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さよなら世界、こんにちは異世界

10.異世界で助けを呼んで!

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「エディン様、後ろに下がっていて下さい。私達が先に見てきます」
「ばあや、どうしたの?」
「エディン様は、ばあやとこちらで待ってましょうね」
「護衛さん、気を付けて行って下さい。危なそうでしたら、直ぐに帰って来て下さいね。僕、心配です」

 離れたところで、両手を合わせて無事でありますようにとお祈りして待っていた。ばあやを見上げると、僕を安心させるように微笑んでくれた。ばあやの手を取って、ぎゅっと握った。
 
 ちょっと時間にして3分くらい経った時に、ドガンッと何かが爆発したような大きな音がしたと同時に何人もの叫び声が周辺に響き渡った。

 僕のところにも、石つぶてやレンガのカケラなどがまるで雨のように降ってきた。身を守る物が無い僕は、怖くてぼんやり立っていた。
 
 その時は体を丸めたり、地面に伏せたりなど考えはなくて、人々の怯えた叫び声と飛んでくる石つぶてが怖くて、考えるチカラが無くなって立っている事しか出来なかった。
 
 ビュンビュンッと大きな音がして、顔を上げると大きな壁面の塊がこちらに飛んできた。僕にはチートは無いから、何のチカラも無い。
 悪役は悪役なんだね。やっぱり序盤で退場なんだ。また死ぬ間際だというのに、慌てもせずにそんな事を考えていた。

「坊っちゃま!ーーうっ……」

 ばあやが僕の上に覆いかぶさってきた。僕はこんな時にもポンコツで、10歳にしてはとても小さな手はばあやをふりほどく事も出来ずに、ましてや押しやる事も無理でーー。
 
 ばあやの体に大きな壁面が当たっても、頭から血が流れても、ばあやは僕を不安にさせないように和やかな笑顔でいた。
 僕は助けを求める事しか出来なかった。気付けば半狂乱になって、叫んでいた。

「誰かーー!ばあやをたすけてーー!お願い!ばあやを助けてーー!お願いだから、ばあやを!ばあやを!死なせないでーー」

 僕の命をあげるから、ばあやを助けて下さい。


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