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第1章

精霊の加護?(改稿4/3)

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「あのさ、ドリー」

「なに?」

「今度、冒険者ギルドに行きたいの。一緒に行って欲しいんだけど」

「冒険者ギルド?アリサは冒険者になりたいの?」

「違うよ!ギルドの売店に用があるの!」

「冗談よ。ギルドの売店に何の用があるの?」

「ギルドのお店で、探したいものがあるの」

「そうなの。いいよ、一緒に行こう」


 この世界には、ギルドという組合みたいなものがある。
 代表的なものは、冒険者ギルドと商業ギルド。
 冒険者ギルドは、冒険者が登録し、魔物討伐や護衛などの仕事を斡旋したり、依頼を受けたりするところ。
 商業者ギルドは、品物の売買や商売に関することを仲介しているところ。ギルドに登録すると、個人売買もできるそうだ。

 一般的に流通している大部分の品物は、お店や商業ギルドを通して売られている。その中にはあまり売れないものもある。お店としては、売れないものをずっと扱うことはしない。けれどそういう品物の中には、冒険者たちが扱って欲しいというものがある。意外だが、冒険者がなかなか帰れない故郷の食料や品物を要望すれば、全てではないが、ギルドで扱ってくれることがあるそうだ。その品物を扱うのが、冒険者ギルドの売店だ。
「珍しい品物を探したい時は、ギルドに尋ねろ」と言われているという。
 おばさんに、探したいものがあるって言ったら、「冒険者ギルドに行ってみればいい」って言われたんだ。

 そういう訳で、ドリーを誘ったんだ。一人で行くのは心細いからさ。

「ねぇ、アリサ。ギルドへ行ったら、魔力検査してみたら?」

「魔力検査?」

「クレールさんたちと言ってたんだけど。アリサは“精霊の加護”を受けているんじゃないかなと思ったの」

「精霊の加護?」

  なにそれ?いつの間に、おばさんたちとそんな話を?

「だって、髪の色が変わってきているでしょう?」

 きた。いつか誰かに言われるだろうと思っていた。こちらの世界に来て、はや5ヶ月。5ヶ月もすれば、髪の毛もだいぶ伸びてくる。染めていた茶色い髪から、銀髪へと変わってきている。頭の上の方は、銀髪だ。
 おばさんたちはなにも言わないので、とぼけていたのだ。でもそろそろ言われるだろうと、覚悟はしていた。こういう形で言われるとはなあ。正直に染めてるって話した方がいいかな。

「ドリー、あのね」

「たまにいるからね」

「えっ?なにが?」

「覚えてないか…。精霊の加護をもらう人がたまにいるの。加護をもらうとね、髪の色や肌の色とか変わることがあるんだよ」

 なんですと?

「アリサが“物別れ病”になったのは、加護が大きかったからじゃないのかなあ。それに加護を受けた人はね、魔力持ちになるんだよ!」

「魔力持ちに?」

「そう、魔力が弱い人は強くなるし…。だからきっと、アリサは魔力持ちになったはずなのよ!」

「いや、たぶん、私は精霊の加護ってもらってないと思うよ?」

 だって髪は染めてただけだし…。何より、こちらの世界に来た時、魔法を試したけど、使えなかったもん。

「魔力の使い方を知らないだけじゃない?」

「魔力増えた気がしないし…」

「だから検査だけしてみたら?」

 堂々巡りだ。なので、今度ギルドへ行こうねと、再度約束し、ドリーと別れた。
 ギルドへ行く時、また魔力検査の話になるだろうな。

  おばさんたちに、ドリーとギルドへ行くことになったと話した。でも魔力検査の話は出なかった。だから私も言わなかった。
 もしかすると、ドリーに検査の話をするように頼んだのかな?わからないけど…。

 魔力持ちになることは、名誉なことらしい。でもおばさんたちは、魔力があろうとなかろうと気にしないと思う。見ず知らずの私を家族の一員として、迎え入れてくれた人たちだから。ドリーだって、ロマンがない…って言うくらいだろう。
 髪を染めていた理由を話すのがイヤなだけ。髪の色のせいで、親に捨てられた。同級生にいじめられた。その話をするのがイヤなだけだ。
 今の生活が楽しいから。その話を持ち込みたくないんだ。でもその話を聞いても、みんなは「そうなの」って気にしないだろうけど。
 いっそのこと、魔力検査を受けて
「やっぱり魔力なかったよ」
と言った方がいいかな。

 次の休みの日。ドリーと二人でギルドへ行った。いつものように、いろんな話をしながら、歩いた。


~~~~~~~~~~~~~~~~


 今回は短めです。切りのいいところだったので。

 訂正いたしました。(4/3) 金髪→銀髪
 ご指摘いただき、ありがとうございました。
 誤字・脱字 矛盾点など、気になる個所がありましたら、ご指摘ください。
   
 
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