37 / 49
さよなら世界、こんにちは異世界
37.異世界で貰ったプレゼント
しおりを挟む
「ばあや、ハサミをありがとう」
僕は慎重にダンから貰った物の紐を切った。けっこう固めの紐で切るのは大変てで。ダンが紐をぐるぐる巻いてくれたのかなと想像すると、そんなに大事な物を僕にくれたのかなと思って嬉しくなった。
やっと紐が切れた。ゆっくりと幾重にも重なった布を広げていく。中には大きな丸い形の琥珀石がヘッドのネックレスが入っていた。クラシカルなデザインだけど、とても美しい石だった。
陽にかざしてみると、琥珀石の中がキラキラと輝やいて、精霊魔法が内包されているのが分かった。
「ばあや、見てみて!すごいきれいだよ」
「まぁ、本当にきれいですね。琥珀石ですか?珍しい琥珀ですね。中に金が入ってるようです。あとは属性までは分かりませんが守護の魔法が付与されてるようです」
「そんなにすごそうなのを、僕が貰っていいのかな……。高そうじゃない?」
「エディン様、公爵家のお坊ちゃまなので、分相応の品物だと思いますよ。それに、エディン様の瞳を写し取ったように似たお色です。
「僕の目に似てる?」
ダンは僕の目がこんなにきれいに見えるのかな?いやいや、そんな事ないよね。こんなキラキラしてないし……。
「坊っちゃま、ばあやにはキラキラしてるように見えますよ」
「ばあや、僕ってば、声に出していた?恥ずかしいなぁ。あれ…お手紙も入っているよ」
ーーエディへ
本当は5年前に渡したかったペンダントだ。エディが大きくなったら似合いそうだと思ってたから、今がちょうど良いかもな。気に入ってくれたら、嬉しい。
心配した。会えなくて心配した。
また、会えて良かった。
守護の精霊魔法が付与されているから、エディを厄から守ってくれるだろう。それに、魔力を通すと俺と通信が出来るようになっている。
またエディが何かあったら、直ぐに駆けつけるよ。
ダンバード・スタンフィールよりーー
ダンが僕に似合いそうだって!直ぐに駆けつけてくれるって!ダンとお話し出来るって!
「ばあや、どうしよう!ダンと電話が出来るって!」
「電話ですか?何でしょうか、それは」
「う~んとね、このペンダントでお話しすることはなんて言うの?」
「魔伝信のことですかね」
「へぇ~、魔伝信って言うんだ。面白いねぇ」
ふと、ばあやを見ると笑顔なのに瞳には涙をためていた。
「どうしたの?ばあや。僕、変な事を言っちゃった?」
「いえいえ、坊っちゃまが元気で嬉しくて涙が出てきました。年ですかねぇ」
そんなばあやの顔を見ると、確かに5年の年月が見てとれた。少しシワが増えて、頭髪も今まで無かった白髪がほんの少し混じっていた。
「ばあや、ごめんね。心配かけて、ごめんなさい」
「坊っちゃま……本当に、本当に……良かった」
僕とばあやは、目覚めてから初めて抱きあって泣いた。
僕は慎重にダンから貰った物の紐を切った。けっこう固めの紐で切るのは大変てで。ダンが紐をぐるぐる巻いてくれたのかなと想像すると、そんなに大事な物を僕にくれたのかなと思って嬉しくなった。
やっと紐が切れた。ゆっくりと幾重にも重なった布を広げていく。中には大きな丸い形の琥珀石がヘッドのネックレスが入っていた。クラシカルなデザインだけど、とても美しい石だった。
陽にかざしてみると、琥珀石の中がキラキラと輝やいて、精霊魔法が内包されているのが分かった。
「ばあや、見てみて!すごいきれいだよ」
「まぁ、本当にきれいですね。琥珀石ですか?珍しい琥珀ですね。中に金が入ってるようです。あとは属性までは分かりませんが守護の魔法が付与されてるようです」
「そんなにすごそうなのを、僕が貰っていいのかな……。高そうじゃない?」
「エディン様、公爵家のお坊ちゃまなので、分相応の品物だと思いますよ。それに、エディン様の瞳を写し取ったように似たお色です。
「僕の目に似てる?」
ダンは僕の目がこんなにきれいに見えるのかな?いやいや、そんな事ないよね。こんなキラキラしてないし……。
「坊っちゃま、ばあやにはキラキラしてるように見えますよ」
「ばあや、僕ってば、声に出していた?恥ずかしいなぁ。あれ…お手紙も入っているよ」
ーーエディへ
本当は5年前に渡したかったペンダントだ。エディが大きくなったら似合いそうだと思ってたから、今がちょうど良いかもな。気に入ってくれたら、嬉しい。
心配した。会えなくて心配した。
また、会えて良かった。
守護の精霊魔法が付与されているから、エディを厄から守ってくれるだろう。それに、魔力を通すと俺と通信が出来るようになっている。
またエディが何かあったら、直ぐに駆けつけるよ。
ダンバード・スタンフィールよりーー
ダンが僕に似合いそうだって!直ぐに駆けつけてくれるって!ダンとお話し出来るって!
