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第2章 迷子の仔猫
厄介や友人_2
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2人の出会いは8年前、まだ大学に入学したばかりの頃だった。
まるで掴みどころのない門脇智也と出来る限り余計な人とは関わりたくない蒼井静佳は同じ大学に入学した。
美術専攻の門脇と音楽専攻の蒼井は学内ですれ違う事はあっても友人と呼べる存在になるのは、普通に過ごしていれば至難の業だと言える。蒼井は、人の心の声に穏やかな生活を乱されたくなくて授業以外は極力一人で過ごしていた。あの頃は他人からどう思われようと全く気にしていなかった。
その為にも新入生なのに新歓コンパやサークル活動などには一切勧誘されないように、細心の注意を払って過ごしていた。
高校までとは違い大学生になると学生は全国からだけでなく海外からも集まる。芸術系のこの大学には一般的な視点から普通じゃない人やちょっと変わった人の割合は多かった。何をもって普通と言うのかも怪しいものがあるが、この大学は個性的な者が多い。それ故に普通でないことを気にする者は殆どいない。
「出る杭は打たれる」という言葉があるがこの大学に来る様な学生はその「出る杭」である人物がひしめき合っている。この大学で「普通の人」という言葉は「才能がない人」とも取られる言葉なのだった。
斯く言う蒼井静佳も周りから見ればかなりの変わり者に見えたようだ。いつも一人でいるがピアノのセンスはピカイチでコンクールでは普通に優勝するし楽曲提供までする一種の天才肌なのだ。
それでもボッチで淋しい人だと思われている事は本人もよく分かっていた。なんせ人の心の声が嫌でも聞こえてきてしまうのだから。でも本人は自己防衛と只々心の平穏のため、無闇に人に近寄らない。
そんな自他共に認めるボッチな天才蒼井を遠目から眺めるだけでは飽き足らず、ふと気づくと隣に立っている変な男が現れた。
学部も違うと言うのに学食の隅で空気のようになっている蒼井の横で、いつの間にかチャッカリ座って食事をしているのだ。混雑する時間帯は避けているのでそれぞれがまばらに座っているにも関わらず、2人でいることが然も当たり前の様に話しかけてくるのだった。
「蒼井くん元気ー、今日は何食べてるのー?美味しそうだから一口頂戴」
『蒼井くん元気そうだな、あっサラダ美味しそう、もーらいっと』
またポテトサラダを勝手に食べている。実は素朴な味で美味しいこのポテトサラダが好きな蒼井なのだが、文句を言う前にポテサラは門脇の胃袋へと収まってしまった。
そんなことがほぼ毎日のように続いたこともあって門脇が隣にいても蒼井は不思議と嫌だと思わなくなっていった。いい加減そうに見えてコミュニケーション能力が高い門脇は知人や友人が多かった。
だから初めはボッチの自分に面白半分に近づいたのかもしれないと蒼井は思っていた。実は門脇は芸術的センスの高い人間をこよなく愛する変わり者だった。そして認めた人間とは連んでいたいタチなので、面白半分や気まぐれで蒼井に近づいたのではなかったのだ。
蒼井の繊細かつ大胆なピアノを聴いてどうしても話してみたかったのだが、そのことを本人には直接伝えていない。しかし門脇のその思いは心の声で伝わってしまっている。そのことは勿論門脇は知らない。そしてそれは現在にも至っても続いている。
学生時代を共に過ごし蒼井が安心して門脇と居られるようになったのは門脇が心の声と話す言葉にほとんど違いがないからなのだろう。
人は心の声と口から出る言葉では180度違う事がしばしば起こる。門脇は若干心の声の方が欲望丸出し気味だが、それでも蒼井には嘘をつかないところが彼の他人に対する高層マンションのように高過ぎる心の壁を少しずつ壊していたことに気づいたのはあることがきっかけだった。
ある日、蒼井は門脇に連れられて彼の叔父の元へ行くことになった。それまでの蒼井だったら知人の親戚に会うなんて考えられないことだった。叔父の職場に行くと半ば強制的に連れていかれるとそこにはこんな文字が並んでいた。
門脇探偵事務所。門脇曰く叔父は探偵事務所の所長で門脇も時々バイトがてら手伝いをしているという。
蒼井はこう思った。
『この自由人に探偵などできるのだろうか』と。
若干年季を感じるビルの階段を登り目的の場所に辿り着き、勝手に扉を開けた門脇に続いて蒼井も部屋の中へ入っていった。門脇探偵事務所の中は外見よりずっと洗練さえていて落ち着いた雰囲気の場所だった。
