バッドエンドの異世界に悪役転生した僕は、全力でハッピーエンドを目指します!

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さよなら世界、こんにちは異世界

25.異世界でにいちゃんと3

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 今度はガディにいちゃんのお膝の上で、ブルーベリーパイを食べさせてもらってる。

 最初は恥ずかしくて断ったけど、にいちゃん達がそれはそれは……しつこかったの。

 僕ね、重いでしょってきいたら、「まったく重くないし久しぶりに兄弟水入らずでランチをしているのだから良いじゃないか」と力技で言ってくるもんだから、お邪魔しまーすと小声で言ってお膝に座らせて貰ったの。

 サウにいちゃんに続いて、ガディにいちゃんのお膝椅子かぁ~。にいちゃん達、絶対に僕をもっとちいさい子どもだと思ってるでしょう?思い切って聞いてみようかな。

「ねぇねぇ、ガディにいちゃん、僕ね、もう10歳だよ」
「ぶはっ――――!!本当かそれはっ!」
「ぶほっほっ!本当ですか?」

 うん、もうー、2人とも、吹き出してきたないなぁー。ばあやに怒られるよ。あれ、ばあやは何にも言わない。ずるーい!

「本当に10歳なのか?それにしては、小さいが……。エディ、栄養は足りてるのか?ちゃんと寝てるか?それとも、うちに来るか?」
「もう、ガディにいちゃんたら!僕は本当に10歳です。背は126cmしかないけど……」
「それは、ちょっと小さいのでは?もっと肉を食べた方がいいですよ。エディ、あとで肉を届けましょう。体重は何キロくらいありますか?小鳥のように軽いですよね」
「う~んと、体重は20キロはあったような無かったような……。でもでも、本当に10歳なんだもん」

 やっぱり、ちいさい子どもに見えていたんだって思うと、情けなくなって下を向いてしまった。そっと、あたたかな手を頭にのせられて、ゆっくりと撫でてくれた。

「ごめんな、エディ。俺たちは、おまえを傷つけるつもりは無かったんだ。10歳以上も年の離れた可愛い弟と、こうやって近くで過ごすのが初めてだから舞い上がってしまったみたいだ。エディをバカにしてもないからな。小さくて可愛くて小鳥のような、俺の大事な弟だ」
「ガングリオンにいさん、俺の大事なじゃなくて。俺たちのだいじな可愛い弟ですよ」
「にいちゃん、僕ね、僕……そんなこと初めて言われたからすごくうれしいよぉ――」

 それから、ガディにいちゃんは本当に鳥の親子みたいに一口ずつ、僕の口にパイやスープを入れてくれた。

「エディ、アーンだぞ。ほら、たっぷりのクリームとブルーベリーをのせたよ」
「ガディにいちゃん、それ大きいよ。半分にして」

 ガディにいちゃんは、半分をぱくりと食べてしまうと残った半分を口に入れてくれた。スープもフーフー冷ましてから、お口に入れてくれる。

 ガディにいちゃんに僕がアーンして一口食べさせてもらうごとに、サウにいちゃんはギリギリと奥歯を噛みしめて怖い顔をして、僕がニコって笑うと優しく微笑んでくれた。サウにいちゃんにどうして怖い顔をするの?と聞いたら、反省しますと言ってずっと引きつったような笑顔だったけどいいのかな~。

「ガディにいちゃん、僕もうお腹いっぱい。ほら、お腹がぽんぽこリんなの」
「ぽんぽこ?なんだ、それは?エディはたまに知らない事を言うなあ。満腹になったなら良かった」
「えへへ、ぽんぽこりんは狸さんのお腹がぽんぽこに丸くてぽんぽんのことだよ」
「にいちゃんには、ぽんぽこは良く分からないけど、エディが可愛いからいいな」

 ぎゅうーーって、してきた。だから、僕もガディにいちゃんのお胸に顔をぐりぐりしたの。そのままガディにいちゃんにくっついたままでいたら、サウにいちゃんが来て僕の脇の下に手を入れてヒョイと持ち上げた。

「今度は、私のお膝の上でぎゅーーさせて下さい」
 
 そう言って、今度はサウにいちゃんがぎゅうーーってしてきたから、また顔をぐりぐりしたの。サウにいちゃん、いい匂いするな~。

 なんか、にいちゃんにいろいろしてもらって図々しいかなと思ったから聞いてみた。

「あのね、僕ね。にいちゃんたちに甘え過ぎじゃない?」
「そんなこと、ないぞ」
「まったく、そんなことないですよ」

 すぐにそんなふうに言ってくれてうれしかった。

「いいか、エディ。俺たちは年が離れたこんなに可愛い弟を10年も放っておいた。兄弟なのに、お前を顧みずにいた。ずいぶん、寂しいおもいをさせただろう。ごめんな、エディ」
「ガングリオン兄さん、私が言いたいことを全て言ってしまって。ですから、エディは10年分の甘えがたまっているのだから、どんどん甘えてきて下さい」

 サウにいちゃんの優しく頭をなでてくれる手が、ガディにいちゃんの僕を見る優しい目指しが、すごく僕をおもってる事が伝わってくるから……。僕の中のエディがすごく喜んで、うれしくて泣いていた。だから、僕も我慢していたけど涙がぽろぽろと溢れてきて止まらなかった。
 にいちゃん達の優しさは、僕に1人じゃないよって言っているみたいだった。
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