「ばあや、どうしよう!ダンと電話が出来るって!」
「電話ですか?何でしょうか、それは」
「う~んとね、このペンダントでお話しすることはなんて言うの?」
「魔伝信のことですかね」
「へぇ~、魔伝信って言うんだ。面白いねぇ」
ふと、ばあやを見ると笑顔なのに瞳には涙をためていた。
「どうしたの?ばあや。僕、変な事を言っちゃった?」
「いえいえ、坊っちゃまが元気で嬉しくて涙が出てきました。年ですかねぇ」
そんなばあやの顔を見ると、確かに5年の年月が見てとれた。少しシワが増えて、頭髪も今まで無かった白髪がほんの少し混じっていた。
「ばあや、ごめんね。心配かけて、ごめんなさい」
「坊っちゃま……本当に、本当に……良かった」
僕とばあやは、目覚めてから初めて抱きあって泣いた。
2
お気に入りに追加
960
あなたにおすすめの小説
可愛い悪役令息(攻)はアリですか?~恥を知った元我儘令息は、超恥ずかしがり屋さんの陰キャイケメンに生まれ変わりました~
狼蝶
BL
――『恥を知れ!』
婚約者にそう言い放たれた瞬間に、前世の自分が超恥ずかしがり屋だった記憶を思い出した公爵家次男、リツカ・クラネット8歳。
小姓にはいびり倒したことで怯えられているし、実の弟からは馬鹿にされ見下される日々。婚約者には嫌われていて、専属家庭教師にも未来を諦められている。
おまけに自身の腹を摘まむと大量のお肉・・・。
「よしっ、ダイエットしよう!」と決意しても、人前でダイエットをするのが恥ずかしい!
そんな『恥』を知った元悪役令息っぽい少年リツカが、彼を嫌っていた者たちを悩殺させてゆく(予定)のお話。
悪役令息に転生して絶望していたら王国至宝のエルフ様にヨシヨシしてもらえるので、頑張って生きたいと思います!
梻メギ
BL
「あ…もう、駄目だ」プツリと糸が切れるように限界を迎え死に至ったブラック企業に勤める主人公は、目覚めると悪役令息になっていた。どのルートを辿っても断罪確定な悪役令息に生まれ変わったことに絶望した主人公は、頑張る意欲そして生きる気力を失い床に伏してしまう。そんな、人生の何もかもに絶望した主人公の元へ王国お抱えのエルフ様がやってきて───!?
【王国至宝のエルフ様×元社畜のお疲れ悪役令息】
▼この作品と出会ってくださり、ありがとうございます!初投稿になります、どうか温かい目で見守っていただけますと幸いです。
▼こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも投稿しております。
▼毎日18時投稿予定
小悪魔系世界征服計画 ~ちょっと美少年に生まれただけだと思っていたら、異世界の救世主でした~
朱童章絵
BL
「僕はリスでもウサギでもないし、ましてやプリンセスなんかじゃ絶対にない!」
普通よりちょっと可愛くて、人に好かれやすいという以外、まったく普通の男子高校生・瑠佳(ルカ)には、秘密がある。小さな頃からずっと、別な世界で日々を送り、成長していく夢を見続けているのだ。
史上最強の呼び声も高い、大魔法使いである祖母・ベリンダ。
その弟子であり、物腰柔らか、ルカのトラウマを刺激しまくる、超絶美形・ユージーン。
外見も内面も、強くて男らしくて頼りになる、寡黙で優しい、薬屋の跡取り・ジェイク。
いつも笑顔で温厚だけど、ルカ以外にまったく価値を見出さない、ヤンデレ系神父・ネイト。
領主の息子なのに気さくで誠実、親友のイケメン貴公子・フィンレー。
彼らの過剰なスキンシップに狼狽えながらも、ルカは日々を楽しく過ごしていたが、ある時を境に、現実世界での急激な体力の衰えを感じ始める。夢から覚めるたびに強まる倦怠感に加えて、祖母や仲間達の言動にも不可解な点が。更には魔王の復活も重なって、瑠佳は次第に世界全体に疑問を感じるようになっていく。
やがて現実の自分の不調の原因が夢にあるのではないかと考えた瑠佳は、「夢の世界」そのものを否定するようになるが――。
無自覚小悪魔ちゃん、総受系愛され主人公による、保護者同伴RPG(?)。
(この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています)
結婚式当日に「ちょっと待った」されたので、転生特典(執事)と旅に出たい
オオトリ
BL
とある教会で、今日一組の若い男女が結婚式を挙げようとしていた。
今、まさに新郎新婦が手を取り合おうとしたその時―――
「ちょっと待ったー!」
乱入者の声が響き渡った。
これは、とある事情で異世界転生した主人公が、結婚式当日に「ちょっと待った」されたので、
白米を求めて 俺TUEEEEせずに、執事TUEEEEな旅に出たい
そんなお話
※主人公は当初女性と婚約しています(タイトルの通り)
※主人公ではない部分で、男女の恋愛がお話に絡んでくることがあります
※BLは読むことも初心者の作者の初作品なので、タグ付けなど必要があれば教えてください
※完結しておりますが、今後番外編及び小話、続編をいずれ追加して参りたいと思っています
※小説家になろうさんでも同時公開中
影の薄い悪役に転生してしまった僕と大食らい竜公爵様
佐藤 あまり
BL
猫を助けて事故にあい、好きな小説の過去編に出てくる、罪を着せられ処刑される悪役に転生してしまった琉依。
実は猫は神様で、神が死に介入したことで、魂が消えかけていた。
そして急な転生によって前世の事故の状態を一部引き継いでしまったそうで……3日に1度吐血って、本当ですか神様っ
さらには琉依の言動から周りはある死に至る呪いにかかっていると思い━━
前途多難な異世界生活が幕をあける!
※竜公爵とありますが、顔が竜とかそういう感じては無いです。人型です。
案外、悪役ポジも悪くない…かもです?
彩ノ華
BL
BLゲームの悪役として転生した僕はBADエンドを回避しようと日々励んでいます、、
たけど…思いのほか全然上手くいきません!
ていうか主人公も攻略対象者たちも僕に甘すぎません?
案外、悪役ポジも悪くない…かもです?
※ゆるゆる更新
※素人なので文章おかしいです!
人生イージーモードになるはずだった俺!!
抹茶ごはん
BL
平凡な容姿にろくでもない人生を歩み事故死した俺。
前世の記憶を持ったまま転生し、なんと金持ちイケメンのお坊ちゃまになった!!
これはもう人生イージーモード一直線、前世のような思いはするまいと日々邁進するのだが…。
何故か男にばかりモテまくり、厄介な事件には巻き込まれ!?
本作は現実のあらゆる人物、団体、思想及び事件等に関係ございません。あくまでファンタジーとしてお楽しみください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる