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破滅-四人目
家出した友達
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「最近は、ルキエル様の所に、遊びに行かないんだね」
優しい笑顔できいてくる親父。俺は色々とむせて、吐いた。
「なんか、今、大変みたい」
とても真実は語れない。話したら、俺、ライホーンに殺されちゃうから。大変だ。
ちょっと、自称彼女が五人もいる現状も整理しなきゃ、と俺はそっちも忙しい。もう、俺はルキエルの姿に魅了されていた。女の子を口説いている場合じゃなくなった。
しっかり身綺麗にしてから、きちんと真面目に彼女を作ろう、と俺は考えた。このままだと、俺はルキエルに狂わされる。彼女作って、ルキエルとは友達となるんだ。
というわけで、俺も大変である。
「そういえば、学校に、見習い魔法使いハガルの妹弟が通っているんだってね」
「え、そうなんだ。珍しい」
見習い魔法使いハガルは、色々と珍しいのだ。
魔法使いは妖精憑きである。妖精憑きは本来、帝国の所有物である。帝国が育てるんだよね。だけど、見習い魔法使いハガルは、平民に育てられた特殊な妖精憑きだ。だいたいの妖精憑きは、赤ん坊の頃から、帝国が育てるから、家族が関わることはないのだ。
平民寄りの見習い魔法使いハガルは、平民から親しみを持たれている。そんなハガルの身内が俺が通う学校の生徒となっているという。
学校、実はただの平民では通うことはない。金がかかるから、通えないのだ。勿体ないしね。ハガルは平民なので、弟妹だって平民だ。だから、学校に通うのは珍しいのだ。
「ダクト、間違っても、口説かないようにね」
「………」
そう言われるまで、色々と手と口を出したなー。誰かなー? なんて考えてしまう。まず、俺は見習い魔法使いハガルの顔も知らない。学校に通っているというのに、ハガルの身内が同じ学校にいるなんて、それすら知らなかった。
まずは、身辺整理しよう。もしかしたら、口説いてしまったかもしれないが、その時はその時で、覚悟するしかない。
だけど、ルキエルって、存在自体が何か、災いを呼び出すのかもしれないね。しばらくの間、王都は騒がしくなった。
俺が親父の店を手伝っていると、そこを休憩に使う貧民と顔合わせしていまう。見覚えある奴らだ。
「何やってんの? まさか、店の物を盗もうと!?」
「それどころじゃねえよ。ルキエルが家出して、大変なことになった」
「ルキエルもガキじゃないんだから、ほかっておけばいいのにな」
いっぱい、文句が出てきた。
貧民たち、家出したルキエルを探すために、王都中を駆けずり回っていたのだ。不満がいっぱいだ。
ルキエルの年齢じゃ、ただの反抗期だよ、と言ってしまいたい。家出したって、その内帰ってくるよ。帰ってこなくても、ほら、もう、腕っぷしもあるし、平民でも働いているくらいの年齢だ。帰ってこないなら、それまでだよ、なんて普通なら考える。
だけど、俺はそんな甘い考え、持たない。ルキエル、とうとう、父親の凌辱に耐えられなくて、逃げたんだ。
あんなに喜んだ顔してたけど、やっぱり、心のどこかでは、父親との閨事、ルキエルは受け入れられなかったんだな。俺もそうだよ。
けど、ルキエルの父親、見た目がいいんだよな。物凄い美男子なんだ。あれはあれでアリだな、なんて俺は頭の片隅で考えてしまう。ちょっと見たけど、ルキエルの父親、男相手の閨事の経験、あるね。上手そうだ。
ルキエルの父親、まだ、気狂いを起こしているのだろう。貧民街の支配者の命令は、貧民たち、逆らえないんだよな。気分一つで処刑って、貧民街では普通だから。皆、必死になってルキエルを探していた。
「お前も、見たら捕まえろよ」
「わかったー」
軽く返事する。見つかったら、ぜひ、捕まえたい。
あんな綺麗な男だ。目立つ。すぐに捕まるものと思っていた。
商売をしていると、色々と噂を聞くことがある。やっぱり、最近は貧民がー、なんて噂話は流れる。
だけど、綺麗な男がー、という話は出ない。ルキエルは、あれほど綺麗な男だ。一目見たら、噂が立つはずだ。それに、その体躯だって、妙な衝動を起こさせる何かを持っている。やば、思い出すだけで、俺、興奮しちゃった。
俺としては、家出しちゃったルキエルよりも、ルキエルの身内が心配だ。どうなってるかなー? なんて様子見に行った。
いつもは誰も外にはいないというのに、その日はルキエルの姉リンネットがいた。イライラと親指の爪を噛んでる。
「お久しぶりです、リンネット様」
まずは挨拶である。リンネット、俺に声をかけられ、訝し気に見てきた。
「誰?」
「ルキエルの友達ダクトです!!」
「………いたかしら」
「いるよ!! ほら、平民の友達の」
「そんな名前だったかしら。もっとこう、変な名前だったような。顔も、こんな感じだった?」
覚えちゃいないよ!! おっかしいなー、俺の肩でリンネット、泣いたよね。忘れられちゃうほど、俺の存在って、希薄なの?
