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9月 5
しおりを挟む「それで、動物達の流れにそってみたら・・・」
「白雪姫を見つけたんだな!」
「え?」
「じゃあルピナスがおうじさまなの?」
「違う!!誰が白雪姫だ!」
アスターがニヤニヤしながらからかい、ルピナスが首を傾げ、カスミが無邪気に聞きポトスはまたツッコミを入れてから続けた。
「ごほん。なるほど、事情はわかった。さっきの騒ぎはお前達か」
「なら一緒に行くか?」
「え!?い、いいの?」
アスターの提案はルピナスにとって有難いものだった。1人で行くのも心細いし、寂しい。もし下山するならポトスの小鳥達に着いてきてほしいくらいだ。
勿論1人での登山なのは危険でもある!アスターもそれを心配して続ける。
「双子だって向かうだろうし、次のチェックポイントで先生に話してみようぜ、山の中で1人だと危ないし、最初のポイントでもちゃんと賞品もらったんだろ?」
「うん、じゃあお願いしていい?」
「わーい!ルピナスともいっしょー!」
カスミはルピナスに抱きつく。
「守るのは得意だ!歓迎する」
「うん、ポトス君なら安心だよ」
「・・・お前1人で守るんじゃないからな!?」
アスターは後ろからルピナスの両肩に手おいて、ムッとしてる
「当たり前だろ?」
ポトスは不思議そうに聞く。
「・・・あぁ、だな」
「アスター君何か怒ってる?」
「・・・別に怒ってない」
ルピナスが聞いてもそっぽを向かれてしまった。
「あっ!カスミしってる!」
「オイ!ちょっと待
「アスターはおもちやいてるの!」
アスターの焦りを無視してカスミは言い放つが、みんなの頭上には、?しか浮かんでいない。
「はあ?」
「も、もち・・・?」
肝心のアスターも、聞き返すポトスも理解出来ていない。
「そう!おもちやいてるの!」
「ど、どういう意味だ?」
「さあ?」
えっへんとするカスミにポトスとルピナスは首を傾げる。アスターはしばらくたつと顔が真っ赤に染まった。
「モチ?・・・・・・!!や、焼いてない!も、餅なんか!ほ、ほらさっさと行くぞ!」
「ちょっと!手ひっぱらないでよ!行くから!」
アスターがルピナスの手を引いていく。見送りながらポトスはカスミに疑問をぶつける。
「餅は冬に食うものだろ?」
「やくのはいつだってしちゃうよ?」
「・・・しちゃう?」
「さ、おいてかれちゃうから行こ行こ!」
「お、おう・・・?」
ポトスはやはりよくわからない。?マークは長い間消えなかった。
アスターはルピナスに鼻先を近づける。
「クンクン何か、お前いつもと匂いが違う・・・」
「ちょっと嗅がないでよ!」
アスターは香りの元をたどり、引いていた手を放して自分の手の匂いを嗅ぐ。
「あ、手だ!甘い食べ物の香りがする・・・ハチミツ?」
「あぁ、違うハンドクリーム使っているからだねハニーサックルって言うお花なんだって」
「え?あげたの気に入らなかったか?」
「ふふっ!違うよ!アスター君のくれたのと同じキャストションソンのシリーズなの。たくさん香りがあるからハマっちゃって・・・好き?」
「うん、これもいいな」
「持ってるから付けてみる?」
ルピナスはクリームを取り出そうとするが、手をとられて引っ張られる。
「自分に付けるのは甘いからヤダ」
「そっか」
「次のチェックポイントはアレか?」
「なんか小さい・・・家?」
背が高いポトスが見えてきたログハウスに眼を凝らす。近づくとさらにその規模がわかる。先ほどのチェックポイントより明らかに小さい。ルピナスは小学生のキャンプした時に班で寝泊まりしたバンガローを思い出した。教室の4分の1程度のサイズしかない。
そっと中を覗く。豪華な山小屋のような建物だ。
