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破滅-三人目
奴隷化
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海の貧民街に来る前までは、俺は、男爵家の子息だ。きちんと、貴族の学校も卒業した。それなりの成績をとり、騎士団の試験も合格して、それなりの実力を認められたのだ。
それなのに、手紙で、父と兄から、戻ってこい、と命じられた。
家を捨ててしまえば良かった。帰らなければ、俺は見習い騎士から騎士となっていただろう。もし、見習い騎士から先に行けなくても、それなりに知り合いの貴族はいたから、貴族子息の剣術の教師くらいにはなれた。実際、貴族の学校では、似たようなことをやっていた。
俺は、その時、何も知らずに、生家に戻った。今後のことを家族に相談するためだ。
ところが、俺は、生家につくなり、侯爵家に拘束して連れて行かれた。
「ユーリ、すまない」
俺を拘束したのは、父と兄だ。侯爵家に命じられるままに、俺を拘束したのだ。
俺はかなり腕っぷしに自信があった。それでも、拘束されたのは、薬を盛られたからだ。生家に戻り、何の警戒もせず、出された茶を飲んで、すぐだ。意識だけはしっかりしているも、体の自由はなかった。そんな俺を父と兄が拘束した。母を見れば、遠くで泣いて、竦んでいるだけだ。
訴えたくても、声だって出ない。そうして、荷馬車に放り込まれ、そのまま、侯爵家に連れて行かれたのだ。
俺は、生涯、侯爵家には関わることはない、と考えていた。俺は、男爵家だし、三男だ。上には兄二人がいるのだ。俺は、予備にすらならない。家を継ぐ長男と、予備である次男は、家門の長である侯爵家に従わなければならない。俺は、その後の展望なんてないので、貴族の学校で努力して、人脈を作り、実力で騎士団に入団するしかなかった。
なのに、俺は初めて侯爵家の邸宅に連れて行かれていた。自由なんてない状態でだ。
俺は邸宅に荷物のように運び込まれたが、入ってすぐ、転がされたのだ。それ以上、俺の侵入を拒むように、侯爵家の当主から、その家族が勢ぞろいして、俺を冷たく見下ろしていた。
俺の父と兄は、俺の後ろに膝をついて、頭を下げていた。
「これが、貴族の学校で三次席までとったという男か」
「たまたまでございます」
侯爵がいうと、父は頭を下げたまま、俺の輝かしい成績を貶した。
だが、仕方がない。侯爵家の子息令嬢の成績はぱっとしない。そう言わないと、男爵家なんて、簡単に潰されてしまう。
「騎士団の試験も合格したとか」
「昔から、力だけはありました!!」
ただ剣を振り回しているバカ、と言外に含ませる父。こう言わないといけないのだ。
侯爵の息子たちは、俺の実力やら名声やらに、ものすごい嫉妬の目を向けてくる。だけど、侯爵だけは違う。俺を値踏みするだけだ。
「いい、盾にも、武器にもなるな。いいだろう、儀式を行おう」
侯爵がそういうと、魔法使いがやってきた。
声が出たら、叫んでいただろう。魔法使いがたかが侯爵家にいるのだ。
妖精憑きは帝国の所有物である。妖精憑きは帝国では魔法使いとして育てられるのだ。魔法使いの主は帝国の皇帝である。皇帝の許可がない限り、魔法使いがたかが一貴族が使うことは出来ないのだ。
なのに、侯爵は魔法使いを顎で使うのだ。
魔法使いは深く頭を下げ、俺の衣服を魔法で消してしまう。全裸となった俺は、動きたくても動けない。恥ずかしい所まで、全て、侯爵とその家族に晒すこととなった。それに羞恥で全身が赤くなるのがわかった。
そんな俺の羞恥など無視して、魔法使いは俺をうつ伏せにして、背中に、よくわからない模様になるようにくりぬかれた紙をあてた。そこに、インクを塗りたくった。冷たい感触に、俺は抵抗したいが、薬のせいで、出来なかった。
紙を取り除かれれば、俺の背中に模様が描かれた。その上に魔法使いが手をかざした。それだけで、何か体の奥に妙なものが浸透していく。
何が起こっているのか、わからない。俺はただ、魔法使いに何か、されているだけだ。
しばらくして、魔法使いは俺から離れた。
「儀式は終了しました」
「ご苦労だった。お前は城に戻れ」
魔法使いは侯爵に深く頭を下げて、屋敷から出て行った。
