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さよなら世界、こんにちは異世界

37.異世界で貰ったプレゼント

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「ばあや、ハサミをありがとう」

 僕は慎重にダンから貰った物の紐を切った。けっこう固めの紐で切るのは大変てで。ダンが紐をぐるぐる巻いてくれたのかなと想像すると、そんなに大事な物を僕にくれたのかなと思って嬉しくなった。
 
 やっと紐が切れた。ゆっくりと幾重にも重なった布を広げていく。中には大きな丸い形の琥珀石がヘッドのネックレスが入っていた。クラシカルなデザインだけど、とても美しい石だった。

 陽にかざしてみると、琥珀石の中がキラキラと輝やいて、精霊魔法が内包されているのが分かった。

「ばあや、見てみて!すごいきれいだよ」
「まぁ、本当にきれいですね。琥珀石ですか?珍しい琥珀ですね。中に金が入ってるようです。あとは属性までは分かりませんが守護の魔法が付与されてるようです」
「そんなにすごそうなのを、僕が貰っていいのかな……。高そうじゃない?」
「エディン様、公爵家のお坊ちゃまなので、分相応の品物だと思いますよ。それに、エディン様の瞳を写し取ったように似たお色です。
「僕の目に似てる?」

 ダンは僕の目がこんなにきれいに見えるのかな?いやいや、そんな事ないよね。こんなキラキラしてないし……。

「坊っちゃま、ばあやにはキラキラしてるように見えますよ」
「ばあや、僕ってば、声に出していた?恥ずかしいなぁ。あれ…お手紙も入っているよ」

ーーエディへ
本当は5年前に渡したかったペンダントだ。エディが大きくなったら似合いそうだと思ってたから、今がちょうど良いかもな。気に入ってくれたら、嬉しい。
心配した。会えなくて心配した。
また、会えて良かった。
 守護の精霊魔法が付与されているから、エディを厄から守ってくれるだろう。それに、魔力を通すと俺と通信が出来るようになっている。
 またエディが何かあったら、直ぐに駆けつけるよ。 

ダンバード・スタンフィールよりーー

 ダンが僕に似合いそうだって!直ぐに駆けつけてくれるって!ダンとお話し出来るって!

「ばあや、どうしよう!ダンと電話が出来るって!」
「電話ですか?何でしょうか、それは」
「う~んとね、このペンダントでお話しすることはなんて言うの?」
「魔伝信のことですかね」
「へぇ~、魔伝信って言うんだ。面白いねぇ」

 ふと、ばあやを見ると笑顔なのに瞳には涙をためていた。

「どうしたの?ばあや。僕、変な事を言っちゃった?」
「いえいえ、坊っちゃまが元気で嬉しくて涙が出てきました。年ですかねぇ」

 そんなばあやの顔を見ると、確かに5年の年月が見てとれた。少しシワが増えて、頭髪も今まで無かった白髪がほんの少し混じっていた。

「ばあや、ごめんね。心配かけて、ごめんなさい」
「坊っちゃま……本当に、本当に……良かった」

 僕とばあやは、目覚めてから初めて抱きあって泣いた。
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