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第2章

ギルマス(改稿10/5)

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 椅子に座って待っていると、筋肉ムキムキな男性が入ってきた。

「すまん、待たせたな」

 
 そう言って、私たちの真向かいに座った。そして、私の足元にいるシロガネに目を移す。

「本当に、ちっこいけどシルバーウルフだな。どっちの嬢ちゃんが召喚したんだ?」

「あの、私です…」

「魔力検査はこれからだと聞いたんだが?」

「そうです」

「どうやって召喚したんだ?」

「えっと…偶然出会って、名前をつけようかと言ったら、いいよ、みたいな?」

「……。そんなに軽く召喚できるものではないだろう?」

 でも、そうなんだもん。

「あの、この、精霊の加護をもらったみたいなんです」

 ドリーが話しに割り込んできた。

「精霊の加護を?」

「はい、だから髪の色が変わってきてるんです。ただ、加護が強すぎたせいで”物忘れ病”になっちゃって…」

 いや、ドリー、話作っちゃってるよね?

「ほー、物忘れ病にかあ。確かに、髪の色が変わってきてるな」

 いえ、染めてない髪の毛がのびただけです。

「自己紹介が遅れてすまん。俺はギルドマスターのハンクだ」

「私は”陽だまりのパン屋”のドリー、この娘は”川の夕暮れ亭”のアリサです」

「”陽だまりのパン屋”は食パンで有名なところじゃないか。”川の夕暮れ亭"はハンバーガーで有名だったな」

 はい、よくご存じで…。

「俺はまだハンバーガーを食ってないんだが、話は聞いてる」

 冒険者さんたちから、聞いてるのかな…?

「今回は魔力検査もしてないのに、もう召喚獣を連れてる嬢ちゃんがいると聞いてな。会ってみようと思ったんだが。たぶん、嬢ちゃんは魔力が相当高いと思う」

「そうですか?」

「シルバーウルフクラスの魔獣となると、こいつがちっこいとは言え、相当な魔力値がないと契約してくれないだろう」

『さっきから、ちっこいちっこいとうるさいぞ』

 シロガネがガウガウと反論する。

「なぜ急に吠えているんだ?」

「ハンクさんがシロガネをちいさい、ちいさいと連呼するから、機嫌悪くしたみたいです」

「なるほど。ん?嬢ちゃん、シルバーウルフの言葉がわかるのか?」

「はい」

「ハアー、なるほど。やっぱり、こっちに来てもらって、正解だったな。ところで、嬢ちゃんはシルバーウルフをどこで見つけたんだ?」

「えっと…。確か、ミルヒーの店の手前ですね」

「ということは、街中だな?」

「そうです」

 シロガネと会った話をハンクさんにする。

「力を抑える鎖…。街に魔獣を連れてきた…」

 ハンクさんはそう呟いた後、しばらく考えこんでいた。そこへ、ドアをノックする音。トントン。

「入れ」

「検査道具を持ってきました」

 部屋に案内してくれた受付嬢さんが、大きな丸い水晶をのせた手押し車を押して、入って来た。

「そこに置いてくれ。それと…」

 ハンクさんは受付嬢さんに近寄り、何やら耳打ち。

「わかりました」

 そう言って、受付嬢さんは部屋を出て行った。

「さて、嬢ちゃんの魔力検査をしてみよう。こっちに来て、水晶に手を置いてくれ」

 言われるまま、水晶に手を置く。水晶が光る。

「手をはずしていいぞ」

 手をどけると、ハンクさんが水晶を見る。

「なんだと!?860だって?嬢ちゃん、とんでもない加護をもらったもんだな!」

「え?」

「いきなりの上級だぞ!」

「アリサ、すごすぎだよ!」

 ハンクさんとドリーは驚いているが、私にはさっぱり。上級?何のこと?



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 短いですが、投稿させていただきます。

訂正しました。
妖精の加護➡精霊の加護
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