侯爵は俺を冷たく見下ろした。
「立て」
命じられた。そんなこと、出来るはずがないのだ。薬で体の自由を奪われていたのだ。
ところが、俺の意思など関係なく、体は動いて、侯爵の前に立ったのだ。
一体、何が起こっているのか、俺はわからない。呆然としていると、侯爵は俺の顔を殴った。痛みと勢いで倒れそうになるが、俺の体はその場に留まるように立っていた。
「いつ見ても、素晴らしいな。この男も、私の前では、ただの石ころになるのだからな!!」
「今回のは、随分と頑丈ですね」
「さっきので倒れないとは」
侯爵に続いて、その子どもが俺を殴ったり蹴ったりする。だけど、俺は立ったまま、留まった。とんでもない痛みを一方的に受けているというのに、体は抵抗しない。
「もう、見苦しいわね。さっさと服を着せてちょうだい!!」
「年頃の娘がいるのよ!!」
侯爵の妻と娘たちが苦情を訴え、やっと、俺への暴力はなくなった。侯爵家の使用人たちが、俺の裸体を隠すための布をかけた。
侯爵は、立ったまま動かない俺を満足そうに見た。
「完璧な人形になったな。お前も、いい息子を持ったじゃないか。こんなに、頑丈で立派な盾、世が世なら、我が家の功績のために使えたのだがな。まあ、他の使い道もある。騎士団の試験に合格しているというのならば、潜入調査に使えるな」
「勿体ないお言葉です!!」
「もう、帰っていい」
侯爵にそう言われて、俺はやっと自由に動けるようになった。だけど、どうすればいいかわからず、ただ、父と兄に腕を引かれるままに、屋敷を出るしかなかった。
帰りも荷馬車だ。俺と、兄と、父が荷馬車に乗せられ、無言で揺られ、そうして、生家に戻った。
荷馬車が去っていくのを見送ってから、俺は父につかみかかった。
「一体、どういうことですか!?」
「す、すまない」
父は泣いて謝る。兄を見れば、兄二人も泣いて頭を下げていた。
俺は三男だから、ということもあるが、皇帝ラインハルトが戦争を永遠に失くしたことから、部外者の扱いを生家で受けていたのだ。
侯爵家は、大昔から、違法に魔法使いを引き入れて、家門の者たちを契約で縛っていたのだ。違法と言っても、その魔法使いは、家門から誕生するのだ。帝国が行う儀式で、家門の中に妖精憑きが見つかると、侯爵家は手厚い援助をする。その見返りに、魔法使いにこっそり、儀式の手伝いをさせるのだ。
侯爵家は、家門の者たちを奴隷化する儀式を行って、権勢を誇っていた。男も女も、容赦なく、儀式により、奴隷化するのだ。背中に特殊なインクで描かれた契約紋を固定化し、侯爵家に絶対服従の契約を施すのだ。
大昔は、もっと違う目的の儀式だったのだろう。侯爵家への絶対服従を示すためのものだったのかもしれない。だが、今では、侯爵家の権勢を守るための奴隷作りとなっていた。
昔は、戦争に出兵すると、家門たちを盾や武器にして、侯爵家は手柄をたてていたのだ。盾や武器にされていたのは、家門でも、三男以下の、跡継ぎにならない者たちだ。それも、戦争がなくなったことで、三男以下にそうすることをやめたのだ。
俺は、この妙な儀式を受けなくていいはずだった。
「お前は、目立ちすぎだ」
泣き笑いする父。
俺の評判が、逆に、侯爵家には目障りだったのだ。だから、俺に儀式を強要した。
「俺はただ、家を出て生きるために、必死で努力しただけだというのに!?」
貴族でなくなるのだ。それなりの努力をしなければならない。目立ちたいわけではない。俺は、家の力を借りないで生きていかなければならないのだ。
「すまない。俺たちは皆、儀式を受けている」
「っ!? そんなっ」
仕方のないことだった。誰も、逆らえないように、父も兄も儀式で奴隷化されていた。
最初は父から、そして、兄へ、とどんどんと儀式を行われていたのだ。この儀式、他言が出来ないように、契約紋に制約をつけられていた。だから、どうしても、家族は俺に話せなかったのだ。
俺は恐る恐ると母と姉を見る。
「まさか、母さんたちも」
「女は、他家に行くからな。強制的にされる」
「っ!?」
とんでもないことを侯爵家はしていた。この奴隷化を使って、他家の情報を盗んで、今の権勢を保っていたのだろう。
一歩間違えれば、帝国の敵となることを侯爵家は平然とやっていた。