「こんにちは、智也です」
『おっ叔父さんいたいた』
「お邪魔します」
蒼井も取り敢えず挨拶をした。相手の返事も聞かずに勝手に部屋の中を進んでいく門脇は慣れた感じで入ってすぐの応接用と思われるソファーへ腰掛けた。蒼井もそれに続いた。
程なくして40代半ばだという男性が向いのソファーに座った。門脇の話では確か40代半ばだったはずなのに見た目は30代と言っても通用するしなやかな人だった。
それに門脇とは違い落ち着いた雰囲気がこの男性が所長だと納得させるのだろう。二人の関係を知らない人に親子だと言ったら信じてしまうほど何故か二人は良く似ていた。門脇の話では子供の頃から父親よりも叔父にそっくりだと言われていたらしい。
「叔父さん、この前話した仕事にこいつも連れて行きたいんだけどいいかな」
『叔父さん、この前話した仕事に蒼井も連れて行きたいからよろしく』
「智也、ここでは所長っていう約束だろ」
『叔父さんって呼ばれるの、本当はあんまり嬉しくないんだよな』
「ごめん、ごめん」
『ごめん、ごめん』
「あー、お前少し言葉にも気をつけるように、一体誰に似たんだか……。それより彼がこの前話しに聞いた蒼井くんかな。ちゃんと本人の了承は得てきたのか、智也」
『本当に変なとこだけ兄さんにそっくりなんだから、蒼井くんに話はしたのか?』
「いや、これから。取り敢えず来てもらった」
『大丈夫だって、多分』
「全く、お前は…… 」
『全く、お前は調子いいんだから』
蒼井はいつもの如く心の声も聞きいていた。
すると所長は蒼井の方へ視線を向けて
「初めまして蒼井くん。私はこの事務所の所長で智也の叔父の門脇博徳です。いつも智也がお世話になっているようでありがとう。突然本題に入って申し訳ないんだけど、今回は探偵の仕事をお願いしたいと言うより智也と一緒に依頼人が嘘をついていないか、何か隠していないかを見て欲しいんだ。どうだろう、お願いできるだろうか。もちろん報酬は用意させてらうよ」
『この子が蒼井くんか、智也が人を見る目は間違いないと自信を持って強引に連れてきた様だけど探偵稼業に足を突っ込ませていいんだろうか』
「初めまして、蒼井静佳です。僕の方こそ門脇くんにはお世話になってます。お仕事の件ですが受けるかどうかは内容によりますし、僕で大丈夫なのでしょうか」
『門脇は一体どこまで僕のことを見抜いているんだろう、まさかこんなことになるとは……』それでも蒼井は初めて自分がウイークポイントだと思っていた部分を評価されて嬉しいと思う自分がいることに驚いていた。
「私は、二人を信じるので大丈夫だと思っているよ。ずっと智也から蒼井くんの話を聞いていたから初めて会った気がしないんだ。それと依頼内容なんだけどさっきも話した通り今回は依頼人が嘘をついていないかとか、信用できる人物なのか、もしかして何か企んでいないかどうかなんかを見て欲しいんだけど、智也の話を聞いて君は人を見抜く力はピカイチだって言うことが分かったんだ。こう見えて私も探偵なんでね。探偵業って信用商売だからこちらが納得できない依頼は受けたくないんだ」
『本当に君が智也の言うように不思議な力があるのならそれを確かめたいんだよね。今後のためにも、蒼井くんのためにも』
「それと、蒼井くんの報酬は智也の一日分でいいかな?」
『蒼井くんに興味もあるし、これなら受けてくれるかな』
「門脇くんの一日分がどれ位かわからないのですが……」
「家庭教師のバイトよりも断然いいぜ、だからいいだろ蒼井」
『結構いいバイトだと思うぜ』
「どうだろうか、引き受けてもらえると嬉しいんだが」
『智也が連れてきた友達だし、引き受けてくれるといいんだけどな』
蒼井は二人の心の声も聞いた上で答えることにした。
「取り敢えず、今回きりと言うことでいいですか」
あえて今回限りということで、今後手伝う可能性は低いと匂わせそう答えた。
「ありがとう、よろしくね」
『ありがとう、智也をよろしくね』
蒼井は門脇のことを大切に思っている所長に免じて今回は引き受けることにした。その時は断りきれずにこれから何度も所長と会うことになるとは夢にも思っていない蒼井だった。
それでも門脇本人には、今回のことに限らずいつも流されてしまうのを阻止するためにも今後は必ず事前説明を要求しようと強く心に誓ったのだった。
その後、蒼井が門脇から事前説明を受けられたのかというと…… あれが説明だと言うのならそれは限りなく黒に近いグレーのように説明と呼べるか怪しいものだった。依頼内容の確認や事前説明ではなく事後報告ならいつもあるのだが……。
結局、8年後の現在でも基本的に自由な門脇の行動に変化や改善は見られないのであった。
まるで掴みどころのない門脇智也と出来る限り余計な人とは関わりたくない蒼井静佳は同じ大学に入学した。
美術専攻の門脇と音楽専攻の蒼井は学内ですれ違う事はあっても友人と呼べる存在になるのは、普通に過ごしていれば至難の業だと言える。蒼井は、人の心の声に穏やかな生活を乱されたくなくて授業以外は極力一人で過ごしていた。あの頃は他人からどう思われようと全く気にしていなかった。
その為にも新入生なのに新歓コンパやサークル活動などには一切勧誘されないように、細心の注意を払って過ごしていた。
高校までとは違い大学生になると学生は全国からだけでなく海外からも集まる。芸術系のこの大学には一般的な視点から普通じゃない人やちょっと変わった人の割合は多かった。何をもって普通と言うのかも怪しいものがあるが、この大学は個性的な者が多い。それ故に普通でないことを気にする者は殆どいない。
「出る杭は打たれる」という言葉があるがこの大学に来る様な学生はその「出る杭」である人物がひしめき合っている。この大学で「普通の人」という言葉は「才能がない人」とも取られる言葉なのだった。
斯く言う蒼井静佳も周りから見ればかなりの変わり者に見えたようだ。いつも一人でいるがピアノのセンスはピカイチでコンクールでは普通に優勝するし楽曲提供までする一種の天才肌なのだ。
それでもボッチで淋しい人だと思われている事は本人もよく分かっていた。なんせ人の心の声が嫌でも聞こえてきてしまうのだから。でも本人は自己防衛と只々心の平穏のため、無闇に人に近寄らない。
そんな自他共に認めるボッチな天才蒼井を遠目から眺めるだけでは飽き足らず、ふと気づくと隣に立っている変な男が現れた。
学部も違うと言うのに学食の隅で空気のようになっている蒼井の横で、いつの間にかチャッカリ座って食事をしているのだ。混雑する時間帯は避けているのでそれぞれがまばらに座っているにも関わらず、2人でいることが然も当たり前の様に話しかけてくるのだった。
「蒼井くん元気ー、今日は何食べてるのー?美味しそうだから一口頂戴」
『蒼井くん元気そうだな、あっサラダ美味しそう、もーらいっと』
またポテトサラダを勝手に食べている。実は素朴な味で美味しいこのポテトサラダが好きな蒼井なのだが、文句を言う前にポテサラは門脇の胃袋へと収まってしまった。
そんなことがほぼ毎日のように続いたこともあって門脇が隣にいても蒼井は不思議と嫌だと思わなくなっていった。いい加減そうに見えてコミュニケーション能力が高い門脇は知人や友人が多かった。
だから初めはボッチの自分に面白半分に近づいたのかもしれないと蒼井は思っていた。実は門脇は芸術的センスの高い人間をこよなく愛する変わり者だった。そして認めた人間とは連んでいたいタチなので、面白半分や気まぐれで蒼井に近づいたのではなかったのだ。
蒼井の繊細かつ大胆なピアノを聴いてどうしても話してみたかったのだが、そのことを本人には直接伝えていない。しかし門脇のその思いは心の声で伝わってしまっている。そのことは勿論門脇は知らない。そしてそれは現在にも至っても続いている。
学生時代を共に過ごし蒼井が安心して門脇と居られるようになったのは門脇が心の声と話す言葉にほとんど違いがないからなのだろう。
人は心の声と口から出る言葉では180度違う事がしばしば起こる。門脇は若干心の声の方が欲望丸出し気味だが、それでも蒼井には嘘をつかないところが彼の他人に対する高層マンションのように高過ぎる心の壁を少しずつ壊していたことに気づいたのはあることがきっかけだった。
ある日、蒼井は門脇に連れられて彼の叔父の元へ行くことになった。それまでの蒼井だったら知人の親戚に会うなんて考えられないことだった。叔父の職場に行くと半ば強制的に連れていかれるとそこにはこんな文字が並んでいた。
門脇探偵事務所。門脇曰く叔父は探偵事務所の所長で門脇も時々バイトがてら手伝いをしているという。
蒼井はこう思った。
『この自由人に探偵などできるのだろうか』と。
若干年季を感じるビルの階段を登り目的の場所に辿り着き、勝手に扉を開けた門脇に続いて蒼井も部屋の中へ入っていった。門脇探偵事務所の中は外見よりずっと洗練さえていて落ち着いた雰囲気の場所だった。
「こんにちは、智也です」
『おっ叔父さんいたいた』
「お邪魔します」
蒼井も取り敢えず挨拶をした。相手の返事も聞かずに勝手に部屋の中を進んでいく門脇は慣れた感じで入ってすぐの応接用と思われるソファーへ腰掛けた。蒼井もそれに続いた。
程なくして40代半ばだという男性が向いのソファーに座った。門脇の話では確か40代半ばだったはずなのに見た目は30代と言っても通用するしなやかな人だった。
それに門脇とは違い落ち着いた雰囲気がこの男性が所長だと納得させるのだろう。二人の関係を知らない人に親子だと言ったら信じてしまうほど何故か二人は良く似ていた。門脇の話では子供の頃から父親よりも叔父にそっくりだと言われていたらしい。
「叔父さん、この前話した仕事にこいつも連れて行きたいんだけどいいかな」
『叔父さん、この前話した仕事に蒼井も連れて行きたいからよろしく』
「智也、ここでは所長っていう約束だろ」
『叔父さんって呼ばれるの、本当はあんまり嬉しくないんだよな』
「ごめん、ごめん」
『ごめん、ごめん』
「あー、お前少し言葉にも気をつけるように、一体誰に似たんだか……。それより彼がこの前話しに聞いた蒼井くんかな。ちゃんと本人の了承は得てきたのか、智也」
『本当に変なとこだけ兄さんにそっくりなんだから、蒼井くんに話はしたのか?』
「いや、これから。取り敢えず来てもらった」
『大丈夫だって、多分』
「全く、お前は…… 」
『全く、お前は調子いいんだから』
蒼井はいつもの如く心の声も聞きいていた。
すると所長は蒼井の方へ視線を向けて
「初めまして蒼井くん。私はこの事務所の所長で智也の叔父の門脇博徳です。いつも智也がお世話になっているようでありがとう。突然本題に入って申し訳ないんだけど、今回は探偵の仕事をお願いしたいと言うより智也と一緒に依頼人が嘘をついていないか、何か隠していないかを見て欲しいんだ。どうだろう、お願いできるだろうか。もちろん報酬は用意させてらうよ」
『この子が蒼井くんか、智也が人を見る目は間違いないと自信を持って強引に連れてきた様だけど探偵稼業に足を突っ込ませていいんだろうか』
「初めまして、蒼井静佳です。僕の方こそ門脇くんにはお世話になってます。お仕事の件ですが受けるかどうかは内容によりますし、僕で大丈夫なのでしょうか」
『門脇は一体どこまで僕のことを見抜いているんだろう、まさかこんなことになるとは……』それでも蒼井は初めて自分がウイークポイントだと思っていた部分を評価されて嬉しいと思う自分がいることに驚いていた。
「私は、二人を信じるので大丈夫だと思っているよ。ずっと智也から蒼井くんの話を聞いていたから初めて会った気がしないんだ。それと依頼内容なんだけどさっきも話した通り今回は依頼人が嘘をついていないかとか、信用できる人物なのか、もしかして何か企んでいないかどうかなんかを見て欲しいんだけど、智也の話を聞いて君は人を見抜く力はピカイチだって言うことが分かったんだ。こう見えて私も探偵なんでね。探偵業って信用商売だからこちらが納得できない依頼は受けたくないんだ」
『本当に君が智也の言うように不思議な力があるのならそれを確かめたいんだよね。今後のためにも、蒼井くんのためにも』
「それと、蒼井くんの報酬は智也の一日分でいいかな?」
『蒼井くんに興味もあるし、これなら受けてくれるかな』
「門脇くんの一日分がどれ位かわからないのですが……」
「家庭教師のバイトよりも断然いいぜ、だからいいだろ蒼井」
『結構いいバイトだと思うぜ』
「どうだろうか、引き受けてもらえると嬉しいんだが」
『智也が連れてきた友達だし、引き受けてくれるといいんだけどな』
蒼井は二人の心の声も聞いた上で答えることにした。
「取り敢えず、今回きりと言うことでいいですか」
あえて今回限りということで、今後手伝う可能性は低いと匂わせそう答えた。
「ありがとう、よろしくね」
『ありがとう、智也をよろしくね』
蒼井は門脇のことを大切に思っている所長に免じて今回は引き受けることにした。その時は断りきれずにこれから何度も所長と会うことになるとは夢にも思っていない蒼井だった。
それでも門脇本人には、今回のことに限らずいつも流されてしまうのを阻止するためにも今後は必ず事前説明を要求しようと強く心に誓ったのだった。
その後、蒼井が門脇から事前説明を受けられたのかというと…… あれが説明だと言うのならそれは限りなく黒に近いグレーのように説明と呼べるか怪しいものだった。依頼内容の確認や事前説明ではなく事後報告ならいつもあるのだが……。
結局、8年後の現在でも基本的に自由な門脇の行動に変化や改善は見られないのであった。
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