2 / 13
長者の娘
しおりを挟む
昔、長者の娘が、夜遅くに帰路につくこととなった。出先では、泊まっていけ、と勧められたのだが、まだ、嫁入り前の身なので、断ったという。
一人、帰路につかせるわけにもいかず、年寄りが一緒についていった。年寄り相手であれば、妙な噂が流されることもない。
提灯の灯りのみで歩いていくと、まるで別世界である。家なんてすぐそこのはずなのに、まるで到着しない。しばらく歩いていくと、綺麗な男が地蔵の横に立っていた。
『どこにいくんだい、こんな遅くに』
わざわざ声をかけてくる。長者の娘は、この綺麗な男の見た目に、ついつい、返事をしてしまう。
『これから、家に帰るところです』
『どこの家だい?』
『長者の家です』
『? 長者の家は、この先にはないぞ。年寄りは目が悪いから、間違えちまったんだね。その先を突き当たって左だ』
『ありがとうございます』
綺麗な男は、長者の娘のことを知らない様子だ。同じ村に住んでいるわけでもないというのに、道の間違いを指摘されたのには、首を傾げる。
年寄りは、じっと長者の娘を見ている。
『道を間違えているようです。戻りましょう』
『いえ、この先に行きましょう』
『ですが、こちらではない、とあの男………!?』
地蔵の横に先ほどまで立っていた男はいなくなっていた。
『綺麗な男がいましたよね』
『お嬢さんは、地蔵に向かって話していましたよ』
あの綺麗な男、年寄りには見えていなかった。この事実に、長者の娘は鳥肌がたった。
年寄りは、あの綺麗な男が示した方とは逆に進もうとしている。綺麗な男は長者の娘にしか見えない、得体の知れない存在だ。
『狐に化かされたのでしょうね』
年寄りは、稲荷神社のほうを見て呟く。そういうこと、確かにある。
そうして、年寄りについていく長者の娘。どんどんとついていくけど、見覚えのない道となっていく。村の田畑のほうへと向かっていっているのだ。
突然、虫の鳴く音が消える。年寄りが持つ提灯の灯りが消えて、辺りが真っ暗となった。
不吉なものを感じて、長者の娘は年寄りを置いて、来た道を走って戻っていく。途端、なにかが追いかける足音が続いた。それから逃げるように、必死に走っていけば、あの曰くある地蔵に戻ってきた。
地蔵の横に、あの綺麗な男が立っていた。
『また会ったな』
『道に、迷ってしまって』
『………こっちに来なさい』
綺麗な男は、地蔵に後ろに長者の娘を隠した。それと入れ替わりに、複数の男がやってきた。
『おい、こっちに女は来たか!?』
『道に迷っているようだったから、道を教えた』
『教えろ!!』
『その先を突き当たって右だ。そんな、女一人を追いかけて、何をするつもりだ?』
『うるせぇ!! 殺すぞ!!!』
武器を突き付けて脅す男たち。綺麗な男はただ、笑っただけだ。
綺麗な男に気味の悪いものでも感じたのだろう。男たちはさっさとその場を去っていった。
長者の女は、恐ろしい男たちがいなくなったので、地蔵の後ろから出た。そこに、遅れてやってきた年寄りと遭遇する。
『いなくなってしまったので、驚きました』
『真っ暗になったので、驚いてしまって』
『無事で良かったです。さあ、行きましょう』
年寄りは、相変わらず、綺麗な男が見えていない様子だ。長者の娘の腕をつかんで引っ張っていく。その力の強さに、長者の娘は恐怖を感じ、振り払い、地蔵の後ろに逃げ込む。
目の前で隠れたというのに、年寄りは長者の娘が見えない様子だ。しばらく、あちこちと探して、恐ろしい形相となった。
『せっかく、金になる女だというのに』
年寄りは、長者の娘に何かするつもりで、わざと道に迷ったのだ。その事実に、長者の娘は恐怖に震える。
そうして、地蔵の後ろに隠れて、長者の娘は一夜を過ごした。その間、あの綺麗な男が何かと話しかけては、気をまぎらわれてくれたが、気づいたら、眠っていた。
一夜明けると、そこは、知っている場所だった。あの綺麗な男はいなくなっていた。長者の娘は綺麗な男がいう通りに突き当たって左に行ってみれば、きちんと家についた。
そういえば、綺麗な男は、あの荒れくれた男たちは逆の道を教えていたな、と思い出し、長者の娘は使用人数人と一緒に行ってみた。
突き当たって右に行けば、とんでもない深さ穴があり、そこに、長者の娘を追いかけていた男たちと、あの年寄りが落ちて死んでいた。
一人、帰路につかせるわけにもいかず、年寄りが一緒についていった。年寄り相手であれば、妙な噂が流されることもない。
提灯の灯りのみで歩いていくと、まるで別世界である。家なんてすぐそこのはずなのに、まるで到着しない。しばらく歩いていくと、綺麗な男が地蔵の横に立っていた。
『どこにいくんだい、こんな遅くに』
わざわざ声をかけてくる。長者の娘は、この綺麗な男の見た目に、ついつい、返事をしてしまう。
『これから、家に帰るところです』
『どこの家だい?』
『長者の家です』
『? 長者の家は、この先にはないぞ。年寄りは目が悪いから、間違えちまったんだね。その先を突き当たって左だ』
『ありがとうございます』
