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第1章
市場へ行きます
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お客さんが増えるにつれ、どうしてもほしいものがある。
本当は自分で食べたいからって、言わないよ?ホントだよ?……いや、本当は私が自分で食べたいだけなんだけどね…。
おばさんに「アレ」が手に入るか聞いてみよう。
おっと、その前に油のことも確認しておかなくっちゃ。調味料の値段でびっくりしたこともあることだしね。
聞いてみたら、油は高くなかった。ドラルという魔物の脂肪を使ってるんだっ
て。脂肪が5cmくらいある魔物だって!脂肪5cm!どんだけ!一体どんな姿をしてるのかな?
ーーそうそう、こちらの長さの単位は「メセ」っていうんだって。呼び方は違うけど、長さは同じくらいかな。1cm=1メセ位ーー
そのドラルの脂肪を溶かし、食用油として使っているんだって。臭みもなく、しつこくもない。
ほー理想的な油だね。しかもお値段もお手頃。一安心。
それなら「アレ」を揚げるために、油を多く使っても大丈夫だろう。
私が欲しい「アレ」は……「ジャガイモ」です!
「おばさん、ジャガイモってある?」
「ジャガイモ?」
「丸くて、皮は茶色いけど、中はクリーム色で…」
「んー、よくわからないねぇ。コイルに聞いてみなよ。市場にはいろいろなものが売っているからね。知っているかもしれないよ」
そうだね!コイルさんに聞けばよかったんだ。
「明日コイルが来るから、聞いてみなよ。もしあるなら今度持ってきてもらえばいいし。コイルもわからなければ、市場へ戻る時、一緒について行ってみたらどうだい?」
市場!行ってみたいな!
「もしコイルさんが知らなかったら、市場へ行ってもいいの?」
「コイルと一緒なら安心だし、案内してもらえるだろう」
「ありがとう!おばさん」
次の日。昼前にコイルさんが配達とランチを食べにやって来た。もちろんお昼はハンバーグだよ。
「コイルさん、市場にジャガイモってありますか?」
「ジャガイモ?」
コイルさんに説明したけど、やっぱりよくわからないみたい。
「コイル、市場へ戻る時、アリサを一緒に乗せていってもらえるかい?」
「いいですよ。アリサちゃん、市場へ行きたいのか?」
「市場へ行きたいです。どんなところか見たいんです」
「わかった。戻る時、一緒に行こう。市場の中は、俺が案内してあげるよ」
コイルさんは食事を終えると、声をかけてくれる。
「そろそろ市場へ戻るけど、出かけられるか?」
「おばさん行ってもいいかな?」
「いいよ。何か買いたいものがあったら、コイルに言うんだよ」
「分かりました」
私は食堂を手伝ってるので、おじさんが賃金を払ってくれた。一週間で銅板貨
10枚をもらった。いいお給料みたいだよ。もっと安いところもあるんだって。
こちらのお金の単位は「セト」っていう。でもほとんど「銅貨1枚」とか言って、単位はあまり使わないみたい。おもしろいよねぇ。
1セト=鉄貨1枚 鉄貨10枚=鉄板貨1枚
鉄板貨10枚=銅貨1枚 銅貨10枚=銅板貨1枚
銅板貨20枚=銀貨1枚 銀貨20枚=銀板貨1枚
途中の両替の不規則さって、なんなのかな?よくわからない。私が必要なところは、これくらい。もっと上の硬貨もあるんだけど、私はまだ見たことないの。
ちなみに、食堂の食事は、銅貨3枚だよ。
働いてもらったお金は自分のものに使いなさいと言われたの。野菜などはお店もちにするからって。だから市場で買うものはコイルさんに言って、後でおじさんたちが払ってくれるって。ありがとう。無駄遣いしないからね。
「いってきます」
コイルさんの荷馬車に乗せてもらう。馬車って初めて乗る。
石畳の道をガタゴトと荷馬車に揺られていく。
歌であったよねぇ。「馬車が~♪ガタゴト~♪」あれ?ガタゴト?ゴトゴトだっけ?
それにしても、揺れるね。馬車の荷台の板の上に、そのまま座っているから、お尻が痛い。痛みで気がまぎれ、気持ち悪くはならないだろうけど…。
馬車って、もっと優雅なものだと思っていた。日本の揺れが少ない電車、クッションが効いている椅子って、実はすごいことなんだね。あっちの方がずっと優雅だったよ。
揺れること、20分くらいかな?中央広場みたいなところを過ぎ、市場へ到着。
馬車を降り、周りをキョロキョロ見回した。いろいろな野菜やら果物などを並べたお店が、いっぱい出ている。テレビなどで外国の市場の様子があったけど、同じような感じだ。
「アリサちゃんはなにか探しているものがあるって言ったね?なんだっけ?」
「ジャガイモです。ジャガイモが欲しいんです」
「ジャガイモかぁ。そういう名前のものは聞いたことないんだよなぁ。とりあえず市場の中を案内するよ」
お店を回っていると、日本と同じものも結構あった。だけど「これなんだろう?」と思うものもあった。
しばらく見て回っていたら、とあるお店の脇の方にありました!ジャガイモ!
キャッホー!やったね!あったよ!