一時期は、女五人とお付き合いしていた、という俺の見た目はいいはずなんだ。ま、まあ、ルキエルの家族に比べれば、そこら辺の石ころだけどね。こいつらの顔が良過ぎるんだよ!!
落ち込むこともあったけど、すぐに俺は持ち直した。俺、軽いから。
「ルキエルが家出したって、大騒ぎになってるよ。リンネット様は大丈夫?」
「………アタシのこと、心配、してくれるの?」
「そりゃまあ、心配でしょう。気狂い起こした父親の次の標的はリンネット様でしょう」
そう思う。女で、ここまで綺麗なんだ。間違いなく、リンネットが次の身代わりである。
しばらく、呆然として、リンネットは口元に笑みを浮かべた。
「ふふふ、見向きもされなかったわよ」
「こんなに美人なのに?」
「ルキエルが逃げたから、責任とって、アタシが身代わりになろうとしたのよ。でも、アタシのこと、娘としか見てないの。試しに、兄さんを出しても、同じ。弟も出しても、同じ。母さんの身代わりは、ルキエルだけよ」
「ルキエル、胸、平べったいのにね」
俺が知っているルキエルの母親、立派な胸があった。
そんなこと言ったからか、俺はリンネットの頭を叩かれた。
「母さんのこと、変な目で見ないでちょうだい!!」
「仕方がない。俺、ルキエルの顔が好みだから。あの細い感じもなー」
「あんた、まさか」
「好みだけど、ルキエルとは友達でいたいんだよ。だから、今、ユリみたいな彼女探してる。けど、俺、バラみたいな子ばっかり寄ってくるんだよなー」
そう、俺はバラみたいな子ばっかりに持てている。せっかく身辺整理したってのに、前よりも、さらに自称彼女が増えているんだよね。十股になった。俺は誰とも付き合っていない、と言ってるのにぃ。
「ど、どうしよう、これから」
「俺からは、何とも。けど、ルキエルはこのまま、逃げ切ったほうがいいかもな」
どう聞いても、ルキエルが連れ戻されるのは悪手である。
ルキエルがいなくなったことで、貧民街総出で捜索となった。だけど、ルキエルの家族は特に問題があるわけではない。ルキエルがいなくなったら、別のもので穴を塞いでいるかと心配してみれば、そうではなかった。つまり、父親は、ルキエルにだけこだわっているのだ。
本当に、あの父親は狂っているのか?
狂っているなら、身代わりを立てるものだろう。だけど、父親はルキエルだけを求めていた。ルキエル、連れ戻されれば、全て元通りになるとは限らない。
予感がする。ルキエルが戻ることは、さらなる災いを呼び込むこととなる。
そわそわするリンネット。俺に何か言いたいことがあるらしい。
「どうかした?」
「父さん、妖精憑きを使って、ルキエルを探すつもりなの」
「伯爵を使うのかー」
ある意味、俺の恩人である伯爵マクルスは、恐ろしい人だ。
伯爵マクルスは、表向きは、どこにでもいる、普通の伯爵である。だが、裏の世界では、妖精殺しの伯爵、として恐れられている。伯爵マクルスは、妖精を狂わせる香のレシピを知る唯一の人だという。しかも、マクルスは、妖精の魔法が届かない体質だとか。その体質を使って、野良の妖精憑きを捕縛して、拷問して、洗脳して、子飼いの妖精憑きにするのだ。
「一歩、間違えると、帝国が動くぞ」
しかし、それはとても危険なことだ。
王都は帝国のお膝元である。妖精憑きである魔法使いを育て、教育して、宮仕えにするのが王都だ。だから、王都の貧民街では、妖精憑きを隠し持たない。こんな目と鼻の先に魔法使いがいるのだ。自らの首を絞めるようなものである。
大変なこととなった。ルキエルが見つかっても見つからなくても、王都の貧民街は、危険だ。
「ど、どうしようー」
また泣き出すリンネット。リンネットが事の起こりだから、どうしても、責任を感じてしまうのだ。
もっと責任があるのは、リンネットの薬を飲ませて悪戯しようとした男どもである。ちなみに、その男ども、本当に消えた。びっくりだよ!! 俺も気を付けよう。
仕方なく、リンネットを抱きしめてやる。リンネット、俺の胸にすがって泣いた。うわ、汚れちゃったよー。帰ったら洗おう。
死ぬことで責任をとったような男ども。だけど、実行したのはリンネットだ。本当に、ただ、父親を元気にしたかっただけである。もっと、リンネットに色々と教えるべきだったんだよ。
「リンネット様、泣いたって仕方がない。まずは、ルキエルに謝ろう」
「許して、くれるかなぁ?」
「まず、話を聞いてもらえるかどうかだな」
ここを逃げ出したルキエル。見つかるかどうかわからない。さらに、万が一、見つかったとしても、ルキエル、まともに家族と会話出来るかどうか、怪しい。
気狂いとなった父親は、部屋にルキエルを閉じ込めたという。
過去を思い出す。あの父親は、妻をともかく人目に晒すことも我慢ならなかった。この屋敷の奥に閉じ込め、大事に囲ったのだ。
ルキエルの家出は一か月で終了した。伯爵マクルスの子飼いの妖精憑きが一週間でルキエルを見つけたのだ。
てっきり、王都から逃げ出していると、誰もが思っていた。マクルスも長期戦を覚悟したのだ。
ところが、ルキエルはずっと王都に隠れていたのだ。妖精憑きによって見つけられたルキエルは、俺の予想通り、そのまま、屋敷に閉じ込められたのだ。
こうして、王都はやっと静かになった。貧民がいなくなったから、平民たちも、最近静かね、なんて話すくらいだ。貧民も、平民も、生きているだけで手一杯である。そんな、他所のことなんてどうだっていいのだ。
ルキエルが見つかった、という話をわざわざ伯爵マクルスがしに来た。俺が、ルキエルと仲が良いと誰かから聞いたんだな。
「わざわざ、ありがとうございます」
「どこまで知ってるんだ?」
「………」
俺は沈黙する。ほら、話したら、ルキエルの兄ライホーンに消されちゃうから。
俺が笑顔で黙り込むから、伯爵マクルスは苦笑した。
「君は、出世するよ」
「ここで十分です。俺は、可愛い妻と、可愛い子どもたちと、小さい家で暮らす、そんなちっぽけな夢を叶えたいだけです」
「勿体ないな。もし、上にあがりたいなら、来なさい。私が力になろう」
「その気持ちだけで十分ですよ」
裏の世界の招待状を俺は丁重にお断りした。俺、手の中にある幸福だけで十分と、ガキの頃に学んだんだ。
「そういえば、お前はルキエルの幼馴染みみたいなものなんだな」
「他にもいっぱいいますよ」
「もういない」
「………」
しばらく、俺が貧民街から離れていた間に、何かあったんだな。
俺の脳裏に、数少ない、ルキエルの幼馴染みの姿が横切る。貧民が大人になるのは難しい。まず、栄養状態だって良くないから、ガキのままで死ぬのが普通なんだ。
せっかく、それなりに大きくなったというのにな。
何かあったのだろう。
「店主に私が来たことを伝えておいてくれ。頼みたいものがある」
「わかりました」
