21 / 49
さよなら世界、こんにちは異世界
21.異世界の夢で
しおりを挟む
ふあ~、柔らかい芝生だなぁ。頬にあたっても、ぜんぜん痛くない。まるで、毛足の長い毛布の上で寝っ転がってるみたいだ。風も、さわさわ~と吹いてて気持ちいいなぁ。もう、ずっと、こうやってゴロゴロしたくなっちゃう。
――いいんだよ。ずっと、ここにいてよ――
うん?なんか聞こえてきたけど、気のせいだよね。寝よねよー。明日はサウにいちゃんと、ランチするんだ。ばあやも、一緒に作って良いと言ってくれたから、僕はね。はりきってるの。
サウにいちゃんに美味しいって食べて貰いたいし、おかわりもして欲しいし、エディって呼ばれて頭もナデナデされたい。それは贅沢すぎかな。サウにいちゃんと、一緒にご飯を食べられるだけで嬉しいな。
もちろん、ばあやと二人きりも嬉しいよ。でもね、初川終の時は兄妹はいなかったから、どうせなら仲良くしたいよ。サウにいちゃんは、どんな味が好きかな?僕は辛いの食べると、舌が赤くなって痛くなるから食べられないけど、サウにいちゃんが好きなら作ってみようかな。
――だから、ずっとここにいて良いって言ってるでしょう――
うん?むむむむむ?なんか、絶対、しっかり、ちゃんと、聞こえたけど……。だ、誰ですかぁ――?
――はい、はーい!精霊ですよー。みんなが好きな精霊さんですよー。会えてうれしいでしょう――
僕は瞬きを数回して、キョロキョロと周囲を見渡した。一面が鮮やかな緑の絨毯のようで、その中にものすごい大きな樹がポツンとあった。その樹の中腹の葉っぱを掻き分けるように、純粋な光の塊はビュンっと飛び出てきた。
はひ――――――!!僕のほうに向かってきたので、のけぞって避けたけど前髪がちょっと触れたら、持ってかれた。髪の毛が、シャッて少し消えたよ……。こ、こっわ!
ところで、ここはどこかしら?今日は自分の部屋で寝ていたはずなんだけどなぁ~。どうか僕の夢なら、また眠らせてくださぃぃぃぃぃぃ。
――は~い!エディ!元気?――
「はい?げ、げ、元気ですけど。これは夢ですよね?」
――夢のようで、夢じゃない。精霊の空間と言えるかな――
そう、光の塊は言いました――!光、だよ。普通の光はしゃべりません。
「質問、でーす。精霊の空間ってなんですか?――」
――そのまんまだよ。精霊が集う空間のことだねーー
「精霊が集う?えっ、このしゃべる光って精霊さんなの?」
――ふふ、しゃべる光って言われたのは初めてだよ。初川終――
「どうして、僕の名前をしてるの?」
――私が君をこの世界に招いたからだよ。精霊のいとし子であって、エンドの子よ――
「いとし子?エンドの子?なぁに、それは」
――いとし子は正しく、精霊のお気に入りだよ。魂の美しさで選ばれることが多い。あとは……君は何度も読んでいただろう。「精霊と勇者と滅びの国」のラストを覚えてるかい?――
ラスト?覚えていたはずなのに、なにも思い出せない。僕はこの本のラストで、彼を助けたくて泣きながら読んで……。何度読み返しても彼を助けることは出来なかった。彼って、だぁれ?