「これですよ!」
手にとって見る。うん、ジャガイモだ。
「勝負の実が欲しかったのか?」
「勝負の実?」
なにそれ、イチかバチかの妙な名前…。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
お読みいただき、ありがとうございます。
アリサちゃんの欲しいものがわかりましたね。
そして、ようやくお店以外の場所へ移動できました。
本当は自分で食べたいからって、言わないよ?ホントだよ?……いや、本当は私が自分で食べたいだけなんだけどね…。
おばさんに「アレ」が手に入るか聞いてみよう。
おっと、その前に油のことも確認しておかなくっちゃ。調味料の値段でびっくりしたこともあることだしね。
聞いてみたら、油は高くなかった。ドラルという魔物の脂肪を使ってるんだっ
て。脂肪が5cmくらいある魔物だって!脂肪5cm!どんだけ!一体どんな姿をしてるのかな?
ーーそうそう、こちらの長さの単位は「メセ」っていうんだって。呼び方は違うけど、長さは同じくらいかな。1cm=1メセ位ーー
そのドラルの脂肪を溶かし、食用油として使っているんだって。臭みもなく、しつこくもない。
ほー理想的な油だね。しかもお値段もお手頃。一安心。
それなら「アレ」を揚げるために、油を多く使っても大丈夫だろう。
私が欲しい「アレ」は……「ジャガイモ」です!
「おばさん、ジャガイモってある?」
「ジャガイモ?」
「丸くて、皮は茶色いけど、中はクリーム色で…」
「んー、よくわからないねぇ。コイルに聞いてみなよ。市場にはいろいろなものが売っているからね。知っているかもしれないよ」
そうだね!コイルさんに聞けばよかったんだ。
「明日コイルが来るから、聞いてみなよ。もしあるなら今度持ってきてもらえばいいし。コイルもわからなければ、市場へ戻る時、一緒について行ってみたらどうだい?」
市場!行ってみたいな!
「もしコイルさんが知らなかったら、市場へ行ってもいいの?」
「コイルと一緒なら安心だし、案内してもらえるだろう」
「ありがとう!おばさん」
次の日。昼前にコイルさんが配達とランチを食べにやって来た。もちろんお昼はハンバーグだよ。
「コイルさん、市場にジャガイモってありますか?」
「ジャガイモ?」
コイルさんに説明したけど、やっぱりよくわからないみたい。
「コイル、市場へ戻る時、アリサを一緒に乗せていってもらえるかい?」
「いいですよ。アリサちゃん、市場へ行きたいのか?」
「市場へ行きたいです。どんなところか見たいんです」
「わかった。戻る時、一緒に行こう。市場の中は、俺が案内してあげるよ」
コイルさんは食事を終えると、声をかけてくれる。
「そろそろ市場へ戻るけど、出かけられるか?」
「おばさん行ってもいいかな?」
「いいよ。何か買いたいものがあったら、コイルに言うんだよ」
「分かりました」
私は食堂を手伝ってるので、おじさんが賃金を払ってくれた。一週間で銅板貨
10枚をもらった。いいお給料みたいだよ。もっと安いところもあるんだって。
こちらのお金の単位は「セト」っていう。でもほとんど「銅貨1枚」とか言って、単位はあまり使わないみたい。おもしろいよねぇ。
1セト=鉄貨1枚 鉄貨10枚=鉄板貨1枚
鉄板貨10枚=銅貨1枚 銅貨10枚=銅板貨1枚
銅板貨20枚=銀貨1枚 銀貨20枚=銀板貨1枚
途中の両替の不規則さって、なんなのかな?よくわからない。私が必要なところは、これくらい。もっと上の硬貨もあるんだけど、私はまだ見たことないの。
ちなみに、食堂の食事は、銅貨3枚だよ。
働いてもらったお金は自分のものに使いなさいと言われたの。野菜などはお店もちにするからって。だから市場で買うものはコイルさんに言って、後でおじさんたちが払ってくれるって。ありがとう。無駄遣いしないからね。
「いってきます」
コイルさんの荷馬車に乗せてもらう。馬車って初めて乗る。
石畳の道をガタゴトと荷馬車に揺られていく。
歌であったよねぇ。「馬車が~♪ガタゴト~♪」あれ?ガタゴト?ゴトゴトだっけ?
それにしても、揺れるね。馬車の荷台の板の上に、そのまま座っているから、お尻が痛い。痛みで気がまぎれ、気持ち悪くはならないだろうけど…。
馬車って、もっと優雅なものだと思っていた。日本の揺れが少ない電車、クッションが効いている椅子って、実はすごいことなんだね。あっちの方がずっと優雅だったよ。
揺れること、20分くらいかな?中央広場みたいなところを過ぎ、市場へ到着。
馬車を降り、周りをキョロキョロ見回した。いろいろな野菜やら果物などを並べたお店が、いっぱい出ている。テレビなどで外国の市場の様子があったけど、同じような感じだ。
「アリサちゃんはなにか探しているものがあるって言ったね?なんだっけ?」
「ジャガイモです。ジャガイモが欲しいんです」
「ジャガイモかぁ。そういう名前のものは聞いたことないんだよなぁ。とりあえず市場の中を案内するよ」
お店を回っていると、日本と同じものも結構あった。だけど「これなんだろう?」と思うものもあった。
しばらく見て回っていたら、とあるお店の脇の方にありました!ジャガイモ!
キャッホー!やったね!あったよ!
「これですよ!」
手にとって見る。うん、ジャガイモだ。
「勝負の実が欲しかったのか?」
「勝負の実?」
なにそれ、イチかバチかの妙な名前…。
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お読みいただき、ありがとうございます。
アリサちゃんの欲しいものがわかりましたね。
そして、ようやくお店以外の場所へ移動できました。
応援ありがとうございます!
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