俺は笑顔で頭を下げた。余計なこと、言わないようにしよう。
その夜、俺は親父に伯爵マクルスの伝言を伝えた。
「今日、午前中に会いましたけどね。注文受けたというのに」
「ああいう人は、手下が動くから、報告あがってないんじゃない?」
「マクルス様から直接、注文を受けたよ。他に、何か話したのか?」
「えーと、ルキエルが出戻ったという話?」
「ああ、そういうことか。もうそろそろ、ダクトも知っていいだろう。座りなさい」
とうとう、俺はルキエルの秘密を教えてもらえるという。俺、あの家族の秘密、いっぱい知ってるけどね!! 親父にも話せないけど。
改めて、俺は親父と向かい合った。一体、どんな話をされるのやら。俺が知っていることだといいな。
「ルキエル様は、妖精憑きだ」
「………え?」
知らない秘密だった。
「とても綺麗だろう。力の強い妖精憑きは、その見た目は綺麗になる。僕は昔、賢者テラスを遠くから見たことがあるが、とんでもない美男子だったよ」
「けど、妖精憑きなら、今頃、帝国に」
「儀式を受けていないんだ。妖精憑きを選別する儀式を帝国は金で釣って受けさせている。だけど、学のない貧民は儀式を受けない。別に、貧民だって、儀式を受けていいんだ。知らないから、受けないんだ。結果、野良の妖精憑きが出てくる」
それで、伯爵マクルスは、子飼いの妖精憑きを保有出来ているのだ。
貧民から出てきた妖精憑きを後ろ暗いことする奴らは隠し持っているのだ。妖精憑き、簡単に言いなりに出来ないから、それなりのことをして、洗脳して、子飼いにするという。
「誰も、ルキエルが妖精憑きだと知らないみたいだけど」
「ただの人にはわからない。同じ妖精憑きであればわかっただろうが、王都では、妖精憑きは全て、帝国が管理している。常に屋敷に閉じ込められているルキエル様を魔法使いたちが見る機会がなかったから、見逃されたのだろう」
「確かに、ルキエル、ずっと屋敷にいたよなー」
再会して、俺はルキエルから色々と聞いた。
ルキエルは母親を失った後、子育てに奔走したのだ。ともかく、あの父親は子育てなんてしない。金は渡すが、それだけだ。兄ライホーンと姉リンネットは、もちろん、出来るわけではない。弟妹の面倒すらみないのだ。
結果、弟妹の面倒をみていたルキエルが子育てである。それなりの年齢になったら、屋敷の外に出る許可が貰えるはずなのだが、子育て中のルキエルは、外に出られない。仕方なく、ルキエル弟妹がそれなりに手が離れるまで、ずっと、あの屋敷に閉じ込められていたのだ。
俺と再会した時は、やっと、外に出られて喜んでいたな。いっぱい、父親の愚痴を聞かされた。聞けば聞くほど、ルキエル、気の毒でならなかった。
再会してからそれなりに、ルキエルが育てた弟ロイドと、妹レーリエットとは顔を合わせた。二人とも、ルキエルのことが大好きすぎて、べったりしていた。あれはあれで、異常だったな。
「ルキエル様には、何かある。その何かのお陰で、僕は再び、平民に戻って来れた。しかし、この恩返しは、きっと、大変なものだろう」
「そんなことないって」
「当時、まだ伯爵の弟だったマクルス様を紹介された時、何か導きを感じた。それは、結果から見れば、いい導きだ。しかし、長く見てみると、悪い何かが起こるかもしれない、という不安を感じる」
「ルキエル、そんなつもりないよ。ただ、あの貴族に会う口実に親父を使っただけだよ」
当時、見ていてわかった。ルキエルは、伯爵マクルスに懐いていた。片腕で抱き上げられて、いつも以上に喜んで、はしゃいでいた。
いつも落ち着いて、いい兄をしているルキエル。マクルスの腕の中にいたルキエルは、ただのガキになっていた。
「そうだといいがな。妖精憑きは、執着が強い。強い執着を手に入れようと、とんでもない力を発揮する。お前はルキエル様とは友達関係だというから、安心はしている」
「………」
「友達、だよな?」
「俺ね、ユリのような綺麗な感じの人が好きなんだよ。ルキエルは、ユリだな」
「確か、ルキエル様の妹は、母親似と聞いたが」
「うん、可愛いね」
これが、これっぽっちも、俺、ルキエルの妹レーリエットには何も感じなかった。
とても不安そうな顔をする親父。
「知り合いで、いい感じの子がいると聞いてる。お見合いしてみるか?」
「よろしくお願いします!!」
俺も、なりふり構っていられなくなった。
優しい笑顔できいてくる親父。俺は色々とむせて、吐いた。
「なんか、今、大変みたい」
とても真実は語れない。話したら、俺、ライホーンに殺されちゃうから。大変だ。
