魔法使いの悪友

shishamo346

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破滅-一人目

裏切る男

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 気づいたら、俺は捕縛されていた。海の貧民街の支配者コクーンとその側近の足元に、俺と仲間たちが転がされていた。
「ルキエル、まさか、恋人関係の情夫を売るなんて」
「体目当てだから。その体も、役立たずになった」
 ルキエルは、人前でもかまわず、俺の下半身を晒し、役立たずとなった俺の剛直を握る。
「この通りだ」
「やめてあげてぇ!!」
 コクーンの側近が悲鳴をあげて訴えた。ルキエルは、深く溜息をついて、俺の下半身の衣服を元に戻してくれた。
 俺は、ルキエルに裏切られた衝撃で、本当に、役立たずとなっていた。ルキエルは俺の体目当てだ。役立たずとなった今、俺は捨てられるしかない。
 俺は情けなくも泣いた。
「う、うう」
「可哀想に」
「酷い男だな」
 俺の醜い泣き姿に、コクーンとその側近は同情する。そんな彼らに、俺も仲間も、もしかしたら、なんて考えた。助かるかもしれない。
「裏切ったんだ。そこで終わりだ」
「裏切ったって、浮気でもされたのか?」
「俺を利用して、ここの下見をしたんだ。倒れた俺のことなんか、心配じゃなかったんだ」
 不貞腐れるルキエル。
「違う!! 俺は本当に、ルキエルのことが心配で、ここに来たんだ。こんな所に、ルキエルを置いておきたくなかった。あんな、倒れるなんて」
 俺はすぐに否定する。そんなつもりは欠片ほどもなかった。
 娼館に行けば、ルキエルが倒れた、と店主に聞かされ、俺は反射で動いたのだ。
「信じてくれ、ルキエル。俺は、本当に、心配して、そのまま、ルキエルを連れ去りたかった」
 無様に芋虫のように動いて、ルキエルの元へと向かっていく。
 ルキエルは綺麗な男だ。その体躯は華奢だけど、確かに男だとわかるものを持っていた。女好きの俺は、絶対にルキエルを好きになることはない。
 だけど、俺は知っている。ルキエルは抱きしめると、壊れそうなほど華奢で柔らかい。女よりも女なルキエルの顔を毎日、見ていた。
 捨てられたくない一心で、ルキエルに向かった。
「だったら、どうして、俺のことを調べた」
「そ、それは」
「俺に聞けばいいだろう。まあ、聞いたところで、話すとは限らないけどさ。それでも、情が通えば、俺だって話したさ。俺も、もっと素直にならなきゃ、と反省していた時に、タリムは、俺のことを調べに、王都の貧民街に行ったな」
 憎々しいとばかりに、ルキエルは俺を見下ろし、俺の頭を踏みつけた。
「よりにもよって、俺の古巣を調べに行くとはな。それで、俺の知り合いが海の貧民街にやってきたんだよな」
「ルキエルのことを知りたくて」
「違うだろう。お前が属している組織のために、俺の弱味を握ろうとしたんだろう。そうして、逆に蛇が出てきたわけだ」
「………」
 まさしく、そうだった。妖精殺しの伯爵オクトが食いついてきたのだ。
 俺は踏まれるままだ。俺が王都の貧民街に調べに行かなければ、ルキエルの友達だという伯爵オクトはまだ、海の貧民街に来ていないだろう。
「ルキエル、ほら、許してやれ。一度は情を交わした間柄だろう」
 海の貧民街の支配者コクーンは、本当に人がいい。俺とルキエルの間を良い方向へと向けようとしている。
 だけど、ルキエルは生粋の貧民だ。呆れたようにコクーンを見返す。
「そんなんだから、内側に蛇を飼うことになるんだよ。今回の内部犯だってそうだろう。この際だから、俺が綺麗に掃除してやるよ。まだいるぞ」
 ルキエルは壮絶な笑みを浮かべる。そして、俺を踏みつける足に力を込める。
「まずは、こいつらの尋問だ。コクーン爺さん、得意だろう。何せ、元は軍部の人間なんだってな。軍神なんて呼ばれてるほどのあんただ。尋問も経験済みだろう」
「まあな。戦争に一度は出兵した。内乱を鎮めることだってあったぞ」
「じゃあ、こいつらの口を割らせるのなんて、簡単だよな」
「いいのか?」
「一度裏切る奴は、また裏切る。一度でも裏切ったら、捨てると決めている。それに、タリムじゃ、ちょっと足りなかったな」