綺麗な男は、長者の娘のことを知らない様子だ。同じ村に住んでいるわけでもないというのに、道の間違いを指摘されたのには、首を傾げる。
年寄りは、じっと長者の娘を見ている。
『道を間違えているようです。戻りましょう』
『いえ、この先に行きましょう』
『ですが、こちらではない、とあの男………!?』
地蔵の横に先ほどまで立っていた男はいなくなっていた。
『綺麗な男がいましたよね』
『お嬢さんは、地蔵に向かって話していましたよ』
あの綺麗な男、年寄りには見えていなかった。この事実に、長者の娘は鳥肌がたった。
年寄りは、あの綺麗な男が示した方とは逆に進もうとしている。綺麗な男は長者の娘にしか見えない、得体の知れない存在だ。
『狐に化かされたのでしょうね』
年寄りは、稲荷神社のほうを見て呟く。そういうこと、確かにある。
そうして、年寄りについていく長者の娘。どんどんとついていくけど、見覚えのない道となっていく。村の田畑のほうへと向かっていっているのだ。
突然、虫の鳴く音が消える。年寄りが持つ提灯の灯りが消えて、辺りが真っ暗となった。
不吉なものを感じて、長者の娘は年寄りを置いて、来た道を走って戻っていく。途端、なにかが追いかける足音が続いた。それから逃げるように、必死に走っていけば、あの曰くある地蔵に戻ってきた。
地蔵の横に、あの綺麗な男が立っていた。
『また会ったな』
『道に、迷ってしまって』
『………こっちに来なさい』
綺麗な男は、地蔵に後ろに長者の娘を隠した。それと入れ替わりに、複数の男がやってきた。
『おい、こっちに女は来たか!?』
『道に迷っているようだったから、道を教えた』
『教えろ!!』
『その先を突き当たって右だ。そんな、女一人を追いかけて、何をするつもりだ?』
『うるせぇ!! 殺すぞ!!!』
武器を突き付けて脅す男たち。綺麗な男はただ、笑っただけだ。
綺麗な男に気味の悪いものでも感じたのだろう。男たちはさっさとその場を去っていった。
長者の女は、恐ろしい男たちがいなくなったので、地蔵の後ろから出た。そこに、遅れてやってきた年寄りと遭遇する。
『いなくなってしまったので、驚きました』
『真っ暗になったので、驚いてしまって』
『無事で良かったです。さあ、行きましょう』
年寄りは、相変わらず、綺麗な男が見えていない様子だ。長者の娘の腕をつかんで引っ張っていく。その力の強さに、長者の娘は恐怖を感じ、振り払い、地蔵の後ろに逃げ込む。
目の前で隠れたというのに、年寄りは長者の娘が見えない様子だ。しばらく、あちこちと探して、恐ろしい形相となった。
『せっかく、金になる女だというのに』
年寄りは、長者の娘に何かするつもりで、わざと道に迷ったのだ。その事実に、長者の娘は恐怖に震える。
そうして、地蔵の後ろに隠れて、長者の娘は一夜を過ごした。その間、あの綺麗な男が何かと話しかけては、気をまぎらわれてくれたが、気づいたら、眠っていた。
一夜明けると、そこは、知っている場所だった。あの綺麗な男はいなくなっていた。長者の娘は綺麗な男がいう通りに突き当たって左に行ってみれば、きちんと家についた。
そういえば、綺麗な男は、あの荒れくれた男たちは逆の道を教えていたな、と思い出し、長者の娘は使用人数人と一緒に行ってみた。
突き当たって右に行けば、とんでもない深さ穴があり、そこに、長者の娘を追いかけていた男たちと、あの年寄りが落ちて死んでいた。
0
あなたにおすすめの小説
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2026/1/13:『こえ』の章を追加。2026/1/20の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/12:『あけてはいけない』の章を追加。2026/1/19の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/11:『みきさー』の章を追加。2026/1/18の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/10:『つかまれる』の章を追加。2026/1/17の朝8時頃より公開開始予定。
2026/1/9:『ゆうじんのかお』の章を追加。2026/1/16の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/8:『ついてきたもの』の章を追加。2026/1/15の朝4時頃より公開開始予定。
2026/1/7:『かわぞいのみち』の章を追加。2026/1/14の朝4時頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
百物語 厄災
嵐山ノキ
ホラー
怪談の百物語です。一話一話は長くありませんのでお好きなときにお読みください。渾身の仕掛けも盛り込んでおり、最後まで読むと驚くべき何かが提示されます。
小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる