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第3章
ティモの話
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「そうだ、聞きたいことがあるんだけど…」
私はダフネに、先程の疑問を聞いてみることにした。
「なあに?」
「さっきお世話係のスーザンさんに言われたんだけど、ティモ君にだけ用事を頼んだら、チップをあげてくれって…。理由を知ってる?」
「あぁ、庭師見習いのティモねぇ…」
ダフネによると、ティモは両親がいないという。
冒険者だった父親は、ティモが赤ちゃんの頃に亡くなり、母親は魔法学校の食堂で働きながら、ティモを育てたという。
ティモが4才の時に、その母親も病気で亡くなってしまった。他に身寄りもなく、ひとりぼっちになったティモを、庭師のセスというおじいさんが引き取って、育てることになった。
セスおじいさん一人では大変なので、魔法学校のお世話係の女性職員たちが母親代わりとして、また男性職員も父親代わりとして、ティモを育てるのを手伝った。いわば、ティモは学校職員全員の子供みたいな存在だった。ティモも皆を家族のように慕っていた。
しかし、遠慮があるのだろう、ティモはわがままを言わないし、欲しいものがあるだろうに、ねだることもなかった。
セスおじいさんが勧めても
「○○が欲しい」
と言うことはなかった。
そこで考えたのが、
「自分でお金を稼いで、欲しいものを買おう」作戦だった。
空き時間を使い、生徒の用事を手伝って、チップをもらう。ティモの収入アップだ。
見習いの給料+チップ。
ティモも自分のお金ならば、安心して使うだろうと考えたのだ。
結局、仕事をしても、自分のために使うことは少ないらしいが…。
「私、そんなにお金を持っていないんだけど」
ティモの力になりたいけど、私だってお金を持っている訳じゃない。
「私だって、そうよぉ。大丈夫。そういう場合は、例えばお菓子をあげるとか、ご飯を奢るとかでもいいのよ~。読み書きを教えてあげてる人だっているわ。できる範囲のことでもいいのよ~」
「なるほどねぇ」
私なら、あげられるものがある。それでいいんだね。
授業は週休二日だった。「月の日」と「太陽の日」が休みなんだって。日本で例えるとすれば、日曜日と月曜日が休みみたいな感じだね。
ちなみに今日は月の日なので、明日も休みだ。
「荷物を片付けるのを手伝ってあげるわ」
荷物といっても、そんなに多い訳ではない。
「ありがとう。でも荷物が少ないから、一人で大丈夫よ」
「そう?一段落したら、学校の中を案内してあげるわ」
片付けの後、ベッドでゴロゴロしているシロガネを残し、ダフネに寮と学校の中を案内してもらった。
嬉しいことがひとつ。なんと、お風呂があったのだ。
これはなんといっても、嬉しいことだった。こちらに来てから、水浴びぐらいはしても、お風呂には入っていなかったからね。毎日お風呂に入っていた日本人としては、ツラいことツラいこと。だから、スッゴク嬉しい!
ただ残念なことに毎日の利用はできないとのこと。週二日なんだって。
でも入れなかったことに比べれば、なんてことない。お風呂入るの、楽しみだな~。
食事は男女共に、食堂で食べる。メニューは2種類あり、選べることができる。
ダフネによると、
「スッゴク美味しいわぁ」
だそうだ。食事も楽しみだね。
他に図書室もあった。
魔法に関する本とか、歴史の本などの他に、昔話のような本もあるそうだ。一度、読んでみたいな。
いろいろ見て回っていたら、夕方になってしまった。一旦、部屋に戻り、一休みした。
~~~~~~~~~~~~~~
お読みいただき、ありがとうございます。
今回は、アリサが主役ではなかったですね。説明が長くて、すみません。
もう少し、簡潔な方がよかったかなと思いながら、投稿しました。
私はダフネに、先程の疑問を聞いてみることにした。
「なあに?」
「さっきお世話係のスーザンさんに言われたんだけど、ティモ君にだけ用事を頼んだら、チップをあげてくれって…。理由を知ってる?」
「あぁ、庭師見習いのティモねぇ…」
ダフネによると、ティモは両親がいないという。
冒険者だった父親は、ティモが赤ちゃんの頃に亡くなり、母親は魔法学校の食堂で働きながら、ティモを育てたという。
ティモが4才の時に、その母親も病気で亡くなってしまった。他に身寄りもなく、ひとりぼっちになったティモを、庭師のセスというおじいさんが引き取って、育てることになった。
セスおじいさん一人では大変なので、魔法学校のお世話係の女性職員たちが母親代わりとして、また男性職員も父親代わりとして、ティモを育てるのを手伝った。いわば、ティモは学校職員全員の子供みたいな存在だった。ティモも皆を家族のように慕っていた。
しかし、遠慮があるのだろう、ティモはわがままを言わないし、欲しいものがあるだろうに、ねだることもなかった。
セスおじいさんが勧めても
「○○が欲しい」
と言うことはなかった。
そこで考えたのが、
「自分でお金を稼いで、欲しいものを買おう」作戦だった。
空き時間を使い、生徒の用事を手伝って、チップをもらう。ティモの収入アップだ。
見習いの給料+チップ。
ティモも自分のお金ならば、安心して使うだろうと考えたのだ。
結局、仕事をしても、自分のために使うことは少ないらしいが…。
「私、そんなにお金を持っていないんだけど」
ティモの力になりたいけど、私だってお金を持っている訳じゃない。
「私だって、そうよぉ。大丈夫。そういう場合は、例えばお菓子をあげるとか、ご飯を奢るとかでもいいのよ~。読み書きを教えてあげてる人だっているわ。できる範囲のことでもいいのよ~」
「なるほどねぇ」
私なら、あげられるものがある。それでいいんだね。
授業は週休二日だった。「月の日」と「太陽の日」が休みなんだって。日本で例えるとすれば、日曜日と月曜日が休みみたいな感じだね。
ちなみに今日は月の日なので、明日も休みだ。
「荷物を片付けるのを手伝ってあげるわ」
荷物といっても、そんなに多い訳ではない。
「ありがとう。でも荷物が少ないから、一人で大丈夫よ」
「そう?一段落したら、学校の中を案内してあげるわ」
片付けの後、ベッドでゴロゴロしているシロガネを残し、ダフネに寮と学校の中を案内してもらった。
嬉しいことがひとつ。なんと、お風呂があったのだ。
これはなんといっても、嬉しいことだった。こちらに来てから、水浴びぐらいはしても、お風呂には入っていなかったからね。毎日お風呂に入っていた日本人としては、ツラいことツラいこと。だから、スッゴク嬉しい!
ただ残念なことに毎日の利用はできないとのこと。週二日なんだって。
でも入れなかったことに比べれば、なんてことない。お風呂入るの、楽しみだな~。
食事は男女共に、食堂で食べる。メニューは2種類あり、選べることができる。
ダフネによると、
「スッゴク美味しいわぁ」
だそうだ。食事も楽しみだね。
他に図書室もあった。
魔法に関する本とか、歴史の本などの他に、昔話のような本もあるそうだ。一度、読んでみたいな。
いろいろ見て回っていたら、夕方になってしまった。一旦、部屋に戻り、一休みした。
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お読みいただき、ありがとうございます。
今回は、アリサが主役ではなかったですね。説明が長くて、すみません。
もう少し、簡潔な方がよかったかなと思いながら、投稿しました。
応援ありがとうございます!
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