ちょっと、自称彼女が五人もいる現状も整理しなきゃ、と俺はそっちも忙しい。もう、俺はルキエルの姿に魅了されていた。女の子を口説いている場合じゃなくなった。
しっかり身綺麗にしてから、きちんと真面目に彼女を作ろう、と俺は考えた。このままだと、俺はルキエルに狂わされる。彼女作って、ルキエルとは友達となるんだ。
というわけで、俺も大変である。
「そういえば、学校に、見習い魔法使いハガルの妹弟が通っているんだってね」
「え、そうなんだ。珍しい」
見習い魔法使いハガルは、色々と珍しいのだ。
魔法使いは妖精憑きである。妖精憑きは本来、帝国の所有物である。帝国が育てるんだよね。だけど、見習い魔法使いハガルは、平民に育てられた特殊な妖精憑きだ。だいたいの妖精憑きは、赤ん坊の頃から、帝国が育てるから、家族が関わることはないのだ。
平民寄りの見習い魔法使いハガルは、平民から親しみを持たれている。そんなハガルの身内が俺が通う学校の生徒となっているという。
学校、実はただの平民では通うことはない。金がかかるから、通えないのだ。勿体ないしね。ハガルは平民なので、弟妹だって平民だ。だから、学校に通うのは珍しいのだ。
「ダクト、間違っても、口説かないようにね」
「………」
そう言われるまで、色々と手と口を出したなー。誰かなー? なんて考えてしまう。まず、俺は見習い魔法使いハガルの顔も知らない。学校に通っているというのに、ハガルの身内が同じ学校にいるなんて、それすら知らなかった。
まずは、身辺整理しよう。もしかしたら、口説いてしまったかもしれないが、その時はその時で、覚悟するしかない。
だけど、ルキエルって、存在自体が何か、災いを呼び出すのかもしれないね。しばらくの間、王都は騒がしくなった。
俺が親父の店を手伝っていると、そこを休憩に使う貧民と顔合わせしていまう。見覚えある奴らだ。
「何やってんの? まさか、店の物を盗もうと!?」
「それどころじゃねえよ。ルキエルが家出して、大変なことになった」
「ルキエルもガキじゃないんだから、ほかっておけばいいのにな」
いっぱい、文句が出てきた。
貧民たち、家出したルキエルを探すために、王都中を駆けずり回っていたのだ。不満がいっぱいだ。
ルキエルの年齢じゃ、ただの反抗期だよ、と言ってしまいたい。家出したって、その内帰ってくるよ。帰ってこなくても、ほら、もう、腕っぷしもあるし、平民でも働いているくらいの年齢だ。帰ってこないなら、それまでだよ、なんて普通なら考える。
だけど、俺はそんな甘い考え、持たない。ルキエル、とうとう、父親の凌辱に耐えられなくて、逃げたんだ。
あんなに喜んだ顔してたけど、やっぱり、心のどこかでは、父親との閨事、ルキエルは受け入れられなかったんだな。俺もそうだよ。
けど、ルキエルの父親、見た目がいいんだよな。物凄い美男子なんだ。あれはあれでアリだな、なんて俺は頭の片隅で考えてしまう。ちょっと見たけど、ルキエルの父親、男相手の閨事の経験、あるね。上手そうだ。
ルキエルの父親、まだ、気狂いを起こしているのだろう。貧民街の支配者の命令は、貧民たち、逆らえないんだよな。気分一つで処刑って、貧民街では普通だから。皆、必死になってルキエルを探していた。
「お前も、見たら捕まえろよ」
「わかったー」
軽く返事する。見つかったら、ぜひ、捕まえたい。
あんな綺麗な男だ。目立つ。すぐに捕まるものと思っていた。
商売をしていると、色々と噂を聞くことがある。やっぱり、最近は貧民がー、なんて噂話は流れる。
だけど、綺麗な男がー、という話は出ない。ルキエルは、あれほど綺麗な男だ。一目見たら、噂が立つはずだ。それに、その体躯だって、妙な衝動を起こさせる何かを持っている。やば、思い出すだけで、俺、興奮しちゃった。
俺としては、家出しちゃったルキエルよりも、ルキエルの身内が心配だ。どうなってるかなー? なんて様子見に行った。
いつもは誰も外にはいないというのに、その日はルキエルの姉リンネットがいた。イライラと親指の爪を噛んでる。
「お久しぶりです、リンネット様」
まずは挨拶である。リンネット、俺に声をかけられ、訝し気に見てきた。
「誰?」
「ルキエルの友達ダクトです!!」
「………いたかしら」
「いるよ!! ほら、平民の友達の」
「そんな名前だったかしら。もっとこう、変な名前だったような。顔も、こんな感じだった?」
覚えちゃいないよ!! おっかしいなー、俺の肩でリンネット、泣いたよね。忘れられちゃうほど、俺の存在って、希薄なの?
