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さよなら世界、こんにちは異世界
19.異世界のミートパイ
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あれから、また1週間が過ぎて穏やかな生活が戻ってきた。穏やかといっても、お父様とお母様から何の返答も無いままで……廃嫡をして欲しいと言ったのは無かったことにされてる?子どもの言ったことだから?精神も、高校生の子どもみたいなものだけど、これって放置だよね。
ばあやに聞いても悲しそうに笑むだけで何も言わないのは分かるから、僕はこれ以上は追及して聞かないけどさ~。本当に、アンディスール公爵家はどうなってるんだ。ひそかに怒りつつ、僕は今日のランチを楽しみにしていた。
別館の中庭に敷き布を出して、そこでばあやとランチをするんだ。ばあやが、僕の大好きなミートパイとベーコン野菜スープを作ってくれたから、今からよだれがでそう。ミートパイといっても、お肉がひき肉より大きめでゴロゴロ入ってて玉ねぎやニンジンがトマトソースで蕩けるまで煮込んであるの。
野菜の甘みと肉のうま味、そしてパイ生地のサクサクした食感!いつも小食な僕が、これなら2つも食べられちゃう。1つが手のひらくらい大きいから、2つも食べるとお腹がポッコリしちゃう。
野菜スープもコンソメ味で、野菜がくたくたになるまで煮て柔らかいし、ベーコンも香ばしくてスープにうま味が出ても美味しくたべられる。ふわぁ~、思い出すだけでほっぺたが落ちそう~。
ランチまで、あと30分って言ってたけど…まだかなぁ。時計をチラチラ見るせいで、全然時間が進んでるようには見えないし、本を読んでも内容が全く頭に入ってこない。もう、僕っ!楽しみ過ぎ~!
ばあやが元気で、美味しいご飯って最高だよね。今日は天気が良くて、秋晴れだ。こちらの世界にも、秋になれば紅葉があった。植物の種類は違うけど、中庭にイチョウの木に似ている樹があって、今は一面黄色の絨毯を敷いたみたいになってる。ギンナンの実はならないけど、小さな甘酸っぱい実がなってそれも楽しみ。
本当は、ばあやと2人っきりでこの別館で暮らしていきたくなってしまうけど、それだとやっぱりバッドエンドになってしまう気がする。
だから、僕は頑張るからさ。つかの間のこんな時間を過ごしてもいいよね。幸せな記憶だって、エディにあげたい。
「エディン様、出来ましたよ。じゃあ、行きましょうか。エディン様は敷物を持って下さいね」
「はーい。僕、お腹空いちゃった。早く食べたいなぁ」
「フフフ、たくさん焼きましたからいっぱい食べてくださいね」
僕たちは、中庭に着くと手早く敷物を敷いて準備をした。貴族だったら、敷物の上に直接座るのはすごい行儀が悪いことで、誰かに見られたら大変だけど、ここには僕とばあやしかいないから大丈夫。
「どうぞ、エディン様。お熱いですから、火傷しないように召し上がって下さいね」
焼きたてのミートパイをフォークで刺して、フーフーフー。熱そうだけど美味しそう。端の方を、パクっと食べた。
わぁー、サックサック!!
「ばあやっ!おいひいよー!サクサクだよ!おいひいぃぃ!」
なにこのパイ生地!こんなサクサクで、ほんのりバターの香りがして、しかも歯切れがいい!ミートの方も食べちゃおう!はむっ!
に、肉汁がぁ!うっま!熱い、うまい、熱い、うまいの二重奏だぁ!
