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さよなら世界、こんにちは異世界
38.異世界で久しぶりのにいちゃんたちと!
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僕はばあやにしがみついて、子どもみたいに泣いていた。
こうして、また異世界に来てしまってごめんなさい。どうしても、みんなに会いたくて。
あのまま、病室でたった1人で死ぬのは怖かった。白い四角い部屋で天井ばかり見ていた僕には、この異世界が眩しくて、全てが鮮やかに色付いていた。
もっと、この異世界で生きたいと願ってごめん。ばあやもダンも、ガディにいちゃんも、サウにいちゃんも、みんなに会いたくて、会いたくて仕方がなかった。
あの世界で、まだ病室のベッドに寝ているであろう僕よ、置いてきてごめん。僕には覚悟が出来てなかった。お母さんとお父さんを置いてきたことを。もう、会えないかも知れないということを。
それでも、この異世界を選んでしまった覚悟を、僕は無かったんだ。いつも与えられるばかりで、わかっていなかった。
僕は何かを選び、そして何かを捨てるということが、どういった結果になるのか。一度、手にしてしまえば、もう元どおりにはならないということを。
だから、今だけは10才のエディと共に泣いてもいいかな。もうすぐ、涙を拭くからね。
ばあやがにいちゃん達がダンがいてくれるから、僕は泣いてばかりじゃなくて、顔を上げて前を見据えて歩いていかなければ。後悔をしないように、今を精一杯、この異世界で生きていく。
「ばあや、ごめんね。5年も寝たままで。僕、ばあやに迷惑ばかりかけてりゅっ……あうっ」
せっかく、いい場面なのにっ!噛んじゃったよ。僕、たまには格好いいことを言おうとしたのに。噛んじゃったから、すでに何を言おうとしたのか忘れちゃったけど。
「ふふふ、坊っちゃま、噛んでますよ。こうやって、目を覚ましてくれたなら、ばあやはそれだけで喜ばしいことで、坊っちゃまがこうして生きているだけで本望ですよ」
「ばあやーーっ!はうはうっ!」
思わず、ばあやの胸に頭をスリスリしてしまう。
「坊っちゃま、もう10才じゃないので。可愛いのですが、見た目的に誤解されると思うのですが……」
その時、廊下を2人がこちらに歩いてくる足音が聞こえてきた。
ノックと扉を開くのが同時にするのは、ノックをした意味がないと思うのですがにいちゃん方……。
「おーい、エディー。元気かァ?遊びに来たぞ」
「エディ、体調はどうですか?このうるさいガングリオン兄さんは連れて来たくは無かったんですが、どうしても一緒に来るとしつこくて……。貴方たち、何して……」
寝台の上で、ばあやの胸に頭を擦り付けている僕は、もう子どもの身体じゃ無いのをすっかり忘れてた。
「エディン様はまだ目覚めて数週間しか経っておらず、5年の歳月が過ぎた事にまだ慣れてません。ですから、行動が10才の頃のままなんです。10才の子どもが、乳母に甘えていただけです。私も配慮が無い行動をして申し訳ありません」
「一瞬、エディがめちゃ年上好きだと思ったわ。すまん、すまん。ククッ」
それを聞いて、僕は顔が真っ赤になっていくのがわかった。ガディにいちゃん、なんて事をいうの。恥ずかしいじゃんかぁ。
「ごめんね、ガディにいちゃん。サウにいちゃん。せっかく、来てもらったのに、まだ僕……寝衣なの。すぐ着替えるけど、待ってる?また後で来る?」
「ふぁっ!エディの、エディの、天使レベルが上がってるっ……。まぶっ、眩しいっ!」
サウにいちゃんが、いきなり膝を折って両手を合わせてブツブツ言ってるのだけど。しかも、若干、震えてる?
サウにいちゃんって、こんなキャラクターじゃなかったよね?
「はぁ。サウズロード、いい加減に止めてくれ。エディがちょっと引いてるからな」
「ああっ、髪が髪が伸びて、金色の後光が差してるっ!天使さま」
いや、サウにいちゃん。僕、ただの金髪だからね。金色の後光って、サウにいちゃんのところ日が差してるからだよね。
僕、パジャマ恥ずかしいのだけど、なかなか着替えるタイミングがつかめません。
こうして、また異世界に来てしまってごめんなさい。どうしても、みんなに会いたくて。
あのまま、病室でたった1人で死ぬのは怖かった。白い四角い部屋で天井ばかり見ていた僕には、この異世界が眩しくて、全てが鮮やかに色付いていた。
もっと、この異世界で生きたいと願ってごめん。ばあやもダンも、ガディにいちゃんも、サウにいちゃんも、みんなに会いたくて、会いたくて仕方がなかった。
あの世界で、まだ病室のベッドに寝ているであろう僕よ、置いてきてごめん。僕には覚悟が出来てなかった。お母さんとお父さんを置いてきたことを。もう、会えないかも知れないということを。
それでも、この異世界を選んでしまった覚悟を、僕は無かったんだ。いつも与えられるばかりで、わかっていなかった。
僕は何かを選び、そして何かを捨てるということが、どういった結果になるのか。一度、手にしてしまえば、もう元どおりにはならないということを。
だから、今だけは10才のエディと共に泣いてもいいかな。もうすぐ、涙を拭くからね。
ばあやがにいちゃん達がダンがいてくれるから、僕は泣いてばかりじゃなくて、顔を上げて前を見据えて歩いていかなければ。後悔をしないように、今を精一杯、この異世界で生きていく。
「ばあや、ごめんね。5年も寝たままで。僕、ばあやに迷惑ばかりかけてりゅっ……あうっ」
せっかく、いい場面なのにっ!噛んじゃったよ。僕、たまには格好いいことを言おうとしたのに。噛んじゃったから、すでに何を言おうとしたのか忘れちゃったけど。
「ふふふ、坊っちゃま、噛んでますよ。こうやって、目を覚ましてくれたなら、ばあやはそれだけで喜ばしいことで、坊っちゃまがこうして生きているだけで本望ですよ」
「ばあやーーっ!はうはうっ!」
思わず、ばあやの胸に頭をスリスリしてしまう。
「坊っちゃま、もう10才じゃないので。可愛いのですが、見た目的に誤解されると思うのですが……」
その時、廊下を2人がこちらに歩いてくる足音が聞こえてきた。
ノックと扉を開くのが同時にするのは、ノックをした意味がないと思うのですがにいちゃん方……。
「おーい、エディー。元気かァ?遊びに来たぞ」
「エディ、体調はどうですか?このうるさいガングリオン兄さんは連れて来たくは無かったんですが、どうしても一緒に来るとしつこくて……。貴方たち、何して……」
寝台の上で、ばあやの胸に頭を擦り付けている僕は、もう子どもの身体じゃ無いのをすっかり忘れてた。
「エディン様はまだ目覚めて数週間しか経っておらず、5年の歳月が過ぎた事にまだ慣れてません。ですから、行動が10才の頃のままなんです。10才の子どもが、乳母に甘えていただけです。私も配慮が無い行動をして申し訳ありません」
「一瞬、エディがめちゃ年上好きだと思ったわ。すまん、すまん。ククッ」
それを聞いて、僕は顔が真っ赤になっていくのがわかった。ガディにいちゃん、なんて事をいうの。恥ずかしいじゃんかぁ。
「ごめんね、ガディにいちゃん。サウにいちゃん。せっかく、来てもらったのに、まだ僕……寝衣なの。すぐ着替えるけど、待ってる?また後で来る?」
「ふぁっ!エディの、エディの、天使レベルが上がってるっ……。まぶっ、眩しいっ!」
サウにいちゃんが、いきなり膝を折って両手を合わせてブツブツ言ってるのだけど。しかも、若干、震えてる?
サウにいちゃんって、こんなキャラクターじゃなかったよね?
「はぁ。サウズロード、いい加減に止めてくれ。エディがちょっと引いてるからな」
「ああっ、髪が髪が伸びて、金色の後光が差してるっ!天使さま」
いや、サウにいちゃん。僕、ただの金髪だからね。金色の後光って、サウにいちゃんのところ日が差してるからだよね。
僕、パジャマ恥ずかしいのだけど、なかなか着替えるタイミングがつかめません。
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