「思い出せない……。どうして……。あんなに何度も泣いて、彼を助けようとして。あれ?精霊さん、ラストはどうなるんですか?」
――それは、君が思い出さなきゃいけないのだ。エンドの子よ――
「精霊さん、僕、思い出す自信がないの。ヒントを教えて下さい」
――ヒント?はは、そんなことを言ってきたのは、君が初めてだよ。じゃあ、私にもミートパイをひとつくれるなら考えてみるかな――
「精霊さんも、ミートパイが好きなんだ!おいしいもんね!あとね、まだ、内緒だけどブルーベリーパイも作ろうと思って。作ったら、精霊さんも食べますか?」
――ブルーベリーパイ!!もちろん、頂くよ。じゃあ、その時はサービスするよ――
ちょっと軽い精霊さんだなぁと思いながら、また僕は目を閉じた。今度は、ちゃんと僕のベッドで寝てますように。
――いいんだよ。ずっと、ここにいてよ――
うん?なんか聞こえてきたけど、気のせいだよね。寝よねよー。明日はサウにいちゃんと、ランチするんだ。ばあやも、一緒に作って良いと言ってくれたから、僕はね。はりきってるの。
サウにいちゃんに美味しいって食べて貰いたいし、おかわりもして欲しいし、エディって呼ばれて頭もナデナデされたい。それは贅沢すぎかな。サウにいちゃんと、一緒にご飯を食べられるだけで嬉しいな。
もちろん、ばあやと二人きりも嬉しいよ。でもね、初川終の時は兄妹はいなかったから、どうせなら仲良くしたいよ。サウにいちゃんは、どんな味が好きかな?僕は辛いの食べると、舌が赤くなって痛くなるから食べられないけど、サウにいちゃんが好きなら作ってみようかな。
――だから、ずっとここにいて良いって言ってるでしょう――
うん?むむむむむ?なんか、絶対、しっかり、ちゃんと、聞こえたけど……。だ、誰ですかぁ――?
――はい、はーい!精霊ですよー。みんなが好きな精霊さんですよー。会えてうれしいでしょう――
僕は瞬きを数回して、キョロキョロと周囲を見渡した。一面が鮮やかな緑の絨毯のようで、その中にものすごい大きな樹がポツンとあった。その樹の中腹の葉っぱを掻き分けるように、純粋な光の塊はビュンっと飛び出てきた。
はひ――――――!!僕のほうに向かってきたので、のけぞって避けたけど前髪がちょっと触れたら、持ってかれた。髪の毛が、シャッて少し消えたよ……。こ、こっわ!
ところで、ここはどこかしら?今日は自分の部屋で寝ていたはずなんだけどなぁ~。どうか僕の夢なら、また眠らせてくださぃぃぃぃぃぃ。
――は~い!エディ!元気?――
「はい?げ、げ、元気ですけど。これは夢ですよね?」
――夢のようで、夢じゃない。精霊の空間と言えるかな――
そう、光の塊は言いました――!光、だよ。普通の光はしゃべりません。
「質問、でーす。精霊の空間ってなんですか?――」
――そのまんまだよ。精霊が集う空間のことだねーー
「精霊が集う?えっ、このしゃべる光って精霊さんなの?」
――ふふ、しゃべる光って言われたのは初めてだよ。初川終――
「どうして、僕の名前をしてるの?」
――私が君をこの世界に招いたからだよ。精霊のいとし子であって、エンドの子よ――
「いとし子?エンドの子?なぁに、それは」
――いとし子は正しく、精霊のお気に入りだよ。魂の美しさで選ばれることが多い。あとは……君は何度も読んでいただろう。「精霊と勇者と滅びの国」のラストを覚えてるかい?――
ラスト?覚えていたはずなのに、なにも思い出せない。僕はこの本のラストで、彼を助けたくて泣きながら読んで……。何度読み返しても彼を助けることは出来なかった。彼って、だぁれ?
「思い出せない……。どうして……。あんなに何度も泣いて、彼を助けようとして。あれ?精霊さん、ラストはどうなるんですか?」
――それは、君が思い出さなきゃいけないのだ。エンドの子よ――
「精霊さん、僕、思い出す自信がないの。ヒントを教えて下さい」
――ヒント?はは、そんなことを言ってきたのは、君が初めてだよ。じゃあ、私にもミートパイをひとつくれるなら考えてみるかな――
「精霊さんも、ミートパイが好きなんだ!おいしいもんね!あとね、まだ、内緒だけどブルーベリーパイも作ろうと思って。作ったら、精霊さんも食べますか?」
――ブルーベリーパイ!!もちろん、頂くよ。じゃあ、その時はサービスするよ――
ちょっと軽い精霊さんだなぁと思いながら、また僕は目を閉じた。今度は、ちゃんと僕のベッドで寝てますように。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
940
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる