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第1章 高校編

ブルーローズ2

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 遙加が従兄妹に会いに行くことが決まった途端に、なぜかみんなの見ている前で連絡を取ることを強要された。そしてその場でメッセージを送るとすぐに電話が鳴った。

「はい、遙加です」

「薫だけど、今話しても大丈夫かな」

「うん、大丈夫だよ」

「さっきの件だけど、急で悪いけど明日の夕方来られるかな。できればレストランじゃない方に」

「いいの! ありがとう。それと友達も一人連れて行くからよろしくね」

「分かった」

「でも、夕方じゃなきゃ駄目? できればもっと早い時間がいいんだけど」

「どうして? 学校は?」

「もう試験も終わったから、終業式の前まで学校お休みなんだ。だからバイトの前に行きたいんだけど、だめ?」

「そういうことか、分かった。では午後3時においで。それなら大丈夫だろう?」

「うん、大丈夫。じゃあ明日行くね、バイバーイ」

「じゃあな」

こうして明日の予定は呆気なく決まった。
従兄妹との仲の良さそうな会話を聞いて、珍しく皆の意見が一致した。
『『『『だからひとりで行きたかったのか……』』』』と。


その後、駅まで5人は歩いて行き遙加は達也と同じ電車に乗って帰って行った。
残った3人は2人と反対方向の電車に乗り1つ目の駅で秋月が下車した。次の如月の下車駅でなぜか大平も下車したが如月は気にせず駅の改札を出た。
普通に隣を歩く大平が公園の方を指さすので如月はそれについて行くことにした。

「大平くん、あなた何を企んでいるの。私に分かるように説明してちょうだい」

「何も企んではいないさ。ただ九条の従兄妹のことでちょっとした話を聞いたことがあるだけだよ」

実は大平の父はとある商社のCEOで多方面に人脈のある人物だった。3人兄弟の末っ子である彼は会社を継ぐ必要はなく、学業さえ疎かにしなければ将来は自分の好きにして良いと言われている。もちろん彼がバイトなどする必要はない。

「何なの、その話って」

「ディメンションって聞いたことない? そこの店主の名前はって言うんだけど」

「何となく以前父が話していた気がするけど……それがどうしたのよ」

「何でもその人は特殊能力を持ってるらしいんだ。だから同じ血筋の九条遙加が変な力を持っていたって不思議はないって思わないか」

「うーん、それはどうだか分からないけど、遙加が普通じゃないのは確かだよね」

「そう思うだろ。それにさっきの電話でのやり取り、あれは日頃から連絡取り合ってる感じだっただろ」

「そうだけど……だからあなたは何が言いたいのよ」

「悪い、話が脱線した。だから達也なんかをそんな場所に連れて行ったら纏まる話も纏まらなくなると思うんだが、どうだ」

「そうね、お年頃の可愛い従兄妹が来て、隣に彼氏でもない男が張り付いてたら従兄弟のお兄さん的には心中穏やかじゃないわね」

「いや、それよりも九条遙加が従兄妹のお兄さんと仲良くしてるところを達也が見ることの方が良くないと思うんだよな、俺は。あいつそれ見てまた勝手に落ち込んだりするんじゃないかと思ってさ。鈍感な九条遙加がどうして達也が落ち込むのかなんて分かるわけもないしな。それにあんな図体でかい奴が急に落ち込んでたらその場の雰囲気も悪くなるだろうし、九条さんも変に気にするかもしれないだろ。だから如月が一緒にいって九条さんが何者なのか、見てきて欲しいんだよ。如月前に言ってただろ、
』ってさ。俺たちには霊感とかないけど、如月は分かるんだからそれだけでも見てきてくれよ、頼むからさ」

「…………分かったわよ。相変わらず鋭い観察眼ね。でももしも何も分からなくても責任持てないわよ」

「大丈夫、きっと分かるさ如月なら。じゃ、俺帰るわ」

言いたいことだけ言って如月に返事をさせる暇も与えずに大平修平はまた駅の方へと行ってしまった。

『この私にあんな風に言えるのはきっと大平くんくらいね。でもまあ今回は頼まれてやりましょう。このお礼は高くつくわよ、楽しみにしていなさい』

如月の心の内を知らない大平修平は一仕事終わったとフッと息を吐き家路を急ぐのだった。

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