上 下
28 / 59
第2章

おやつを作ろう(改稿5/19)

しおりを挟む
 朝、目が覚めた時、暖かかった。シロガネを抱いていたようだ。シロガネは気にならなかったようで、横でクークーと寝ている。

「さてお仕事、お仕事」

 シロガネはどうしよう?手伝わせるわけにもいかないし…。このまま寝かせておこう。

 朝食を食べる頃合いに、シロガネを迎えに行く。シロガネは、まだ寝ていた。

「シロガネ、起きて。ご飯だよ」

『起きているぞ』

 「いや、ねてたよね?」

『このオレがゆっくりねていたなど、ありえん』

 なにやら、ぶつぶつ言ってるけど…?

「下、行くよ」

 

 シロガネを連れて、下へ行く。今日は、目玉焼きをのせたトーストと野菜がたくさん入ったクリームシチューだ。
 シロガネは鼻をクンクンいわせている。

『なんだ、この白い汁は?』

「クリームシチューだよ」

『この四角いパンの上にのっているのは、なんだ?』

「目玉焼きだよ。クックルーの卵を焼いたの」

『ほー』

 そう言って、ハグハグと食べ始めた。

『目玉焼きもシチューとやらも旨い』

「シロガネちゃん、かわいいね」

 ミリアが言う。

「魔獣だって小さいうちは、かわいいもんさ。小さくても恐いヤツもいるがな」

 おじさんが言った。
 

 パンの配達に来たドリーも

「シルバーウルフって、可愛いのねー。もっと恐いかと思ってたんだけど」

なんて言ってた。

「普通は恐いからね?」

「わかってるわよ」

「シロガネは召喚獣なの」

「召喚獣…?」

「私、魔力持ちだったみたい」

「やっぱり?そうでしょ、そうこなくちゃ!」

 ドリー、すごいうれしそうなんですけど…?

「魔力検査にいくのね?」

「うん」

「私も一緒に行ってもいい?」

「いいの?」

 先日の件がある。二人で行くのも、抵抗があったんだけど…。
 シロガネが、

『問題ない。オレがいるから、大丈夫だ』

って言うんだ。

「本当に大丈夫?」

 いざという時、元の大きさになればいいのかな?

『なにを言う。アリサの魔力を分けてもらったから、力がみなぎっているさ』

 魔力を分けてって…?いつの間に?
 シロガネによると、召喚獣は主の魔力を分けてもらうことで、力となるらしい。それなら、食べなくてもいいんじゃないと思うのだが…?

『それとこれとは別だ。旨いもんを食べたくなるのが、本能だろう?』

 それはそうなんだけど…。グランハニービーたちだって、餌となるものを食べてるくらいだからね。わかるけど…。

「だって、シロガネ食べすぎなんだもん!」

『ふん!』


+++++


 アルクトラスの子供たちは、働き者だ。遊びたい盛りだろうに、家のために、一所懸命に働いている。ミリアを見ていると、すごいと思う。なにか、ミリアにしてあげたいけど、なにがいいかな?なにか作ってミリアにあげようか。別にシロガネの小腹をみたす訳じゃないからね?
 今日はクッキーを作ってみよう。みんなで食べれるし。

 バターをボウルに入れ、湯せんにかける。バターが溶けたら湯から外し、そこへ砂糖の代わりに蜂蜜を入れて、よく混ぜる。卵を少しずつ入れ、よく混ぜる。小麦粉を入れ、よく混ぜる。
 型抜きがないので、少しずつ千切って、手で形を作る。手でも意外と作れるんだよ。手間かかるけど。ここは少し丸みをつけ、こっちは尖らせ…、ハートの出来上がり!
 今度は5つ角を作り、星型できた!

「アリサ、今度は何を作っているんだい?」

 おばさんがのぞきこむ。

「クッキーです。おやつに食べようと思って」

「おやつ?」

「えーと、食事と食事の間に、食べるものかな?」

「軽食みたいなものかい?」

「まあ、そんなものです」

「どうして、クッキーをそんな形にするんだい?」

「かわいいから?」

 こちらにもクッキーはあった。普通は、木の実などを入れた丸い手作りクッキーだ。だから、丸くないクッキーって珍しいのかな?

「かわいいから作る?おかしなことを考える娘だねえ」

 おばさん、あきれてる?

「お姉ちゃん、手伝うよ」

「ミリア、ありがとう」

 かなり、出来たね。あとは焼くだけ。オーブンに入れて、時々様子を見る。
 おー、良い感じにキツネ色になった。完成だ。1個味見してみよう。いいねえ、上手くできたよ。

「ミリアも味見してみて」

「ありがとう。美味しいよ、お姉ちゃん」

 ん?視線を感じる。

「うわ!おじさん、なんですか?」

「もう、食べれるのか?いいニオイがするからよ」

「試食してたんですよ」

「俺にもくれ」

「どうぞ」

「ポリポリ。旨い」

「トムスばっかり、ずるいじゃないか」

「おばさんまで…」

「アタシは小腹が空いたのさ。それはおやつに、食べるんだろう?さあ、食べようじゃないか」

「そうですね、食べましょう」

 クッキーをお皿に盛り、テーブルへ置く。

「さあ、どうぞ」

「普通のクッキーより、甘くて美味しいねえ」

「蜂蜜を入れましたからね」

『オレにも、クッキーをよこせ!』

「シロガネ、食べすぎ注意だからね」



~~~~~~~~~~~~

 更新が遅くなりました。

 5/19変更しました。
 バターを湯せんに入れて、溶かす→ バターをボウルに入れ、湯せんにかける。バターが溶けたら湯から外し  に変更いたしました。

 ご指摘ありがとうございました。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

死んだのに異世界に転生しました!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:534pt お気に入り:9,404

精霊に好かれた私は世界最強らしいのだが

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:4,215

転生した愛し子は幸せを知る

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:603pt お気に入り:3,846

過労死社畜は悪役令嬢に転生して経済革命を起こす

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:106pt お気に入り:2,521

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:63pt お気に入り:4,349

異世界転移した町民Aは普通の生活を所望します!!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:2,541

処理中です...