バッドエンドの異世界に悪役転生した僕は、全力でハッピーエンドを目指します!

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さよなら世界、こんにちは異世界

44.異世界で立つ!

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 僕は立ち上がった。この安全じゃない場所から、どうにか生きのびる為に。

 なんて、カッコよさそうな事を言ってみたところ、どう見てもヨワヨワな軽装で、武器も無し攻撃魔法も無し、なんなら最後の食料は怪鳥に取られてしまったマヌケな僕です。

 立ち上がったはいいけど、どっちに進めばいいか全く分かりません!もう泣きたい……。
 
 ゲームや本の中なら、「水音が聞こえる。川はこっちだ」とか言って川沿いに歩いて人家に出て助かるシーンだけど、今のところ猿のような生き物の鳴き声や怪鳥の耳障りな鳴き声しか聞こえない。

 正直、こわい。

 今も足は小刻みに震えている。頼れる装備も無いし、たった1人で地図もないこの森を歩かなければいけない。ただ歩くだけじゃなくて、僕の家に帰りたい。ばあやが待っててにいちゃん達がいる、あたたかいあの家へ。

 僕は手近にある真っ直ぐな枝を手にした。方向が分からなければ、運頼みだ。
 えいっと、地面に棒を立てて神さまに祈った。どちらになるのか、神さまの言うとおり!

 コロンッと棒が倒れた方に進む。いざ、ゆかん!

 10分歩くだけで疲れてきちゃった。体力スキルゼロな感じです。
 
 舗装もしてない森の中は、倒木を跨いだり枝を避けながら歩くのってすごい大変なんだなぁと実感して、道路工事屋さんありがとうございます。
異世界でお礼を言っても届かないと思うけど。

 ここがどんな場所か分からない不安を抱えながら、歩くのは一歩一歩にすごいストレスを感じて。

 僕がなにを考えながら歩いていたというと、今日の夕飯はカレーを食べたいでした。中辛のポークカレーがいい。じゃがいもゴロゴロよりは、肉がゴロゴロ入ってる方が好き。今度、市場にばあやとカレーを探す旅に出たい。

 ちょっと休憩しよ。倒れた大木を見つけて、腰掛けた。ミルクティーをひと口飲んで、ずいぶん歩いたつもりだけど周りの景色は相変わらず、樹と草と花しかない。

 夕飯シリーズの想像は怖いきもちを隠して、何とか僕を先に進ませてくれた。
 カレーは偉大だ。

 次は焼肉シリーズでも良いかも。あの肉がジュッと焼ける感じ。焼き網からサッと引き上げた肉をタレに付けて、ホカホカの白米と一緒に頬張り……。食べたいよぉ~。
 肉も偉大だ。

 思い出すと口の中に、じわっと唾液が増えてきた。怖い気持ちは誤魔化せても、ご飯シリーズ妄想大会はお腹が減ってきた。

 さてと、夜になる前になんとかしなくちゃ。焦る気持ちと疲れた足は、このまま動きたくないと言ってるみたいに重い。でも、頑張らなきゃ!絶対にみんなの元へ帰りたい。

 強い気持ちで帰りたいと願って、すごい願って。僕は絶対に生きて帰る!

 その時、僕の胸元の琥珀石のネックレスがチカチカと光って、淡い光のかたまりがフワリと目の前を漂っていた。

 あっ、ダンから貰ったネックレス!!連絡が取れるって、言ってたじゃん!

ーーうふふ、そうだよ~。終は忘れん坊だなぁーー

 淡い光のかたまりがお話しをしてます。これ、返事をしても良いのかなぁ?
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