帝国の筆頭魔法使いの目まで誤魔化している事実に、背筋が冷たくなるものを感じた。
「ユーリ、騎士団を辞退するんだ」
「父さん!?」
「万が一、お前が侯爵家の儀式を受けたことを知られた時、お前の命はない」
「俺は、騎士になりたいと、ずっと、努力していたというのに!?」
父のいうことは正しい。だけど、俺の夢だ。それが俺の努力によって実ろうとしている。
それなのに、侯爵家の傲慢によって、俺の努力は踏みつぶされていた。
「どうせ、魔法使いは気づかない。きっと、大丈夫だ」
そう思った。これまで、侯爵家は、帝国から何も言われていないのだ。
「見逃されているのだよ。俺が戦争に出た時、当時、筆頭魔法使いだったテラス様に見破られていた」
「知っていて、見逃したというのか!? これは、帝国への反乱だろう!!」
「必要悪だ。度を越せば、帝国の敵となるが、侯爵家は、そこまでのことはしていない。帝国のために戦争にも出たから、見逃されたんだ」
「だった、俺のことも!!」
「これまで、城への出仕はなかったからだろう。戦争のための道具として使われておったからな。しかし、侯爵家は、帝国の政治に食い込もうと考えている。その手段の一つとして、お前を使うつもりだろう。だが、それを筆頭魔法使いは許さない」
父は、戦争時、筆頭魔法使いだったテラス様に何か言われたのだろう。
父は俺の前で膝を折り、深く頭を下げた。
「すまん!!」
「ユーリ、これを持って、逃げろ」
兄が、金の入った袋を俺の手に押し付けた。
「こんな大金、受け取れない」
我が家は決して、裕福ではない。人並の生活が出来る程度である。それなのに、とんでもない大金を俺に渡そうとする。俺はそれを兄に返した。
「いいから、これを持って逃げろ!! 何もかもイヤになって、金を奪って逃げるんだ」
「俺たちを殴るんだ。さあ」
「っ!?」
いくら、儀式で縛ったといっても、人の心までは縛れない。父と兄は、最初から、俺を逃がすつもりだった。そのために、こんな大金を俺に渡すのだ。
「そんなこと、命じられたら、すぐ、本当のことを話してしまうだろう!!」
「っ!?」
だけど、俺はどうしても、その計画に乗るわけにはいかなかった。このままでは、家族は大変なこととなる。
この俺たちを奴隷化する儀式が、どこまで強制力があるのか、俺にはわからない。だけど、戦争で侯爵の盾や武器扱い出来るほどの強制力があるのだ。俺が逃げた時、命じれば、簡単に計画を話してしまうだろう。
「俺は、明日にでも、王都に行く。もしかしたら、賢者テラス様の助力が得られるかもしれない」
戦争に行った父を見逃したのだ。筆頭魔法使いから賢者となったテラス様が、よい力になってくれると、俺は考えた。
騎士見習いとなってからは、忙しい毎日を過ごした。鍛錬をして、勉学もして、と余計なことを考える暇がなかった。
それでも、定期的に送られてくる侯爵家からの手紙に、俺は現実に引き戻される。
手紙にも、何か施されているのだろう。その手紙の命令にとんでもない強制力があった。嘘偽りなく、見習い騎士としての日々を手紙で書かされた。それは、俺の個人的な日常までだ。
こんなことをさせるから、俺は人付き合いが出来なくなった。俺は嘘をつくのが下手だ。侯爵家の奴隷化の儀式を受けたとしても、体はとんでもない拒否反応を起こす。抵抗なんで出来ないが、体調が崩れるのだ。
そうして、孤立する道を自然と進んで行くのだが、集団生活していると、そういう空気が読めない奴が必ず一人はいるのだ。
「あんたさ、人に教えるのがうまいって、聞いたんだ。どうか、教えてくれ!!」
後輩となるのだが、見習い騎士メッサがそうだった。
見習い騎士の試験は、そんなに難しくない。まず、筆記がない。何せ、文字が読めない、書けない者が受けるのだ。騎士はその腕っぷしが第一だ。頭だけでは、帝国を守れない。まずは、腕前を試される。その腕前だって、別に、剣術、体術を見るわけではない。頑丈さと体力である。貴族でも騎士を目指す者たちは、それがわかっているので、文武両道である。頭だけでなく、体もしっかり鍛錬するのだ。
そして、見習い騎士となった者たちは、そこから大変である。貴族で体つくりをしていたって、実際の訓練はとんでもない。貴族子息の鍛錬なんて、実はお遊戯のようなものだ。そういった点では、平民のほうが有利だ。