「ばあや、めちゃうまっ!美味しいー!直ぐに噛んじゃうから、直ぐに飲み込んで、口の中からあっという間に無くなっちゃうよー。ほっぺたが落ちるぅー。ばあや、美味しくてしあわせだねぇ。作ってくれてありがとう、ばあや!」
「エディン様が美味しいと言って食べてくれるだけで、ばあやは嬉しいですよ」
僕とばあやは、にこにこしながら、このピクニックランチを楽しんでいた。ミートパイ1個目を完食したので、2個目に手を伸ばすと知らない声が聞こえてきた。
「まったく、公爵家の三男といえどもアンディスール公爵を名乗る以上、地べたで食べるような無作法は恥ずかしいな。やっぱり、素性が怪しい奴は生まれが出てしまうのか?どうなんだ、エディン?」
それは、アンディスール公爵家次男のサウズロード・アンディスール・ディディスだった。
ばあやに聞いても悲しそうに笑むだけで何も言わないのは分かるから、僕はこれ以上は追及して聞かないけどさ~。本当に、アンディスール公爵家はどうなってるんだ。ひそかに怒りつつ、僕は今日のランチを楽しみにしていた。
別館の中庭に敷き布を出して、そこでばあやとランチをするんだ。ばあやが、僕の大好きなミートパイとベーコン野菜スープを作ってくれたから、今からよだれがでそう。ミートパイといっても、お肉がひき肉より大きめでゴロゴロ入ってて玉ねぎやニンジンがトマトソースで蕩けるまで煮込んであるの。
野菜の甘みと肉のうま味、そしてパイ生地のサクサクした食感!いつも小食な僕が、これなら2つも食べられちゃう。1つが手のひらくらい大きいから、2つも食べるとお腹がポッコリしちゃう。
野菜スープもコンソメ味で、野菜がくたくたになるまで煮て柔らかいし、ベーコンも香ばしくてスープにうま味が出ても美味しくたべられる。ふわぁ~、思い出すだけでほっぺたが落ちそう~。
ランチまで、あと30分って言ってたけど…まだかなぁ。時計をチラチラ見るせいで、全然時間が進んでるようには見えないし、本を読んでも内容が全く頭に入ってこない。もう、僕っ!楽しみ過ぎ~!
ばあやが元気で、美味しいご飯って最高だよね。今日は天気が良くて、秋晴れだ。こちらの世界にも、秋になれば紅葉があった。植物の種類は違うけど、中庭にイチョウの木に似ている樹があって、今は一面黄色の絨毯を敷いたみたいになってる。ギンナンの実はならないけど、小さな甘酸っぱい実がなってそれも楽しみ。
本当は、ばあやと2人っきりでこの別館で暮らしていきたくなってしまうけど、それだとやっぱりバッドエンドになってしまう気がする。
だから、僕は頑張るからさ。つかの間のこんな時間を過ごしてもいいよね。幸せな記憶だって、エディにあげたい。
「エディン様、出来ましたよ。じゃあ、行きましょうか。エディン様は敷物を持って下さいね」
「はーい。僕、お腹空いちゃった。早く食べたいなぁ」
「フフフ、たくさん焼きましたからいっぱい食べてくださいね」
僕たちは、中庭に着くと手早く敷物を敷いて準備をした。貴族だったら、敷物の上に直接座るのはすごい行儀が悪いことで、誰かに見られたら大変だけど、ここには僕とばあやしかいないから大丈夫。
「どうぞ、エディン様。お熱いですから、火傷しないように召し上がって下さいね」
焼きたてのミートパイをフォークで刺して、フーフーフー。熱そうだけど美味しそう。端の方を、パクっと食べた。
わぁー、サックサック!!
「ばあやっ!おいひいよー!サクサクだよ!おいひいぃぃ!」
なにこのパイ生地!こんなサクサクで、ほんのりバターの香りがして、しかも歯切れがいい!ミートの方も食べちゃおう!はむっ!
に、肉汁がぁ!うっま!熱い、うまい、熱い、うまいの二重奏だぁ!
「ばあや、めちゃうまっ!美味しいー!直ぐに噛んじゃうから、直ぐに飲み込んで、口の中からあっという間に無くなっちゃうよー。ほっぺたが落ちるぅー。ばあや、美味しくてしあわせだねぇ。作ってくれてありがとう、ばあや!」
「エディン様が美味しいと言って食べてくれるだけで、ばあやは嬉しいですよ」
僕とばあやは、にこにこしながら、このピクニックランチを楽しんでいた。ミートパイ1個目を完食したので、2個目に手を伸ばすと知らない声が聞こえてきた。
「まったく、公爵家の三男といえどもアンディスール公爵を名乗る以上、地べたで食べるような無作法は恥ずかしいな。やっぱり、素性が怪しい奴は生まれが出てしまうのか?どうなんだ、エディン?」
それは、アンディスール公爵家次男のサウズロード・アンディスール・ディディスだった。
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