バッドエンドの異世界に悪役転生した僕は、全力でハッピーエンドを目指します!

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さよなら世界、こんにちは異世界

24.異世界でにいちゃんと2

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「ねぇねぇ、ガディにいちゃん。お口の横にブルーベリーがついてるの」
「うん?どこだ?」

 右、左、そこじゃないです~、と教えてもなかなか取れない。

「ガディにいちゃん、お顔を寄せてください」

 すぐ近くまで顔を寄せてくれたから、お手ふきできれいに拭いてあげた。近くで見ると、ガディにいちゃんもすごいかっこいい。サウにいちゃんは美人な感じで、ガディにいちゃんはワイルド系のかっこいい感じなの。
 
 体格もいいし身長も高いし、ダークブラウンの短髪と瞳は誠実そうで顔立ちはキリッとして男らしい。さすが近衛第一騎士団長をしているだけあって、厳しさの中に兄貴分として頼りがいがありそうに見えた。

「エディ、どうした?俺がかっこよくて見惚れたか?」
「うん!ガディにいちゃんは、かっこいいよ。背も高くて、すごい強そう」
「ほおー、エディは本当にあのエディか?」
「あのエディってなぁに?僕、前はどんなだったの?ガディにいちゃん、教えてください」

 僕はまたお願いポーズをしてガディにいちゃんを見上げると、ほんのりと顔を赤くして咳き込んだ。

「う…ゴホンっ、仕方ないな。教えてやるか。まず、俺と会うといつも足にしがみついて噛んできて、俺の愛用の剣に泥を塗って、近衛団の制服を切り刻み、ベッドに生ごみをばら撒いた。お茶会が開かれると、テーブルの下に潜り込んで、レディ達の靴にいたずら書きをした。アンディスール公爵家の末の三男は奇病に掛かってるともっぱらの噂だ」
「ガングリオン兄さんっ!言い過ぎです」
「言い過ぎかも知れないけど、エディが何も知らないでお茶会や貴族院に行った時に知らされるほうが辛いだろう?なあ、エディ」

 僕は、ガディにいちゃんに問いかけられて、思わず伝家の宝刀の土下座をしていた。

「ガディにいちゃん、サウにいちゃん、ごめんなさいぃぃっ。もう二度しないので、どうかお慈悲をーーーー!!」

 僕はなんてことをしてたんだーー!!騎士の剣や制服を傷つけるなんて、そんな酷いことをしたなんて。本来ならば、子どもとはいえなんらかのペナルティを与えられていたはずだ。ここは立憲君主制の国なのだから。
 
 エディは、本当はどんな人だったんだろう?幼い子どもの頃に奇病と噂になるほど、常識はずれの行動ばかりしてしてたのだろうか?
 本の中では、前半に死んでしまうキャラだから、細かい説明はなかったしなぁ。土下座をしながら、不謹慎にも前のエディのことばかり考えていた。

「エディ、もう終わったことだよ。顔を上げろって!l

 言われた通りに、おそるおそる顔を上げると、そこにはみんなの笑顔があった。怒ってない?呆れてない?

「そうですよ、エディ。もう終わった事です。今のエディだったら、噂も払拭されるでしょう」
「サウにいちゃんも、ごめんなさいぃ……」
「だから、もういいですって。それかまた違う種類のパンやパイを作った時は私達に試食をさせるのはどうでしょうか?それが、エディのお詫びです」

 僕は、涙が溢れるのを止められなかった。本当は前のエディが1人じゃなかったのも嬉しいし、にいちゃん達が本当に僕の事を心配してくれてて……。でもこれ以上は心配をかけないように強く生きたいし……。
 まずはありがとうの気持ちを山ほど詰めて、パイと一緒に回復の魔法をかけたクッキーやパンも箱に入れて、感謝のスペシャルBOXを作ってあげよう。喜んでくれますように。
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