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さよなら世界、こんにちは異世界
45.異世界でかたまりさん
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「あの~、かたまりさん」
ーーなあに? 終、どうしたの? ーー
「つかぬことを、お伺いしますが。あなたは、どなた様ですか?」
ーーうふふ、ふふ。ぼくのこと、忘れちゃった? あぁ……かわいそうに、こっちに帰って来たくて引き替えにしたんだねーー
「帰る? 引き替え? 僕、良く分かりません」
ーーいいの、終。きみが忘れても、ぼくが覚えているからね。ぼくはエディだよーー
「エディって、僕と同じ名前なんだね」
ーーうん。ぼくがエディで、君もエディだ。よろしくねーー
「なんか、エディさんって言うの変な感じ……えへへ」
ーー本当はもっと話したいけれど、今は急いだ方がいい。先ずは、その琥珀石にダンを想いながら呼びかけて。そのあとは、呼子笛を鳴らしてね。また会おうね、終ーー
そう言うとエディ(光のかたまりさん)は、くるりとひと回りして消えた。
エディって、なんなんだろう? 僕は何を忘れちゃったのかな? 考えても考えても、なにも浮かばない。忘れたとか言ってた気がする。僕はエディを知っていたのかなぁ?
エディ、ごめんね。僕はちゃんと思い出すから、それまで少しだけ待っててね。
僕は襟元から細い鎖を手繰り寄せて、琥珀石を取り出した。
ーーダン、ありがとう。5年前も助けてくれたよね。そして、今も助けてくれる。本当にダンは僕のヒーローだ。ダン、聞こえる? 僕だよ、エディだ。覚えてるかな? 僕ね、迷っちゃったの。僕の声が聞こえたら、助けて! お願いダン! ーー
『ああ、エディ、久しぶりだな。何があったんだ?』
ーー良かったぁぁぁーー! ダンンンンーー! 僕、知らない森で迷子になってるの。怪鳥もいて、虫も信じられないくらい大きくて。花からキラキラしてるのがボワンッて出てる。ここ、どこなの? ーー
『ああ……キラキラでボワンか、いいかエディ? 大事な事だから、良く聞いてな。そのキラキラでボワンは、毒だ。絶対に吸い込んじゃダメだぞ』
ーーええええーー! あのキラキラが毒なの? だって綺麗だよーー
『エディ、森だったら余計に綺麗な物に気をつけてくれ。綺麗な物は牙があり毒を持っていると思った方がいい。それで、これが1番大事な事なんだが、そこはパルシオン帝国では無く隣国だと思う。正確な場所が把握出来ていないから、立証は出来ないがほぼ間違いなく隣国のどれかだ』
ーーなんで、隣国なの? ーー
『キラキラでボワンは、パルシオン帝国にはひとつも無い魔植物だからだ』
ーー魔植物ーー?? ーー
名前からして、危なそうなんだけど。しかも隣国って、直ぐには来れないじゃん。
ーーエディ何か精霊魔法が宿った魔道具を持ってないか? それで場所が特定出来れば、早く迎えに行けるーー
『あるっ! ダン! 僕、持ってるよ! ほらこれ! 呼子笛ってばあやが言ってたの』
ーーえらいぞ、エディ! 今、地図を出すから待ってくれ。…………いいぞ、エディ。吹いてくれーー
呼子笛を口に当てると、身体から力が少し抜けてガクッと脱力した。
そして呼子笛の音色は、千の山を走り抜け、万の世界を駆け抜けた。
ダンの元へーーーーー。
ーーなあに? 終、どうしたの? ーー
「つかぬことを、お伺いしますが。あなたは、どなた様ですか?」
ーーうふふ、ふふ。ぼくのこと、忘れちゃった? あぁ……かわいそうに、こっちに帰って来たくて引き替えにしたんだねーー
「帰る? 引き替え? 僕、良く分かりません」
ーーいいの、終。きみが忘れても、ぼくが覚えているからね。ぼくはエディだよーー
「エディって、僕と同じ名前なんだね」
ーーうん。ぼくがエディで、君もエディだ。よろしくねーー
「なんか、エディさんって言うの変な感じ……えへへ」
ーー本当はもっと話したいけれど、今は急いだ方がいい。先ずは、その琥珀石にダンを想いながら呼びかけて。そのあとは、呼子笛を鳴らしてね。また会おうね、終ーー
そう言うとエディ(光のかたまりさん)は、くるりとひと回りして消えた。
エディって、なんなんだろう? 僕は何を忘れちゃったのかな? 考えても考えても、なにも浮かばない。忘れたとか言ってた気がする。僕はエディを知っていたのかなぁ?
エディ、ごめんね。僕はちゃんと思い出すから、それまで少しだけ待っててね。
僕は襟元から細い鎖を手繰り寄せて、琥珀石を取り出した。
ーーダン、ありがとう。5年前も助けてくれたよね。そして、今も助けてくれる。本当にダンは僕のヒーローだ。ダン、聞こえる? 僕だよ、エディだ。覚えてるかな? 僕ね、迷っちゃったの。僕の声が聞こえたら、助けて! お願いダン! ーー
『ああ、エディ、久しぶりだな。何があったんだ?』
ーー良かったぁぁぁーー! ダンンンンーー! 僕、知らない森で迷子になってるの。怪鳥もいて、虫も信じられないくらい大きくて。花からキラキラしてるのがボワンッて出てる。ここ、どこなの? ーー
『ああ……キラキラでボワンか、いいかエディ? 大事な事だから、良く聞いてな。そのキラキラでボワンは、毒だ。絶対に吸い込んじゃダメだぞ』
ーーええええーー! あのキラキラが毒なの? だって綺麗だよーー
『エディ、森だったら余計に綺麗な物に気をつけてくれ。綺麗な物は牙があり毒を持っていると思った方がいい。それで、これが1番大事な事なんだが、そこはパルシオン帝国では無く隣国だと思う。正確な場所が把握出来ていないから、立証は出来ないがほぼ間違いなく隣国のどれかだ』
ーーなんで、隣国なの? ーー
『キラキラでボワンは、パルシオン帝国にはひとつも無い魔植物だからだ』
ーー魔植物ーー?? ーー
名前からして、危なそうなんだけど。しかも隣国って、直ぐには来れないじゃん。
ーーエディ何か精霊魔法が宿った魔道具を持ってないか? それで場所が特定出来れば、早く迎えに行けるーー
『あるっ! ダン! 僕、持ってるよ! ほらこれ! 呼子笛ってばあやが言ってたの』
ーーえらいぞ、エディ! 今、地図を出すから待ってくれ。…………いいぞ、エディ。吹いてくれーー
呼子笛を口に当てると、身体から力が少し抜けてガクッと脱力した。
そして呼子笛の音色は、千の山を走り抜け、万の世界を駆け抜けた。
ダンの元へーーーーー。
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