「あら、いらっしゃい」
『ローズ先生!』
「あら?人数が違うかしら?」
「あ、私が他の2人とはぐれちゃって・・・」
ルピナスが説明する。
「カエデとモミジの双子よね?アタシは見てないわね。他の3人の先生にも伝えてあげるわね」
「ありがとうございます」
ケータイは電波の関係で使えない。先生達は無線でやり取りをしているそうだ。
カスミがローズ先生に尋ねる。
「ここでのミッションなに?」
「ふふっ!ここでのミッションは休む事よ」
「おやすみ?」
ローズ先生は紅茶を淹れながら説明する。
「そう。ここは休憩所なの。後は頂上でのチェックポイントと、リフトでの問題で最短ルートを降りるポイントがあるわ」
「なるほど・・・」
ポトスが頷く。
「ここでどれだけ休んでいくかはチームの自由よ。じゃあ、他の先生に貴女の事を連絡してくるわね。お菓子あるから、休憩していきなさい」
「チョコレートにキャンディ、クッキーもある!」
ローズ先生はアップルティーを出してくれた。カスミは大喜びだ。
「あ!これ懐かしい。入学式にあげたね」
ルピナスがお菓子を手に取り、懐かしそうにする。ポトスが口を開く。
「あ、それ
「アスター君にあげたキャンディだ!」
「おぉ!マジか?懐かしいな!くれ!」
「もう、食いしんぼなんだから!」
2人は楽しそうにキャンディを食べている。
「・・・・・・・・・・・・」
ポトスは何も言わなかったように口を閉じる。なんだか恥ずかしくなってきた。
「・・・チョコ、もらってきたよ?あげる」
ピチピチ
「・・・・・・あぁ、ありがとうな」
カスミが手を引き、チョコレートを渡す。小鳥達も数羽側にいる。
「えぇ、わかりました。少々お待ち下さい。確認します。ルピナス、賞品は持っている?」
無線を架けているローズ先生が戻ってきた。
「は、はい!栗持ってます!たっぷりと」
「持っているそうです。はい、畏まりました。そう伝えます」
ローズ先生は無線を切った。
「ルピナス、このまま一緒に次へ進みなさい。理事長が、一緒に行動し、このチームの一員となる事を許可してくれたわ」
「ありがとうございます!」
「わーいルピナスもいっしょいっしょ!」
カスミが喜びルピナスに引っ付く。
「その代わりに、次のポイントでは倍がんばってね」
「倍?どういう意味ですか?」
「ふふっ!それは担当の先生に聞いてちょうだい」
「はぁ・・・?」
ルピナスは聞いたが、ローズ先生は楽しそうに含み笑いを浮かべるだけで教えてはくれなかった。
「つかれたー!」
「ねむいー!」
「何だ?」
「そろそろ次のチェックポイントかも!」
「あぁ、近いぞ・・・」
アスターが叫び声に気づき、ルピナスは地図を見る。ポトスは少し前から気づいていたようだった。姿が見えてきた頃
「勝ちたーい!!!!」
「ひゃあっ!おっきいこえだね!」
「な、何してるんだろ?」
大声にカスミが軽く悲鳴をあげ、ルピナスは耳を押さえて疑問に思う。
大声にカスミが軽く悲鳴をあげ、ルピナスは耳を押さえて疑問に思う。
「幼い子は素直ですね。はい、勝ったのはコブシ君です」
「いよっしゃあ!!」
コブシがガッツポーズをして喜ぶ。
「ちょうど次のチームが来ましたね」
「オリーブ先生!」
「はい。ここ頂上では3チームが集まったら、チームで代表を1人選んでもらい、大声を出してもらいます。一番声量が大きかった人のチームが通れますよ」
Cクラスの担任オリーブ先生だ。
「私の能力は計りなので、いろんな物を計れるんです。一応属性は電気です」
にこやかにオリーブ先生はルールを説明してくれた。能力は原子にも近いが、数値として計れる為だ。
「ゴホゴホッ」
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