 ルキエルは、足を俺の頭から、俺の剛直へと移動する。いくら非力なルキエルといえども、踏まれれば、そこは痛い。
 声をあげそうなほどの苦痛に、俺は我慢した。見上げてみれば、ルキエルは今にも泣きそうな顔をしていた。
「話してくれれば、いいようにしてやったのにな。俺は、待っていた」
 ルキエルはしゃがみこむと、俺に別れの口づけをした。





 俺は洗いざらい話した。もう、ルキエルに許してもらえないのだが、話すことで、この優しい海の貧民街の支配者コクーンが味方になるかも、なんて淡い期待を持っていた。
 そうして、俺が所属する組織は、俺が捕縛されて三日もしない内に消滅させられた。とても優しい感じのコクーンだが、戦場では容赦なかったのだ。
 捕虜にはそれなりに情けをかけるのだろう。俺と仲間たちは、地下牢に放り込まれたまま、臭い飯を食べて、どうにか生きていた。
 処刑されるか、それとも、そのまま解放されるか、そんなことを考えながら、生きながらえていた。
 地下牢に、ルキエルがやってきた。たった一人だ。
 ルキエルは鉄格子から、俺と仲間たちを笑って見ていた。
「あの爺さん、殺したと言って、やっぱり生かしてたか。俺に関わったから、甘く見たんだな」
「ルキエル!?」
 俺は鉄格子に駆け寄り、ルキエルに手を伸ばした。ルキエルは俺の手が届く所に立って、わざと俺に引っ張られた。
「ルキエル、愛してるんだ」
「………」
 俺は告白して、ルキエルを見た。
 ルキエルは、俺を憎しみをこめて睨んでいた。俺の腕が見えない何かで跳ね飛ばされた。
「何が愛してるだ。俺のことを利用して、裏切ったくせに、何が愛だ!!」
「悪かった。もう二度と、ルキエルを怒らせるようなことはしない。仲直りしよう」
 俺の中では、ルキエルは恋人だ。鉄格子を通して、俺は土下座した。こういう事は、恋人であれば、普通だ。怒らせることをしたら、土下座するものだ。
 そして、俺は顔を上げ、無表情に見下ろすルキエルを見ることとなる。
「俺も、お前のことを利用したけどな。まさか、本当に俺のことを調べに、王都の貧民街に行くとはな」
「………は?」
 途端、ルキエルは俺たちを嘲笑った。
「俺の身の上は、なかなか、面倒くさいんだよ。俺としては、ひっそりと生きたい。だけど、俺のことを探す奴らがいる。そういう奴らを一掃したいから、わざわざ、失脚した支配者の娼夫だと売り言葉にしたんだ」
「なんだ、それ」
「噂を広げるにしても、時間がかかる。俺を探したい奴らは、王都の貧民街にいる奴らだからな。だから、誰かが王都まで行って、俺を調べるのを待っていた。まさか、タリムが行くとは、思ってもいなかったけどな」
「騙したのか!?」
「騙してない。お前たちが勝手に動いただけだ。別に、他の誰かでも良かったんだ。そうして、俺の秘密を知っている奴らを待っていた。なのに、来たのはオクトだけだ。オクトの奴、上手に情報を消しやがったな」
 舌打ちするルキエル。
 俺たちは、ルキエルに利用されたのだ。ルキエルは目的のために、体目当てで恋人関係となった俺まで、利用したのだ。
 絶望しかない。俺はまた、蹲って泣くしかない。
 ルキエルは鉄格子を挟んで、しゃがみこみ、泣いている俺を間近で見下ろした。
「あんなに、俺は素直になったってのに、お前は俺を二の次に扱った。その上、俺を利用したんだ。許せるわけがないだろう」
「ルキエルと暮らすために、俺は、努力した。組織でさらに上の立場になれば、ルキエルだって、もっといい生活が出来たんだぞ」
「俺さ、貴族の教育も受けてるんだ。平民の経験もしている。そこで、色々とあって、疲れたんだ。俺は、ひっそりと暮らしたい。別に、豪華なベッドなんていらない。身売りだって、本当は、必要ないんだ。人肌が恋しいだけなんだ。タリムで事足りるはずだったのに、お前は、俺を裏切って、利用しようとした」
 疲れた顔を見せるルキエル。
 俺の知っているルキエルは、何事も喜んでいる感じがあった。常に前向きで、どこにいても目立つ男だ。ひっそりと、なんて不可能な男なのだ。
 だけど、ルキエルが心底、望んでいるのは、ただ、平穏に暮らすだけだ。それは、俺とルキエルの日常だ。
「お前さ、俺とオクトのこと、話したんだってな」
「それは、仕方なく」
「オクトが、お前らを引き取りたいって、俺に頼んできた」
「っ!?」
 ルキエルは立ち上がり、俺の手が届かない場所まで下がって、振り返った。
 足音もなく、伯爵オクトが笑顔を浮かべてやってきた。オクトの後ろには、数人の男女を従えている。どれも、見目麗しい。妖精憑きだ。
「ルキエル、すまないね」
「コクーン爺さんにバレないように、なんていうから、大変だったぞ。今、海の貧民街全体に眠りの魔法を施している。堂々と連れて行けるぞ」
「もう、僕の所に戻って来いよ。その実力を俺の側で発揮して、支えてほしいな」
「お前のトコには、マクルスの思い出が多すぎる」
 ルキエルは泣きそうな顔になる。
 伯爵オクトに捕らえられた時に、よく、家臣が口にしていた名だ。マクルスという男は、ルキエルを娼夫として囲っていたが、実際は、マクルスが情夫となっていたちう話だ。
 もう死んだ男だと言っていた。そんな男に、ルキエルは深い情を見せていた。そんなルキエルを伯爵オクトはそっと抱きしめる。
 すぐに、離れたが。
「うわ、やっぱり、気持ち悪っ!!」
「それは、俺のほうだ!! お前と抱擁って、鳥肌たったよ。見てみろよ!!」
「僕もだよ!!」
 互いの肌を見せあい、言い合う。本当に、友達付き合いなんだ。
 だけど、そんなやり取りで、ルキエルの表情は明るくなった。
「さっさと連れて行けよ。お前らが貧民街を出ていったら、魔法を解くからな」
「一緒に行かない?」
「どうせ、あの邸宅の地下牢だろう。行かない」
「いい道具がまた、揃ってきてるよ」
「………行かない」
 物凄く悩んで、ルキエルは結局、伯爵オクトの誘いを断った。
 もう、話すこともないため、ルキエルはその場を去っていく。
 残されたのは、牢屋で無様に捕虜となった俺たちと、牢の外側で眺める伯爵オクトと妖精憑きたち。
「ルキエル様は、いきましたね」
 そして、数人の家臣がやってきた。その中に、俺にルキエルと別れろ、と言い放った家臣もいた。変わらず、俺を睨んでいる。
「さすがルキエル様。目的のためならば、情夫も利用するとは」
「勝手に動いただけだよ。あんなことしていれば、誰かが王都の貧民街まで行って、ルキエルを調べたさ。それがたまたま、こいつらだっただけだ」
 優しい笑顔を浮かべる伯爵オクト。だが、目は笑っていない。
「ルキエルにあんな顔をさせるなんて、罪だな」
「本当ですね。ルキエル様を泣きそうにさせるなんて。だから、さっさと別れろと言ったのに」
「ルキエルが別れられないように動いたからだろう。そういう男だ。ほら、鍵をあけろ」
 伯爵オクトが後ろに控える妖精憑きたちに命じる。
 かしゃんと音をたてて、牢屋の鍵が開いた。その音に、俺の仲間たちは動いた。俺たちは往生際が悪かった。
 俺も一緒になって、開いた戸を押して、外に逃げ出す。このまま、地下牢から逃げ出して、別の貧民街に行こう、なんてバカな計画をたてていたのだ。鍵さえ開けば、どうにかなると軽く思っていた。
 まさか、俺たちを手に入れるために、間抜けにも妖精憑きの力で鍵が開けられるとは。俺たちは笑った。
 だけど、すぐに俺たちは冷たく汚れた石畳みに倒れ込むこととなる。
 俺たちは、ルキエルに妖精憑きの力で動けなくされたことをすっかり忘れていた。伯爵オクトは子飼いの妖精憑きを複数、連れてきたのだ。俺たちを動けなくするなんて、簡単だ。だって、ルキエル一人で俺たちを捕らえたのだ。そんな化け物を複数従えている伯爵オクトには、子どもの手をひねるようなものだ。
 オクトは俺を冷たく見下ろした。
「どこまでも、往生際が悪くて、無様だな。大人しく、僕に捕縛されていれば、それなりの制約をつけることとなるが、生かしてやったというのにな」
「も、もう、し、しな、い」
「一度裏切る奴は、また裏切るものだよ。だが、僕は裏切らせないけどね。裏切る前に、粛清だ」
 優しい笑顔で恐ろしいことをいう伯爵オクト。
 動けなくなった俺たちの側で、オクトはしゃがみこんだ。
「せっかく、ルキエルが喜ぶいいものを持っているから、しっかり教育して、ルキエルを釣る道具にしようとしたんだが、残念だ」
「俺は、ルキエルの喜ぶところ全て、知り尽くしている」
 どうにか、俺はオクトに縋った。悪あがきした。
「知ってる。ルキエルから聞いた。僕とルキエルは、何でも話すんだよ。僕もルキエルには隠し事しない。だから、お互い、信頼関係でいられる」
 伯爵オクトとルキエルの仲は、俺が想像する以上のものだった。本当に、オクトは、ルキエルに隠し事一つせず、しかも、裏切らないのだ。
 利用だってしないのだろう。友達関係だから、身を寄せ合うような真似すらしない。そこまでして、オクトはルキエルから信頼を勝ち取ったのだ。
「お前は、裏切りすぎだ。いくら教育したって、お前の性根は変わらない。どうせ裏切る。だったら、我が家に連れて行って、処刑だ。ここにいたって、ほとぼりが冷めた所で秘密裡に解放されるだろう。そして、俺とルキエルの秘密をどっかでべらべらと喋る。そんな口の軽い奴を放置するほど、僕は甘くない」
 オクトが立ち上がると、それを合図のように、家臣たち、妖精憑きたちが動き出した。動くことも、抵抗も出来ない俺たちを軽々と持ち上げて、連れていく。
 俺を引きずって連れていくのは、俺を睨んでいた家臣と、身売りしたルキエルを伯爵オクトの代わりに閨事した側近である。
「金も、何もかもなしで、ルキエル様を独り占めしていたというのに、本当に、愚かだね、君」
「身の程をわきまえないから、こうなるんだ。我々がルキエル様と繋がっているとわかった時点で、普通ならば手を退くものだ」
「しかし、ルキエル様も、気の毒に。もう、この世にいない、ルキエル様の秘密を知る男たちをおびき寄せるために身売りをするなんて」
「っ!?」
 俺は、ルキエルの平穏を乱すだろう男たちをおびき寄せるためのエサに使われたのだ。だが、オクトの側近は、それを無駄なことだという。
 うまく言葉が出ない。それを封じられたのだ。だから、俺は真っ青になって、側近と家臣を見るしかない。
「マクルス様の嫉妬は凄まじかったからな。あれで、リンネットも手酷い罰を受けたな」
「意識のないルキエル様に手をつけた男ども全て、マクルス様が処刑したこと、ルキエル様はご存知ないなんて、可哀想に」
「ルキエル様がそういう目に遭っているとは、自覚がなかったからな。仕方がない」
「もう、気づいてるから、言ってあげれないいのに。もしかしたら、身売り、やめるかもしれないし」
「オクト様は知らない、とルキエル様は思っているかもしれないから、言えないんだろう。我々にも知られたくないだろうし。ルキエル様は、意外と繊細なんだ」
「貧民育ちだけど、妙に自尊心が高いですよね」
「妖精憑きだからな」
 聞けば聞くほど、俺は叫びたくて仕方がない。俺は、利用され、無駄なことをしていただけだ。
 むしろ、俺こそが被害者だ。ルキエルを含む全てが、俺を騙していたんだ。何が裏切っただ。ルキエルだって、俺を裏切っていたじゃないか!!
 怒りがふつふつとこみあげてくるが、動くことすら出来ない。
 俺をわざと怒らせるために、こいつら二人がわざわざ言っているのはわかる。だけど、俺は我慢しない。それどころか、まだ、往生際悪く、隙を伺っていた。
 貧民街を出る所まで引きずられると、荷馬車に放り込まれた。すっかり、扱いは酷いものだ。
「少し待て」
 何故か、ルキエルがそこにいた。嫣然と微笑み、ルキエルはオクトを止めた。
「ルキエル、今更、身柄を帰してほしい、とか言わないよね?」
「言わないから、心配ない」
 どこか、不遜な態度をとるルキエル。いつものルキエルと違う感じに、オクトは首を傾げた。
 だけど、俺はそんなこと、どうだっていい。俺は怒っている。だから、荷馬車にやってくるルキエルを渾身の力をこめて捕まえたのだ。
「久しぶりに、香を感じれた。ありがとう」
「な、何がっ」
「お前では、あの男の代わりにはなれなかったな。だけど、夢が見れた」
 ルキエルは俺に触れるような口づけを落とした。
 俺はルキエルを離すものか、と力をこめたが、見えない何かで、また、俺はルキエルから離れることとなった。
 ルキエルはオクトの元に戻った。
「楽に死なせてやってくれ、頼む」
「生かしてくれ、とは言わないんだな」
「俺だって、マクルスの教育を受けたんだ。生かしちゃいけない、ってわかってる。教育して、俺を釣る道具として生かすなよ」
「しない。身代わりに出来なかったんだな」
「そういうことだ」
 そう言って、ルキエルは今度こそ、貧民街へと帰っていった。
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