しかし、騎士となると、読み書き計算は絶対だ。そういう仕事も割り振られるのだ。事務仕事だってそれなりに出来ないといけないし、上の階級になると、責任が重くなるから、文章を扱うことが多くなるのだ。だから、見習いの内に、読み書き計算を仕込まれるのだ。ここで、体力バカな平民が苦労するのだ。
人付き合いは諦めていたのだが、俺の貴族の学校での評判を聞きつけた見習い騎士メッサが俺に泣きついてきたのだ。
「なんで俺が!?」
本当にそうだよ。俺は自分のことで手一杯だ。周囲を見回せば、手一杯なのは見習い騎士全員である。俺からばっと顔を背ける。
だけど、メッサはもう、後がないのだろう。俺にしがみ付いたまま離れない。
「もう、何が書かれているのか、これっぽっちもわからないんだ!!」
「そのための授業だろう!! 宿題だって、しっかりやれば、人並には出来るようになるものだ」
「俺は人並以下なんだよ!! 自慢じゃないが、本当に体力バカだから」
胸を叩いて威張るメッサの頭を俺はおもいっきり殴った。
「いってぇ!! 殴ることはないだろう!?」
「俺は、努力もせずに、そうやって胸をはる奴は大嫌いなんだ」
貴族の学校でもいたんだ。必要ない、とか、頭が悪い、とか。それを口にする奴らを俺はかたっぱしから殴ってやった。努力してからやれ。
そして、俺は努力させるために手伝って、すっかり、教え上手となったのだが。あんなに人付き合いを避けて、孤立してたってのに、俺の評判はまだまだ生きてるんだな。
俺は、見習い騎士となってから、生家にすら、帰らなかった。ずっと、王都の、見習い騎士の宿舎で過ごしていた。暇があれば、鍛錬と勉強である。そんな日々を送っていて、人恋しかったのだろう。メッサが泣きついてきて、俺はついつい、勉強の手伝いをしてしまった。
結局、俺は俺である。お人よしで、実直な所は変えようがなかった。
メッサと関わると、俺も、私も、僕も、とどんどんと泣きつく見習い騎士が増えていった。もう、どうしてこうなったのやら。
そんなことをしているから、騎士団の評判も上がってきてしまう。
とうとう、剣術と体術まで教えてほしい、と言われて、個人鍛錬のついでにしていると、団長がやってきた。
「今日もやってるな」
「あ、はあ」
団長は人当たりのいい人で、失礼な口をきいても、まるで気にしない人だった。見習い騎士が、こんな口をきいても、団長は怒ったりしない。それよりも、俺が疲れていると気づいて、笑顔で俺の肩を叩いて、励ましてくれる。むちゃくちゃ痛いけど。
「評判の見習い騎士と手合わせしたい、と賢者テラス様がいらっしゃってる」
「っ!?」
瞬間、俺は背筋が冷たくなった。
見習い騎士は、まだまだ見苦しいので、隠されての鍛錬である。だから、魔法使いの目が届くような場所にはいない。
俺はなるべく、街にも降りないようにしていた。万が一、俺が魔法によって侯爵家の奴隷化をされていると知られたら、大変なこととなる。
賢者テラスは、文武両道である。常に騎士団と訓練をするほど、武にも長けていた。噂では、魔法よりも、その腕っぷしで、魔法使いを制圧出来てしまうほどの身体能力を持っているという。
俺は膝はすぐに膝をついた。礼儀の上だが、恐怖に引きつった顔を見せないようにするためだ。
「突然、こちらに来たのですから、そんなことしなくていいですよ。立ってください」
耳当たりのいい声だった。そう言われてしまったら、俺は立つしかない。覚悟して立って、賢者テラス様を見て、一瞬、息が止まる。
目を瞠るような美男子だ。よく鍛えられた体躯だから、男性とはっきりしている。その顔は、男であっても、見惚れてしまうほどの美しさだ。
力の強い妖精憑きは、その姿を見ただけでわかるという。力が強ければ強くなるほど、その姿は美しくなる。賢者テラス様は、その法則を肯定するほどの美男子であった。
優しい笑顔を浮かべて、テラス様は俺の肩を叩いた。
「なるほど、そういうことですか。大丈夫ですよ」
俺を見ただけで、テラス様は全てを悟った。
「彼とは、少し、話をさせてください。腕前を見る前に、他の部分を知りたい」
「彼は、男爵の出です。問題はありませんよ」
「読みました。ですが、書類上では、性格まではわかりませんから」
「んー、わかりました。ユーリ、賢者様の色香に惑わされるなよ」
団長は俺の耳にとんでもないことを囁いて、俺の背中をバンバンと叩いた。
それなのに、手紙で、父と兄から、戻ってこい、と命じられた。
家を捨ててしまえば良かった。帰らなければ、俺は見習い騎士から騎士となっていただろう。もし、見習い騎士から先に行けなくても、それなりに知り合いの貴族はいたから、貴族子息の剣術の教師くらいにはなれた。実際、貴族の学校では、似たようなことをやっていた。
俺は、その時、何も知らずに、生家に戻った。今後のことを家族に相談するためだ。
ところが、俺は、生家につくなり、侯爵家に拘束して連れて行かれた。
「ユーリ、すまない」
俺を拘束したのは、父と兄だ。侯爵家に命じられるままに、俺を拘束したのだ。
俺はかなり腕っぷしに自信があった。それでも、拘束されたのは、薬を盛られたからだ。生家に戻り、何の警戒もせず、出された茶を飲んで、すぐだ。意識だけはしっかりしているも、体の自由はなかった。そんな俺を父と兄が拘束した。母を見れば、遠くで泣いて、竦んでいるだけだ。
訴えたくても、声だって出ない。そうして、荷馬車に放り込まれ、そのまま、侯爵家に連れて行かれたのだ。
俺は、生涯、侯爵家には関わることはない、と考えていた。俺は、男爵家だし、三男だ。上には兄二人がいるのだ。俺は、予備にすらならない。家を継ぐ長男と、予備である次男は、家門の長である侯爵家に従わなければならない。俺は、その後の展望なんてないので、貴族の学校で努力して、人脈を作り、実力で騎士団に入団するしかなかった。
なのに、俺は初めて侯爵家の邸宅に連れて行かれていた。自由なんてない状態でだ。
俺は邸宅に荷物のように運び込まれたが、入ってすぐ、転がされたのだ。それ以上、俺の侵入を拒むように、侯爵家の当主から、その家族が勢ぞろいして、俺を冷たく見下ろしていた。
俺の父と兄は、俺の後ろに膝をついて、頭を下げていた。
「これが、貴族の学校で三次席までとったという男か」
「たまたまでございます」
侯爵がいうと、父は頭を下げたまま、俺の輝かしい成績を貶した。
だが、仕方がない。侯爵家の子息令嬢の成績はぱっとしない。そう言わないと、男爵家なんて、簡単に潰されてしまう。
「騎士団の試験も合格したとか」
「昔から、力だけはありました!!」
ただ剣を振り回しているバカ、と言外に含ませる父。こう言わないといけないのだ。
侯爵の息子たちは、俺の実力やら名声やらに、ものすごい嫉妬の目を向けてくる。だけど、侯爵だけは違う。俺を値踏みするだけだ。
「いい、盾にも、武器にもなるな。いいだろう、儀式を行おう」
侯爵がそういうと、魔法使いがやってきた。
声が出たら、叫んでいただろう。魔法使いがたかが侯爵家にいるのだ。
妖精憑きは帝国の所有物である。妖精憑きは帝国では魔法使いとして育てられるのだ。魔法使いの主は帝国の皇帝である。皇帝の許可がない限り、魔法使いがたかが一貴族が使うことは出来ないのだ。
なのに、侯爵は魔法使いを顎で使うのだ。
魔法使いは深く頭を下げ、俺の衣服を魔法で消してしまう。全裸となった俺は、動きたくても動けない。恥ずかしい所まで、全て、侯爵とその家族に晒すこととなった。それに羞恥で全身が赤くなるのがわかった。
そんな俺の羞恥など無視して、魔法使いは俺をうつ伏せにして、背中に、よくわからない模様になるようにくりぬかれた紙をあてた。そこに、インクを塗りたくった。冷たい感触に、俺は抵抗したいが、薬のせいで、出来なかった。
紙を取り除かれれば、俺の背中に模様が描かれた。その上に魔法使いが手をかざした。それだけで、何か体の奥に妙なものが浸透していく。
何が起こっているのか、わからない。俺はただ、魔法使いに何か、されているだけだ。
しばらくして、魔法使いは俺から離れた。
「儀式は終了しました」
「ご苦労だった。お前は城に戻れ」
魔法使いは侯爵に深く頭を下げて、屋敷から出て行った。
侯爵は俺を冷たく見下ろした。
「立て」
命じられた。そんなこと、出来るはずがないのだ。薬で体の自由を奪われていたのだ。
ところが、俺の意思など関係なく、体は動いて、侯爵の前に立ったのだ。
一体、何が起こっているのか、俺はわからない。呆然としていると、侯爵は俺の顔を殴った。痛みと勢いで倒れそうになるが、俺の体はその場に留まるように立っていた。
「いつ見ても、素晴らしいな。この男も、私の前では、ただの石ころになるのだからな!!」
「今回のは、随分と頑丈ですね」
「さっきので倒れないとは」
侯爵に続いて、その子どもが俺を殴ったり蹴ったりする。だけど、俺は立ったまま、留まった。とんでもない痛みを一方的に受けているというのに、体は抵抗しない。
「もう、見苦しいわね。さっさと服を着せてちょうだい!!」
「年頃の娘がいるのよ!!」
侯爵の妻と娘たちが苦情を訴え、やっと、俺への暴力はなくなった。侯爵家の使用人たちが、俺の裸体を隠すための布をかけた。
侯爵は、立ったまま動かない俺を満足そうに見た。
「完璧な人形になったな。お前も、いい息子を持ったじゃないか。こんなに、頑丈で立派な盾、世が世なら、我が家の功績のために使えたのだがな。まあ、他の使い道もある。騎士団の試験に合格しているというのならば、潜入調査に使えるな」
「勿体ないお言葉です!!」
「もう、帰っていい」
侯爵にそう言われて、俺はやっと自由に動けるようになった。だけど、どうすればいいかわからず、ただ、父と兄に腕を引かれるままに、屋敷を出るしかなかった。
帰りも荷馬車だ。俺と、兄と、父が荷馬車に乗せられ、無言で揺られ、そうして、生家に戻った。
荷馬車が去っていくのを見送ってから、俺は父につかみかかった。
「一体、どういうことですか!?」
「す、すまない」
父は泣いて謝る。兄を見れば、兄二人も泣いて頭を下げていた。
俺は三男だから、ということもあるが、皇帝ラインハルトが戦争を永遠に失くしたことから、部外者の扱いを生家で受けていたのだ。
侯爵家は、大昔から、違法に魔法使いを引き入れて、家門の者たちを契約で縛っていたのだ。違法と言っても、その魔法使いは、家門から誕生するのだ。帝国が行う儀式で、家門の中に妖精憑きが見つかると、侯爵家は手厚い援助をする。その見返りに、魔法使いにこっそり、儀式の手伝いをさせるのだ。
侯爵家は、家門の者たちを奴隷化する儀式を行って、権勢を誇っていた。男も女も、容赦なく、儀式により、奴隷化するのだ。背中に特殊なインクで描かれた契約紋を固定化し、侯爵家に絶対服従の契約を施すのだ。
大昔は、もっと違う目的の儀式だったのだろう。侯爵家への絶対服従を示すためのものだったのかもしれない。だが、今では、侯爵家の権勢を守るための奴隷作りとなっていた。
昔は、戦争に出兵すると、家門たちを盾や武器にして、侯爵家は手柄をたてていたのだ。盾や武器にされていたのは、家門でも、三男以下の、跡継ぎにならない者たちだ。それも、戦争がなくなったことで、三男以下にそうすることをやめたのだ。
俺は、この妙な儀式を受けなくていいはずだった。
「お前は、目立ちすぎだ」
泣き笑いする父。
俺の評判が、逆に、侯爵家には目障りだったのだ。だから、俺に儀式を強要した。
「俺はただ、家を出て生きるために、必死で努力しただけだというのに!?」
貴族でなくなるのだ。それなりの努力をしなければならない。目立ちたいわけではない。俺は、家の力を借りないで生きていかなければならないのだ。
「すまない。俺たちは皆、儀式を受けている」
「っ!? そんなっ」
仕方のないことだった。誰も、逆らえないように、父も兄も儀式で奴隷化されていた。
最初は父から、そして、兄へ、とどんどんと儀式を行われていたのだ。この儀式、他言が出来ないように、契約紋に制約をつけられていた。だから、どうしても、家族は俺に話せなかったのだ。
俺は恐る恐ると母と姉を見る。
「まさか、母さんたちも」
「女は、他家に行くからな。強制的にされる」
「っ!?」
とんでもないことを侯爵家はしていた。この奴隷化を使って、他家の情報を盗んで、今の権勢を保っていたのだろう。
一歩間違えれば、帝国の敵となることを侯爵家は平然とやっていた。
帝国の筆頭魔法使いの目まで誤魔化している事実に、背筋が冷たくなるものを感じた。
「ユーリ、騎士団を辞退するんだ」
「父さん!?」
「万が一、お前が侯爵家の儀式を受けたことを知られた時、お前の命はない」
「俺は、騎士になりたいと、ずっと、努力していたというのに!?」
