きましょう」
青年が急かしてくる。
「おばさん、行ってくるね」
「気をつけて、行っといで」
青年の後について行く。もちろん、シロガネも一緒だ。
そういえば、シロガネは召喚獣だから、学校へ連れていってもいいんだよね…?
そんなことを思いながら、急ぎ足で歩いて行く。
しばらく行くと、おかしなことに気がついた。こっちって、ギルドとは反対の方向だよ。
「あのー、ギルドへ行くんじゃないんですか?」
「今日はギルドではなく、別の場所へ行くんですよ」
「どこへ行くんですか?」
「行けばわかります」
それにしても、この人、足が速い。ついて行くのが、やっとだよ。それになんでキョロキョロしているんだろう?
《アリサ、気をつけろよ》
「なんで?」
《しっ!声をだすな》
「何か言いましたか?」
前を歩く青年が振り返って聞く。
「いえ、別に」
声を出すなって、どうやってシロガネと会話しろって言うのかな?
《頭の中で念じるんだ》
念じる?んーと。頭の中で会話する感じ?
《シロガネ、通じてる?》
《大丈夫だ、通じてる》
《なんで、声に出しちゃだめなの?》
《あいつに聞かせないためだ》
あいつって、ギルドの青年のことだよね?
《なんで?》
《嫌な感じがする。気をつけろ》
《嫌な感じ?わからないけど、気をつける》
辺りは人気もなくなってきた。
しばらくして、道がつきあたり、少し広くなった場所で、青年は立ち止まる。
「どうしたんですか?」
「ここが終点さ!」
すると、建物の間からゾロゾロと男達が姿を現す。
身構えるシロガネ。
「あの、この人たち誰ですか?」
「俺たちかい?その魔獣の持ち主さ」
一人の男が言う。
「持ち主?」
どういうこと?
「せっかく魔力封じの鎖をつけたのによー。どうやったかは知らないが、鎖を取りやがって」
「あなたたちがシロガネに鎖をつけたのね!」
~~~~~~~~~~~~~~~
お読みいただき、ありがとうございます。
今までと少し違う展開になってきました。
コメットさんは背が高く、痩せていて、頭に2本のツノがある。普通ツノは後方へ向かって弓型に伸びるそうだが、彼女のツノは三角形で、上に向かって伸びている。ツノのある獣人は、この異世界の中では嫌われるそうだ。コメットさんはツノが変わってるので、余計に嫌われるみたいだ。彼女はやさしかったダンナさんを亡くし、未亡人になってしまった。生活のため働こうとしたが、その変わったツノのため、なかなか雇ってくれるところがなかったという。おじさんたちが声を掛けたのは、そんな時だった。
「コメットさん、大変だと思うけど、少しづつ慣れていってくれればいいからね」
おばさんが言う。
「早く慣れるようにがんばりますので、よろしくお願いします」
「ウチの食堂の客で、そんな奴はいないと思うが、もし何か嫌なことをされたら、遠慮なく言ってくれ。客によく言い聞かせるからよ」
と、おじさんが言うと、
「ありがとうございます」
コメットさんは、ホッとしたように言った。
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「こんにちは。私、ギルドからの使いの者ですが」
一人の青年が食堂に入ってきて、言った。
「なんでしょう?」
「こちらのお嬢さんに手続きしていただくことができたので、一緒に来てもらいたいのですが」
「えっ?今ですか?」
「急ぎなもので」
いや急ぎすぎでしょう。そんなに重要な事なのかな?
そばで聞いてたおばさんが言った。
「アリサ、行っておいで。今日はコメットさんが来てくれてるから、大丈夫だよ。ギルドの用事なら、早く行った方がいいだろうからね」
「お嬢さん、早く行きましょう」
青年が急かしてくる。
「おばさん、行ってくるね」
「気をつけて、行っといで」
青年の後について行く。もちろん、シロガネも一緒だ。
そういえば、シロガネは召喚獣だから、学校へ連れていってもいいんだよね…?
そんなことを思いながら、急ぎ足で歩いて行く。
しばらく行くと、おかしなことに気がついた。こっちって、ギルドとは反対の方向だよ。
「あのー、ギルドへ行くんじゃないんですか?」
「今日はギルドではなく、別の場所へ行くんですよ」
「どこへ行くんですか?」
「行けばわかります」
それにしても、この人、足が速い。ついて行くのが、やっとだよ。それになんでキョロキョロしているんだろう?
《アリサ、気をつけろよ》
「なんで?」
《しっ!声をだすな》
「何か言いましたか?」
前を歩く青年が振り返って聞く。
「いえ、別に」
声を出すなって、どうやってシロガネと会話しろって言うのかな?
《頭の中で念じるんだ》
念じる?んーと。頭の中で会話する感じ?
《シロガネ、通じてる?》
《大丈夫だ、通じてる》
《なんで、声に出しちゃだめなの?》
《あいつに聞かせないためだ》
あいつって、ギルドの青年のことだよね?
《なんで?》
《嫌な感じがする。気をつけろ》
《嫌な感じ?わからないけど、気をつける》
辺りは人気もなくなってきた。
しばらくして、道がつきあたり、少し広くなった場所で、青年は立ち止まる。
「どうしたんですか?」
「ここが終点さ!」
すると、建物の間からゾロゾロと男達が姿を現す。
身構えるシロガネ。
「あの、この人たち誰ですか?」
「俺たちかい?その魔獣の持ち主さ」
一人の男が言う。
「持ち主?」
どういうこと?
「せっかく魔力封じの鎖をつけたのによー。どうやったかは知らないが、鎖を取りやがって」
「あなたたちがシロガネに鎖をつけたのね!」
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お読みいただき、ありがとうございます。
今までと少し違う展開になってきました。
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