一時期は、女五人とお付き合いしていた、という俺の見た目はいいはずなんだ。ま、まあ、ルキエルの家族に比べれば、そこら辺の石ころだけどね。こいつらの顔が良過ぎるんだよ!!
落ち込むこともあったけど、すぐに俺は持ち直した。俺、軽いから。
「ルキエルが家出したって、大騒ぎになってるよ。リンネット様は大丈夫?」
「………アタシのこと、心配、してくれるの?」
「そりゃまあ、心配でしょう。気狂い起こした父親の次の標的はリンネット様でしょう」
そう思う。女で、ここまで綺麗なんだ。間違いなく、リンネットが次の身代わりである。
しばらく、呆然として、リンネットは口元に笑みを浮かべた。
「ふふふ、見向きもされなかったわよ」
「こんなに美人なのに?」
「ルキエルが逃げたから、責任とって、アタシが身代わりになろうとしたのよ。でも、アタシのこと、娘としか見てないの。試しに、兄さんを出しても、同じ。弟も出しても、同じ。母さんの身代わりは、ルキエルだけよ」
「ルキエル、胸、平べったいのにね」
俺が知っているルキエルの母親、立派な胸があった。
そんなこと言ったからか、俺はリンネットの頭を叩かれた。
「母さんのこと、変な目で見ないでちょうだい!!」
「仕方がない。俺、ルキエルの顔が好みだから。あの細い感じもなー」
「あんた、まさか」
「好みだけど、ルキエルとは友達でいたいんだよ。だから、今、ユリみたいな彼女探してる。けど、俺、バラみたいな子ばっかり寄ってくるんだよなー」
そう、俺はバラみたいな子ばっかりに持てている。せっかく身辺整理したってのに、前よりも、さらに自称彼女が増えているんだよね。十股になった。俺は誰とも付き合っていない、と言ってるのにぃ。
「ど、どうしよう、これから」
「俺からは、何とも。けど、ルキエルはこのまま、逃げ切ったほうがいいかもな」
どう聞いても、ルキエルが連れ戻されるのは悪手である。
ルキエルがいなくなったことで、貧民街総出で捜索となった。だけど、ルキエルの家族は特に問題があるわけではない。ルキエルがいなくなったら、別のもので穴を塞いでいるかと心配してみれば、そうではなかった。つまり、父親は、ルキエルにだけこだわっているのだ。
本当に、あの父親は狂っているのか?
狂っているなら、身代わりを立てるものだろう。だけど、父親はルキエルだけを求めていた。ルキエル、連れ戻されれば、全て元通りになるとは限らない。
予感がする。ルキエルが戻ることは、さらなる災いを呼び込むこととなる。
そわそわするリンネット。俺に何か言いたいことがあるらしい。
「どうかした?」
「父さん、妖精憑きを使って、ルキエルを探すつもりなの」
「伯爵を使うのかー」
ある意味、俺の恩人である伯爵マクルスは、恐ろしい人だ。
伯爵マクルスは、表向きは、どこにでもいる、普通の伯爵である。だが、裏の世界では、妖精殺しの伯爵、として恐れられている。伯爵マクルスは、妖精を狂わせる香のレシピを知る唯一の人だという。しかも、マクルスは、妖精の魔法が届かない体質だとか。その体質を使って、野良の妖精憑きを捕縛して、拷問して、洗脳して、子飼いの妖精憑きにするのだ。
「一歩、間違えると、帝国が動くぞ」
しかし、それはとても危険なことだ。
王都は帝国のお膝元である。妖精憑きである魔法使いを育て、教育して、宮仕えにするのが王都だ。だから、王都の貧民街では、妖精憑きを隠し持たない。こんな目と鼻の先に魔法使いがいるのだ。自らの首を絞めるようなものである。
大変なこととなった。ルキエルが見つかっても見つからなくても、王都の貧民街は、危険だ。
「ど、どうしようー」
また泣き出すリンネット。リンネットが事の起こりだから、どうしても、責任を感じてしまうのだ。
もっと責任があるのは、リンネットの薬を飲ませて悪戯しようとした男どもである。ちなみに、その男ども、本当に消えた。びっくりだよ!! 俺も気を付けよう。
仕方なく、リンネットを抱きしめてやる。リンネット、俺の胸にすがって泣いた。うわ、汚れちゃったよー。帰ったら洗おう。
死ぬことで責任をとったような男ども。だけど、実行したのはリンネットだ。本当に、ただ、父親を元気にしたかっただけである。もっと、リンネットに色々と教えるべきだったんだよ。
「リンネット様、泣いたって仕方がない。まずは、ルキエルに謝ろう」
「許して、くれるかなぁ?」
「まず、話を聞いてもらえるかどうかだな」
ここを逃げ出したルキエル。見つかるかどうかわからない。さらに、万が一、見つかったとしても、ルキエル、まともに家族と会話出来るかどうか、怪しい。
気狂いとなった父親は、部屋にルキエルを閉じ込めたという。
過去を思い出す。あの父親は、妻をともかく人目に晒すことも我慢ならなかった。この屋敷の奥に閉じ込め、大事に囲ったのだ。
ルキエルの家出は一か月で終了した。伯爵マクルスの子飼いの妖精憑きが一週間でルキエルを見つけたのだ。
てっきり、王都から逃げ出していると、誰もが思っていた。マクルスも長期戦を覚悟したのだ。
ところが、ルキエルはずっと王都に隠れていたのだ。妖精憑きによって見つけられたルキエルは、俺の予想通り、そのまま、屋敷に閉じ込められたのだ。
こうして、王都はやっと静かになった。貧民がいなくなったから、平民たちも、最近静かね、なんて話すくらいだ。貧民も、平民も、生きているだけで手一杯である。そんな、他所のことなんてどうだっていいのだ。
ルキエルが見つかった、という話をわざわざ伯爵マクルスがしに来た。俺が、ルキエルと仲が良いと誰かから聞いたんだな。
「わざわざ、ありがとうございます」
「どこまで知ってるんだ?」
「………」
俺は沈黙する。ほら、話したら、ルキエルの兄ライホーンに消されちゃうから。
俺が笑顔で黙り込むから、伯爵マクルスは苦笑した。
「君は、出世するよ」
「ここで十分です。俺は、可愛い妻と、可愛い子どもたちと、小さい家で暮らす、そんなちっぽけな夢を叶えたいだけです」
「勿体ないな。もし、上にあがりたいなら、来なさい。私が力になろう」
「その気持ちだけで十分ですよ」
裏の世界の招待状を俺は丁重にお断りした。俺、手の中にある幸福だけで十分と、ガキの頃に学んだんだ。
「そういえば、お前はルキエルの幼馴染みみたいなものなんだな」
「他にもいっぱいいますよ」
「もういない」
「………」
しばらく、俺が貧民街から離れていた間に、何かあったんだな。
俺の脳裏に、数少ない、ルキエルの幼馴染みの姿が横切る。貧民が大人になるのは難しい。まず、栄養状態だって良くないから、ガキのままで死ぬのが普通なんだ。
せっかく、それなりに大きくなったというのにな。
何かあったのだろう。
「店主に私が来たことを伝えておいてくれ。頼みたいものがある」
「わかりました」
俺は笑顔で頭を下げた。余計なこと、言わないようにしよう。
その夜、俺は親父に伯爵マクルスの伝言を伝えた。
「今日、午前中に会いましたけどね。注文受けたというのに」
「ああいう人は、手下が動くから、報告あがってないんじゃない?」
「マクルス様から直接、注文を受けたよ。他に、何か話したのか?」
「えーと、ルキエルが出戻ったという話?」
「ああ、そういうことか。もうそろそろ、ダクトも知っていいだろう。座りなさい」
とうとう、俺はルキエルの秘密を教えてもらえるという。俺、あの家族の秘密、いっぱい知ってるけどね!! 親父にも話せないけど。
改めて、俺は親父と向かい合った。一体、どんな話をされるのやら。俺が知っていることだといいな。
「ルキエル様は、妖精憑きだ」
「………え?」
知らない秘密だった。
「とても綺麗だろう。力の強い妖精憑きは、その見た目は綺麗になる。僕は昔、賢者テラスを遠くから見たことがあるが、とんでもない美男子だったよ」
「けど、妖精憑きなら、今頃、帝国に」
「儀式を受けていないんだ。妖精憑きを選別する儀式を帝国は金で釣って受けさせている。だけど、学のない貧民は儀式を受けない。別に、貧民だって、儀式を受けていいんだ。知らないから、受けないんだ。結果、野良の妖精憑きが出てくる」
それで、伯爵マクルスは、子飼いの妖精憑きを保有出来ているのだ。
貧民から出てきた妖精憑きを後ろ暗いことする奴らは隠し持っているのだ。妖精憑き、簡単に言いなりに出来ないから、それなりのことをして、洗脳して、子飼いにするという。
「誰も、ルキエルが妖精憑きだと知らないみたいだけど」
「ただの人にはわからない。同じ妖精憑きであればわかっただろうが、王都では、妖精憑きは全て、帝国が管理している。常に屋敷に閉じ込められているルキエル様を魔法使いたちが見る機会がなかったから、見逃されたのだろう」
「確かに、ルキエル、ずっと屋敷にいたよなー」
再会して、俺はルキエルから色々と聞いた。
ルキエルは母親を失った後、子育てに奔走したのだ。ともかく、あの父親は子育てなんてしない。金は渡すが、それだけだ。兄ライホーンと姉リンネットは、もちろん、出来るわけではない。弟妹の面倒すらみないのだ。
結果、弟妹の面倒をみていたルキエルが子育てである。それなりの年齢になったら、屋敷の外に出る許可が貰えるはずなのだが、子育て中のルキエルは、外に出られない。仕方なく、ルキエル弟妹がそれなりに手が離れるまで、ずっと、あの屋敷に閉じ込められていたのだ。
俺と再会した時は、やっと、外に出られて喜んでいたな。いっぱい、父親の愚痴を聞かされた。聞けば聞くほど、ルキエル、気の毒でならなかった。
再会してからそれなりに、ルキエルが育てた弟ロイドと、妹レーリエットとは顔を合わせた。二人とも、ルキエルのことが大好きすぎて、べったりしていた。あれはあれで、異常だったな。
「ルキエル様には、何かある。その何かのお陰で、僕は再び、平民に戻って来れた。しかし、この恩返しは、きっと、大変なものだろう」
「そんなことないって」
「当時、まだ伯爵の弟だったマクルス様を紹介された時、何か導きを感じた。それは、結果から見れば、いい導きだ。しかし、長く見てみると、悪い何かが起こるかもしれない、という不安を感じる」
「ルキエル、そんなつもりないよ。ただ、あの貴族に会う口実に親父を使っただけだよ」
当時、見ていてわかった。ルキエルは、伯爵マクルスに懐いていた。片腕で抱き上げられて、いつも以上に喜んで、はしゃいでいた。
いつも落ち着いて、いい兄をしているルキエル。マクルスの腕の中にいたルキエルは、ただのガキになっていた。
「そうだといいがな。妖精憑きは、執着が強い。強い執着を手に入れようと、とんでもない力を発揮する。お前はルキエル様とは友達関係だというから、安心はしている」
「………」
「友達、だよな?」
「俺ね、ユリのような綺麗な感じの人が好きなんだよ。ルキエルは、ユリだな」
「確か、ルキエル様の妹は、母親似と聞いたが」
「うん、可愛いね」
これが、これっぽっちも、俺、ルキエルの妹レーリエットには何も感じなかった。
とても不安そうな顔をする親父。
「知り合いで、いい感じの子がいると聞いてる。お見合いしてみるか?」
「よろしくお願いします!!」
俺も、なりふり構っていられなくなった。
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