父のいうことは正しい。だけど、俺の夢だ。それが俺の努力によって実ろうとしている。
それなのに、侯爵家の傲慢によって、俺の努力は踏みつぶされていた。
「どうせ、魔法使いは気づかない。きっと、大丈夫だ」
そう思った。これまで、侯爵家は、帝国から何も言われていないのだ。
「見逃されているのだよ。俺が戦争に出た時、当時、筆頭魔法使いだったテラス様に見破られていた」
「知っていて、見逃したというのか!? これは、帝国への反乱だろう!!」
「必要悪だ。度を越せば、帝国の敵となるが、侯爵家は、そこまでのことはしていない。帝国のために戦争にも出たから、見逃されたんだ」
「だった、俺のことも!!」
「これまで、城への出仕はなかったからだろう。戦争のための道具として使われておったからな。しかし、侯爵家は、帝国の政治に食い込もうと考えている。その手段の一つとして、お前を使うつもりだろう。だが、それを筆頭魔法使いは許さない」
父は、戦争時、筆頭魔法使いだったテラス様に何か言われたのだろう。
父は俺の前で膝を折り、深く頭を下げた。
「すまん!!」
「ユーリ、これを持って、逃げろ」
兄が、金の入った袋を俺の手に押し付けた。
「こんな大金、受け取れない」
我が家は決して、裕福ではない。人並の生活が出来る程度である。それなのに、とんでもない大金を俺に渡そうとする。俺はそれを兄に返した。
「いいから、これを持って逃げろ!! 何もかもイヤになって、金を奪って逃げるんだ」
「俺たちを殴るんだ。さあ」
「っ!?」
いくら、儀式で縛ったといっても、人の心までは縛れない。父と兄は、最初から、俺を逃がすつもりだった。そのために、こんな大金を俺に渡すのだ。
「そんなこと、命じられたら、すぐ、本当のことを話してしまうだろう!!」
「っ!?」
だけど、俺はどうしても、その計画に乗るわけにはいかなかった。このままでは、家族は大変なこととなる。
この俺たちを奴隷化する儀式が、どこまで強制力があるのか、俺にはわからない。だけど、戦争で侯爵の盾や武器扱い出来るほどの強制力があるのだ。俺が逃げた時、命じれば、簡単に計画を話してしまうだろう。
「俺は、明日にでも、王都に行く。もしかしたら、賢者テラス様の助力が得られるかもしれない」
戦争に行った父を見逃したのだ。筆頭魔法使いから賢者となったテラス様が、よい力になってくれると、俺は考えた。
騎士見習いとなってからは、忙しい毎日を過ごした。鍛錬をして、勉学もして、と余計なことを考える暇がなかった。
それでも、定期的に送られてくる侯爵家からの手紙に、俺は現実に引き戻される。
手紙にも、何か施されているのだろう。その手紙の命令にとんでもない強制力があった。嘘偽りなく、見習い騎士としての日々を手紙で書かされた。それは、俺の個人的な日常までだ。
こんなことをさせるから、俺は人付き合いが出来なくなった。俺は嘘をつくのが下手だ。侯爵家の奴隷化の儀式を受けたとしても、体はとんでもない拒否反応を起こす。抵抗なんで出来ないが、体調が崩れるのだ。
そうして、孤立する道を自然と進んで行くのだが、集団生活していると、そういう空気が読めない奴が必ず一人はいるのだ。
「あんたさ、人に教えるのがうまいって、聞いたんだ。どうか、教えてくれ!!」
後輩となるのだが、見習い騎士メッサがそうだった。
見習い騎士の試験は、そんなに難しくない。まず、筆記がない。何せ、文字が読めない、書けない者が受けるのだ。騎士はその腕っぷしが第一だ。頭だけでは、帝国を守れない。まずは、腕前を試される。その腕前だって、別に、剣術、体術を見るわけではない。頑丈さと体力である。貴族でも騎士を目指す者たちは、それがわかっているので、文武両道である。頭だけでなく、体もしっかり鍛錬するのだ。
そして、見習い騎士となった者たちは、そこから大変である。貴族で体つくりをしていたって、実際の訓練はとんでもない。貴族子息の鍛錬なんて、実はお遊戯のようなものだ。そういった点では、平民のほうが有利だ。
しかし、騎士となると、読み書き計算は絶対だ。そういう仕事も割り振られるのだ。事務仕事だってそれなりに出来ないといけないし、上の階級になると、責任が重くなるから、文章を扱うことが多くなるのだ。だから、見習いの内に、読み書き計算を仕込まれるのだ。ここで、体力バカな平民が苦労するのだ。
