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11月 9
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フクジュがナレーションを終えて本を閉じた。
拍手喝采の中、みんな出てきて、お辞儀した。カーテンコールだ。
終わった・・・
ルピナスが舞台袖で放心していたら、背中をポンと叩かれた。
「よ、ルピナス!主役おつかれ」
「アスター君もお疲れ様。ふふっ、やっぱりウサ耳似合うね~」
「うっせぇ!」
「うふふ」
ルピナスがからかうとアスターは赤くなりながら怒る。照れているだけだと、もうわかっている。
「そういえばお前、お茶会の時にセリフ止まったよな?」
「え?あ、うん・・・。助けてくれてありがとう」
「別にいいけど、どうしたんだ?」
ヤマブキが「眠い・・・」と止まったり、カスミが混乱したり、アスターが真っ白になったりすることは多かったが、ルピナスがミスするのは珍しい。
「あ、うん。・・・誕生日じゃない日をお祝いしてるのに、今日11月28日が誕生日だって思って・・・」
「マジか!えっと・・・こんなもんしかないや。ほい、やるよ」
アスターは持っていたフェイスタオルを渡してきた。
「フェイスタオル?」
「誕生日おめでとう」
「エヘヘ、ありがとう!」
白と青のストライプのフェイスタオルだ。
「あ、このタオル」
「ん?」
ルピナスはそっとタオルに顔を近づける。
「アスター君の匂いがする」
「ばっ!やめろ!それ以外無いんだから!」
「イヤだ!コレがいい!お日様の匂いだね」
ルピナスはアスターを避けながら匂いをかぐ。
「恥ずかしいから嗅ぐな!」
「エヘヘ、いつものお返し」
ルピナスは赤くなりながら軽く舌を出した。アスターの真似をしてみたけど、やはりこれは照れる。
「・・・・・・う!か、かわっ!」
「川?」
「な、何でもない!熱いんだよ!!」
「確かに、照明熱かったね?」
ルピナスは不思議そうに頷く。アスターは話を反らす。
「だ、だろ!?・・・にしても凄かったよな!トランプは!!」
「うん。あれはもうカスミちゃんの占いだと思う・・・」
でも、何を占ったのかな?
「・・・オレは占いに縛られたくない」
アスターの機嫌が悪くなる。ムスッとしているアスターにルピナスは微笑みつつ背を向ける。そろそろ着替えたい。
「占いは道しるべだよ。みんなアスター君みたいに強くないの」
「・・・じゃあ、オマエはどうする?」
「え?」
アスターのいつもと違う雰囲気にルピナスは振り返る。
「困った時、どうする?」
更に詰められてルピナスはたじたじになる。こういう雰囲気のアスターは苦手だ。
「な、内容による?」
「逃げるな。どうする?」
「そ、相談する?」
「誰に?」
「えっと・・・」
壁に手を置かれて行く手を閉ざされる。だんだん顔が赤くなるのが自分でもわかる。
「まずオレに相談しろ!オレ、オマエに頼られたいんだよ!!」
「じ、充分頼ってるよ?」
肩を軽く押すけど、反対の手で手を捕まれて更に詰められてしまった。
アスターは劇でのルピナスのピンチに頼られなかった事が不満だったらしい。
「もっとだ!!!」
「・・・。じゃ、アスター君も頼ってね?私の事」
ルピナスは壁についたアスターの腕に頭を軽く寄せて、アスターを見てみた。
「お、おぅ・・・」
もう強い照明は無いのにアスターは更に熱くなった。
拍手喝采の中、みんな出てきて、お辞儀した。カーテンコールだ。
終わった・・・
ルピナスが舞台袖で放心していたら、背中をポンと叩かれた。
「よ、ルピナス!主役おつかれ」
「アスター君もお疲れ様。ふふっ、やっぱりウサ耳似合うね~」
「うっせぇ!」
「うふふ」
ルピナスがからかうとアスターは赤くなりながら怒る。照れているだけだと、もうわかっている。
「そういえばお前、お茶会の時にセリフ止まったよな?」
「え?あ、うん・・・。助けてくれてありがとう」
「別にいいけど、どうしたんだ?」
ヤマブキが「眠い・・・」と止まったり、カスミが混乱したり、アスターが真っ白になったりすることは多かったが、ルピナスがミスするのは珍しい。
「あ、うん。・・・誕生日じゃない日をお祝いしてるのに、今日11月28日が誕生日だって思って・・・」
「マジか!えっと・・・こんなもんしかないや。ほい、やるよ」
アスターは持っていたフェイスタオルを渡してきた。
「フェイスタオル?」
「誕生日おめでとう」
「エヘヘ、ありがとう!」
白と青のストライプのフェイスタオルだ。
「あ、このタオル」
「ん?」
ルピナスはそっとタオルに顔を近づける。
「アスター君の匂いがする」
「ばっ!やめろ!それ以外無いんだから!」
「イヤだ!コレがいい!お日様の匂いだね」
ルピナスはアスターを避けながら匂いをかぐ。
「恥ずかしいから嗅ぐな!」
「エヘヘ、いつものお返し」
ルピナスは赤くなりながら軽く舌を出した。アスターの真似をしてみたけど、やはりこれは照れる。
「・・・・・・う!か、かわっ!」
「川?」
「な、何でもない!熱いんだよ!!」
「確かに、照明熱かったね?」
ルピナスは不思議そうに頷く。アスターは話を反らす。
「だ、だろ!?・・・にしても凄かったよな!トランプは!!」
「うん。あれはもうカスミちゃんの占いだと思う・・・」
でも、何を占ったのかな?
「・・・オレは占いに縛られたくない」
アスターの機嫌が悪くなる。ムスッとしているアスターにルピナスは微笑みつつ背を向ける。そろそろ着替えたい。
「占いは道しるべだよ。みんなアスター君みたいに強くないの」
「・・・じゃあ、オマエはどうする?」
「え?」
アスターのいつもと違う雰囲気にルピナスは振り返る。
「困った時、どうする?」
更に詰められてルピナスはたじたじになる。こういう雰囲気のアスターは苦手だ。
「な、内容による?」
「逃げるな。どうする?」
「そ、相談する?」
「誰に?」
「えっと・・・」
壁に手を置かれて行く手を閉ざされる。だんだん顔が赤くなるのが自分でもわかる。
「まずオレに相談しろ!オレ、オマエに頼られたいんだよ!!」
「じ、充分頼ってるよ?」
肩を軽く押すけど、反対の手で手を捕まれて更に詰められてしまった。
アスターは劇でのルピナスのピンチに頼られなかった事が不満だったらしい。
「もっとだ!!!」
「・・・。じゃ、アスター君も頼ってね?私の事」
ルピナスは壁についたアスターの腕に頭を軽く寄せて、アスターを見てみた。
「お、おぅ・・・」
もう強い照明は無いのにアスターは更に熱くなった。
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