人付き合いは諦めていたのだが、俺の貴族の学校での評判を聞きつけた見習い騎士メッサが俺に泣きついてきたのだ。
「なんで俺が!?」
本当にそうだよ。俺は自分のことで手一杯だ。周囲を見回せば、手一杯なのは見習い騎士全員である。俺からばっと顔を背ける。
だけど、メッサはもう、後がないのだろう。俺にしがみ付いたまま離れない。
「もう、何が書かれているのか、これっぽっちもわからないんだ!!」
「そのための授業だろう!! 宿題だって、しっかりやれば、人並には出来るようになるものだ」
「俺は人並以下なんだよ!! 自慢じゃないが、本当に体力バカだから」
胸を叩いて威張るメッサの頭を俺はおもいっきり殴った。
「いってぇ!! 殴ることはないだろう!?」
「俺は、努力もせずに、そうやって胸をはる奴は大嫌いなんだ」
貴族の学校でもいたんだ。必要ない、とか、頭が悪い、とか。それを口にする奴らを俺はかたっぱしから殴ってやった。努力してからやれ。
そして、俺は努力させるために手伝って、すっかり、教え上手となったのだが。あんなに人付き合いを避けて、孤立してたってのに、俺の評判はまだまだ生きてるんだな。
俺は、見習い騎士となってから、生家にすら、帰らなかった。ずっと、王都の、見習い騎士の宿舎で過ごしていた。暇があれば、鍛錬と勉強である。そんな日々を送っていて、人恋しかったのだろう。メッサが泣きついてきて、俺はついつい、勉強の手伝いをしてしまった。
結局、俺は俺である。お人よしで、実直な所は変えようがなかった。
メッサと関わると、俺も、私も、僕も、とどんどんと泣きつく見習い騎士が増えていった。もう、どうしてこうなったのやら。
そんなことをしているから、騎士団の評判も上がってきてしまう。
とうとう、剣術と体術まで教えてほしい、と言われて、個人鍛錬のついでにしていると、団長がやってきた。
「今日もやってるな」
「あ、はあ」
団長は人当たりのいい人で、失礼な口をきいても、まるで気にしない人だった。見習い騎士が、こんな口をきいても、団長は怒ったりしない。それよりも、俺が疲れていると気づいて、笑顔で俺の肩を叩いて、励ましてくれる。むちゃくちゃ痛いけど。
「評判の見習い騎士と手合わせしたい、と賢者テラス様がいらっしゃってる」
「っ!?」
瞬間、俺は背筋が冷たくなった。
見習い騎士は、まだまだ見苦しいので、隠されての鍛錬である。だから、魔法使いの目が届くような場所にはいない。
俺はなるべく、街にも降りないようにしていた。万が一、俺が魔法によって侯爵家の奴隷化をされていると知られたら、大変なこととなる。
賢者テラスは、文武両道である。常に騎士団と訓練をするほど、武にも長けていた。噂では、魔法よりも、その腕っぷしで、魔法使いを制圧出来てしまうほどの身体能力を持っているという。
俺は膝はすぐに膝をついた。礼儀の上だが、恐怖に引きつった顔を見せないようにするためだ。
「突然、こちらに来たのですから、そんなことしなくていいですよ。立ってください」
耳当たりのいい声だった。そう言われてしまったら、俺は立つしかない。覚悟して立って、賢者テラス様を見て、一瞬、息が止まる。
目を瞠るような美男子だ。よく鍛えられた体躯だから、男性とはっきりしている。その顔は、男であっても、見惚れてしまうほどの美しさだ。
力の強い妖精憑きは、その姿を見ただけでわかるという。力が強ければ強くなるほど、その姿は美しくなる。賢者テラス様は、その法則を肯定するほどの美男子であった。
優しい笑顔を浮かべて、テラス様は俺の肩を叩いた。
「なるほど、そういうことですか。大丈夫ですよ」
俺を見ただけで、テラス様は全てを悟った。
「彼とは、少し、話をさせてください。腕前を見る前に、他の部分を知りたい」
「彼は、男爵の出です。問題はありませんよ」
「読みました。ですが、書類上では、性格まではわかりませんから」
「んー、わかりました。ユーリ、賢者様の色香に惑わされるなよ」
団長は俺の耳にとんでもないことを囁いて、俺の背中をバンバンと叩いた。
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